弁護士大久保康弘のブログ

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青春18きっぷポスター展@奈良県立美術館

奈良県立美術館の1階で「青春18きっぷ ポスター展」が開催されています。

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3日の朝、たまたま新聞を見ていたらこの青春18きっぷ ポスター展」が奈良県立美術館で開催されていると知り、ちょうど奈良国立博物館に行くので帰りに寄ってみたのですが、これが素晴らしかった。というかアラーキーが素晴らしかった。

青春18きっぷは1982年からありましたが(最初の1年だけ「青春18のびのびきっぷ」でした)、展示されたポスターは1990年(平成2)からの展示です。

 

1991年夏のポスターからアラーキーが起用されます。

最初の2枚は組写真でしたがそれほど枚数は多くありませんでした。

1991年冬のポスターは、

小海線、「この街とヒミツをつくる。」

「青春18きっぷ ポスター アラーキー」の画像検索結果

 

 

1992年から「旅少女」シリーズと名づけられた枚数の多い組写真となりますが、これが素晴らしい。まさにアラーキーの世界。

下はその第一弾、根室本線釧網本線版です。

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なんと60枚+1枚の写真で構成されています。 

その後、1993年春には奥羽本線大湊線

夏には紀勢本線参宮線

冬には 奥羽本線男鹿線

という4枚の「旅少女」シリーズのポスターは圧巻で見応えがあります。

ここでアラーキーの旅少女シリーズは終了しますが、その後、一枚もので1995冬 陸羽東線中山平駅付近、1996年春 紀勢本線という2シーズン、まるでアンコールのようにありました。

私はこの「旅少女」のポスターを見て涙が出そうになったのですが、アラーキーを見て泣いているのを見られたら恥ずかしいので必死で涙をこらえました。

 

1996年夏からのイラストの時期を経て、1997年から駅を中心とした一枚写真のポスターとなります。

このシリーズで印象に残ったのは1998年三角線赤瀬駅「もうひとつ先の駅が見たい」でした。

 

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その他、常連の下灘駅、空間が素晴らしい厚床駅もよかったのですが、これはと思ったのは紀勢線大曽根浦駅。尾鷲のひとつ南の小さな駅ですが、民家に溶け込んだような駅、その向こうの海、対岸の山という素晴らしい構図です。

「青春18きっぷ ポスター まとめ」の画像検索結果

 

また写真の出来というより、個人的に面白かったのは日田彦山線の大鶴でした。この駅は一度、ここから乗車したことがあります。日田の裁判所に用があり、裁判が終わった後で裁判の対象となっている現場を見に行ったのですが、そこからだと日田駅よりこの大鶴駅の方が近かったため、大鶴まで車で送ってもらいそこから小倉行の列車に乗ったのでした。周りには製材所と畑しかない駅でした。

 

 「青春18きっぷ ポスター紀行 大鶴」の画像検索結果

なぜかサイズの違う画像しかありませんでした。

なお、この展示は前期が5月7日まで、後期は5月9日から5月21日までとなっています。

 

奈良国立博物館 快慶展

今年の連休は前半が単なる土日で、実際には3日からという方が多かったと思います。実際に1日、2日は通勤時間帯の電車もいつもと変わらずでしたし、2日の午後の銀行は普段の週末より混んでいました。

さてそんな連休初日の3日、奈良国立博物館で快慶展を見ました。

 

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奈良公園はかなりの人出でしたが、ここは多少混んでいるかなという程度で、外の行列はありませんでした。

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さて入館して右手に進むといきなり代表作の一つである醍醐寺弥勒菩薩が。

弥勒菩薩坐像

これは細密感が素晴らしく、見応えがあります。

そしてボストン美術館蔵から里帰りした弥勒菩薩。 

弥勒菩薩立像

 他にもアメリカ・キンベル美術館から里帰りした釈迦如来像もありました。

そして、画像は入手できなくて貼れなかったのですが、清水寺奥の院秘仏本尊である千手観音を拝観できたのは幸せでした。これは醍醐寺弥勒菩薩に劣らず見応えがありました。千手の手に持っている髑髏や、光背の凝り方などいずれもため息が出るほど素晴らしいものでした。

 

次に兵庫県浄土寺のコーナーがありました。西陽に照らされる巨大な阿弥陀三尊で有名ですが、今回は裸形の阿弥陀如来が菩薩面とともに展示されていました。これは以前に行われていたお練り用のものということで、この菩薩面をつけたお練りを一度見てみたいものです

伊賀の新大仏寺の如来座像はいかにも大仏というつるんとしたもので、しかも頭部以外はは江戸期に作られたもので、これは大仏寺で見たいところ。どこにあるのかよく知らなかったのですが柘植の近くのようで、今度櫟野寺と一緒に行ってみようかと。

あと印象に残った仏像は、

金剛峯寺孔雀明王

金剛峯寺深沙大将

でした。

 

 奥に進んで、本日の国宝はこの僧形八幡像。

 

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東大寺では年に一日(10月5日)だけ公開されています。以前、たまたまこの日に奈良地裁に行く用事があったので東大寺に立ち寄り拝観したことがありますが久々の再会です。 

 

最後に、本展覧会とこの三寺を訪問すれば快慶マスター、というパネルがあり、

安倍文殊院浄土寺東大寺が挙げられていました。確かに安倍文殊院浄土寺の仏像がここに来ていればもっとすごかったのでしょうが、幸いこの2ヵ寺とも訪れたことがあり、記憶に残っていますので大丈夫。むしろ浄土寺のお練り用の裸形の阿弥陀如来を見ることができ、この展覧会だけでない快慶ワールドの広がりを感じることができてよかったと思いました。

さて、奈良国立博物館を後にして続いては奈良県立美術館の「青春18きっぷポスター紀行」に向かいます。これは別エントリにて。

2017春の天皇賞

4月30日、春の天皇賞を見てきました。

昭和の時代は4月29日の天皇誕生日に固定されていた春の天皇賞ですが、これが土日でない場合はテレビ中継の枠がないため、「3時のあなた」の途中で中継があった時もありました。古くてすみません。

前日は昼過ぎに雷が鳴り強風が吹き雨も降っていましたが、日曜日は好天に恵まれました。

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この春の天皇賞菊花賞は、京都競馬場で現地観戦することにしていますが、何と言ってもスタンド前を2回走るのが長距離戦の醍醐味です。

 

ということで1週目。ヤマカツの大逃げ、キタサンが2番手でスタンド前を通過。

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3コーナーあたりで早くもキタサンが先頭に並びかけます。

そして直線。重戦車のような堂々たる走りで他馬を寄せ付けません。f:id:okubolaw:20170502152556j:plain

そのままキタサンが押し切りました。

何とディープのレコードを0.9秒も更新する3分12秒5の大レコードが出ました。

ディープのように後方待機で強烈な追い込みをしてくる馬も強いと思いますが、キタサンの場合は雄大な馬体でもあり、力任せにハイペースでどこまでも進むという、切れ味勝負のサンデー系全盛の昨今には珍しいタイプの名馬です(自身サンデー系ですが)。

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レースが終わっても帰る人が少ないのも特筆できます。また、普段競馬を見に行くことがないような年配の女性が結構見に来ておられました。サブちゃんを見に来たのかな。

 

 

時刻表にない鉄道その1 宮ケ瀬ダム

今回から何回かにわたって、時刻表に乗っていない鉄道(のようなもの)の話を書いていきたいと思います。

私は「乗り鉄」なので、日本各地のいろんな鉄道に乗ってきましたが、JRや私鉄はほとんど乗ってしまったので、最近はもっぱら遊覧鉄道、保存鉄道などの時刻表に掲載されていない鉄道(のようなもの)に乗るようになりました。

また時刻表に乗っている鉄道のうち、2本のレールの上を走るのは通常の鉄道と変わらないのですが、動力が車両内ではなく外にあり、ケーブルで車両を引っ張っていくという点で特殊なものとしてケーブルカーがあります。このケーブルカーについても、時刻表に掲載されていないものがあります。

今回紹介する宮ケ瀬ダムのインクラインは、ケーブルカーの一種ですが、観光施設の一部であり、時刻表に掲載されていません。

 

この宮ケ瀬ダムを訪問したのは2010年の9月のことで、出張で箱根湯本に行った後に、午後の時間が自由に使えるようになったので、さてどこへ行こうか、と考えて思いついたのが宮ケ瀬ダムでした。以前に読んだ「知られざる鉄道」という本に宮ケ瀬ダムのインクラインが紹介されており、一度は訪問してみたかったからでした。

 

知られざる鉄道 決定版 (キャンブックス)

知られざる鉄道 決定版 (キャンブックス)

 

 

関西の人間にはこの宮ケ瀬ダム、場所が全く分からなかったのですが、箱根湯本から小田原を経由して小田急で本厚木まで行き、そこからバスに乗って行くことが分かり、じゃあ箱根からの帰りに寄るのにちょうどいいと思ったのでした。

 

宮ケ瀬ダムのインクラインは以下のページで紹介されています。

 乗り物案内|公益財団法人 宮ヶ瀬ダム周辺振興財団

 

このインクラインは、ダムを建設するための資材運搬に使われた施設ですが、完成後はダムの上下(山頂停車場・山麓停車場間)を結ぶケーブルカーとして活用されています。最大傾斜角は35度もあり、高低差は121メートルもあり、スケールが大きく乗りごたえがありそうです。

 

次の写真は下の駅から上を撮影したもの。すごい登りです。

 

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そしてこのように上っていきます。

この写真は上の駅から少し歩いた駐車場から撮影しました。 

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横から見るとこんな感じです。

 

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上まで行くとダム湖です。

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ということで、関西からはなかなか行く機会のない宮ケ瀬ダムで半日遊んで帰りました。

「ユーラシアニズム」と地政学

先日この「ユーラシアニズム」という本を読みました。 

ユーラシアニズム―ロシア新ナショナリズムの台頭

ユーラシアニズム―ロシア新ナショナリズムの台頭

 

「ユーラシアニズム」とは、ロシア中心主義の思想をその源流からたどった書籍ですが、中心となるのは、アレクサンドル・ドゥーギンという人物です。この人は日本ではほとんど知られておらず、ググっても

はてなブックマーク - CiNii 論文 - アレクサンドル・ドゥーギン, 『地政学の基礎 ロシアの地政学的未来/空間をもって思考する』, モスクワ, 1999年, 928ページ

という論文が出てくる程度です。ただ、この論文はよくまとまっており、この「ユーラシアニズム」という書籍が、なぜロシア革命直後から書き出されているのかよく理解できました。

 

このドゥーギンの思想の根底は「地政学」という学問です。

私が大学生の頃、地政学が一瞬だけ注目されたことがありました。当時、地政学を紹介してベストセラーになった本があり、私も買って読みました。タイトルも著者も全く忘れていましたが、ネットで調べたらわかりました。

 この本です。

 

悪の論理―ゲオポリティク(地政学)とは何か (Ohtemachi books)

悪の論理―ゲオポリティク(地政学)とは何か (Ohtemachi books)

 

 

 たしかこれを元にしたテレビ番組も放映されていたような記憶があります(今思い出したのですが、確か「ケースD」というキーワードがあったような)。

 

この地政学は、国家戦略に科学的根拠と正当性を与えるための学問ですが、ドイツ系と英米系の二つの流れがあるようで、マハンの海洋国家論、マッキンダーハートランド論などは英米系です。ただこのハートランド理論がドイツ系の理論に受け継がれ、カール・ハウスホーファー生存権理論の源流となったようです(このあたりはあまり調べず書いているので不正確かもしれません)。

ハウスホーファーは、もともと軍人だったようですが、政治学カール・シュミットと並んでナチスに重用された学者となりました。そしてこの2人のカールは、同じようにナチスドイツの敗北後には追われる立場になりました。

政治学は学問として長い歴史があるので、学問自体はナチスの敗北後も変わらず存在しただ親ナチスの学者が失脚したりしただけで、シュミットも逮捕されましたが、戦犯として訴追されず、しばらくの隠棲の後に復活しました。しかし地政学は、学問自体がナチスの侵略政策の根源であるとして抹殺され、1946年にハウスホーファーは自殺してしまいました。

しかしこの地政学ハートランド国家としてのロシアに継承され、今も国家政策に強い影響を与えている、というのがこの「ユーラシアニズム 」に書かれていました。

なおこのドゥーギンですが、トランプ大統領の支持母体の一つであるオルトライトの中心人物である、リチャード・スペンサーが主催するシンポジウムに、スカイプでゲスト出演していたことがあるということで、今後注目すべき人物の一人であることは確かなようです。

金刀比羅宮の奥社へ

こんぴらさん」として知られる金刀比羅宮は、御本宮まで785段の階段があります。籠に乗って参拝される方もおられるように、ある程度体力がいるのですが、そこからさらに583段上がったところに奥社があり、ここまで行かれる方は少ないようです。かくいう私も、これまで御本宮までは10回くらい参拝しているのですが、奥社には行ったことがなく、先日、初めて奥社まで行ってきました。

 

御本宮に向かって右手、展望台の奥に奥社への入り口があります。

 

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少し歩くと真井橋という橋が架かっていますが、このあたりから空気が違ってきます。

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橋を渡り、北原白秋の歌碑を過ぎると常磐神社があります。

社殿は流造の銅板葺です。

御祭神は、武雷尊(たけいかづちのみこと)・誉田和氣尊(ほんだわけのみこと)です。誉田和氣尊は、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)・神功皇后(じんぐうこうごう)の皇子で、八幡様として各地に広く祀られている神様です。

 

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さらに歩くと白峰神社。御祭神はあの怖ろしい怨霊、崇徳天皇です。

 

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何となく封じ込めているような感じがありますね。

紅葉谷鳥居を過ぎると、菅原神社(すがわらじんじゃ)に至ります。社殿は流造・銅板葺です。

御祭神は、讃岐守を務めたこともある菅原道真命です。

 

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さてここからは石段の登りとなり、かなり上ってようやく一番奥の「厳魂神社(いづたまじんじゃ)」に着きました。

 

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ここが本当の一番奥ですが、山の頂上ではなく中腹に一番奥社があるというのは、先日のブラタモリでも解説されていたように、地質によるところが大きいのでしょう。

奥社にはこのように菅原道真崇徳上皇という日本三大怨霊のうちの2人が祀られています(あと一人は平将門)。つまりここには三大怨霊のうち二人が祭られているのですから何とも恐ろしい空間のはずですが、そのような雰囲気はありません。登りもさほどきつくないので、一度行かれたらいかがでしょうか。

 

 

 

 

2017世界選手権総括

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さてようやく世界選手権関連記事も最後の総括となります。

まずは女子。

・来シーズン、つまり五輪での日本の枠が2枠になってしまいました。

思えば昨年、それまでずっと続けてきた連続表彰台がストップしてしまっており、その時点で危惧はあったのですが、宮原の欠場で3枠はかなり困難な状況になってしまい、また三原のSPの最後の3Fの転倒の時点で3枠はあきらめざるを得なくなりました。

日本の女子が停滞期、というより他の国、特にロシアが得点を伸ばしているのに対し、そこまで伸ばしきれなかったというべきでしょうか。ただ、ソチ五輪のロシアも前年の世界選手権で2枠に減らしたにもかかわらず金メダルを取ったので、まあメダルの期待がなくなったわけではありません。

・対照的に上げ潮なのがカナダで、ロシェットが一線を退いてから長らく低迷していましたが、今回は表彰台に2人も乗り、五輪3枠になりました。今回はオズモンド、デールマンの2人でしたが、3枠にとなれば3Aにもトライしたことのあるチャートランドも出てくることでしょう。昨年11月17日付で、グランプリシリーズ前半戦レビューで、カナダの女子3人が元気だという記事

http://blog.hatena.ne.jp/okubolaw/okubolaw.hatenablog.com/edit?entry=10328749687194475463

を書きましたが、そのままの結果になりました。

ロシアは、メドベデワという絶対的な女王がいながら、層が厚くソツコワもいれば来シーズンはザギトワという逸材もいるしで、まさに黄金時代といえるでしょう。

後はアメリカですが、ゴールドの欠場は残念でした。五輪には出てきてほしいと思います。

 

男子

・「真4回転時代」だそうですが、ボーヤンジン、ネイサンチェンという4Lz3Tを平気で降りる選手の出現でジャンプのレベルがとんでもなく上がり、FSのTESで110以上が4人となり、その結果300点でも表彰台に立てない(フェルナンデスは301.19点で4位)という恐ろしい時代がやってきました。

他方、PCSの方は現時点では100を超えることがないため、一流選手で90点台後半が出るようになれば、その後は差がほとんどつかず、そうするとやはりTESの争いとなります。実際にFSの1位から4位はTESの順に並んでいました。

そして、TES点数を伸ばすには、いかに4回転を多く入れるか、そのためには種類をどう増やすかという流れになります。

バンクーバーの時に、4回転なしで金メダルを取るのがいいのかどうかという論戦になっていたのがはるか遠い昔のようです。

・中継においてTESの速報値が出るようになったので、おおよその点数が、演技終了直後という早い時点で分かるようになったこともかなりの変化です。

 ・羽生選手はFSで完璧な演技を披露しましたが、宇野選手は2位となっただけでなく1位と2.28点差という素晴らしい演技で、素晴らしい成長ぶりを見せました。五輪でもこの2人を中心にフェルナンデス、ボーヤン・ジン、ネイサン・チェンの争いとなるのでしょう。