弁護士大久保康弘のブログ

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青春18切符の旅(3) 舞鶴

 

 

この夏も青春18切符を利用して日帰りの旅に出ました。今回の目的地は舞鶴

舞鶴に行くには綾部を経由しますが、綾部までは京都から山陰本線経由と、大阪から福知山線経由の二通りがありますが、行きは京都から山陰本線に乗りました。

嵯峨野を過ぎて、保津峡の新線区間を過ぎると、途中から山深いというより、緑の多い街道沿いを走り、右手から舞鶴線が近づいてくると綾部です。ここで乗り換え。待ち時間の間に、10時になったので、NHK杯の申込みをしようとしたのですがつながらず断念。

舞鶴線は西舞鶴までに駅が3つしかない短い路線です。西舞鶴北近畿タンゴ鉄道の乗り換え駅で構内も広いですが、東舞鶴は1面2線の高架駅になっています。

駅前でレンタサイクルを借りて、まずは中舞鶴支線の廃線跡のトンネルに向かいます。

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中に入るとこのように、向こう側から光が差し込み、まるで異世界への通路のようです。自転車で走るととても涼しい。

 

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トンネルを抜けると赤レンガ倉庫群が見えてきます。

  

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この中で営業しているカフェがあり、遊覧船の時刻までに食べることができそうなのでカレーを食べることにしました。

 

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舞鶴海自カレーというスタンプラリーが開催されているようで、12か所でいろんな鑑のカレーを食べられるようです。

私の前の人はスタンプを押してもらっていましたが、私は知りませんでした。

 

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このカレーは護衛艦「ふゆづき」のカレーということです。

 

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食べ終わって遊覧船に乗ります。先頭のオープンスペースに出ると、風が吹いて涼しいのが何より。

 

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涼しい船旅を楽しんだ後は、また猛暑の中、自転車で海軍記念館に向かいました。

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少し戻って自衛隊桟橋を見学。

 本日の目玉はヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」。

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 海上自衛隊の桟橋ではこんな廃線跡を発見してしまいました。

 

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これで舞鶴観光は終わり、東舞鶴駅から西舞鶴に戻り、北近畿タンゴ鉄道に乗り天橋立を目指しますが、ちょうどあかまつに乗車することができました。

 

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このあかまつ、乗車料金は必要ですが、アイスコーヒーが飲めるので高くはありません。由良川鉄橋では減速して走ってくれます。

天橋立ではスロープカーに乗りましたが、これは別エントリにて。

 

帰りは福知山経由で帰りました。伊丹までは空いていましたが、伊丹から花火大会の帰りの人で混雑しました。

 

「氷艶」と「THE ICE」

先週から今週にかけてフィギュアスケート関係の放映をいくつか見ました。

まずはNHKBSプレミアムで放映された「氷艶」。

「氷艶 hyoen2017『破沙羅』」ビジュアル公開 

筋はよく分かりませんでしたが、芝居の国の英雄である義経と大悪人である仁木弾正が戦うという話。神話の時代の人物から江戸時代の仁木弾正までが登場する、時空を超えた戦いとなっていました。

 

なかなか面白かった。歌舞伎役者のみなさんもよく滑っていたし。 

チームラボの演出もよかった。


佐々木彰生君が出ていたのは知っていましたが、庄司理紗ちゃんもでていたのか。

この二人は全日本で印象に残ったシーンがあります。

佐々木彰生はなぜか観客席側で一人アップをしていたのを見たことがありますし、近くに座っていた人に応援のうちわを渡され、即席の応援団に加入して応援したものでした。

庄司理紗は大阪でのレジェンドオブフォールの好演技が今でも記憶に残っています。

2年くらい前でしたか、大阪のある場所でのイベント(氷上ではありません。たまたま知り合いに教えてもらい見に行きましたが、当日彼女が出ることを知っていたのは私だけだったと思います)で見かけましたが、少し大柄になりすぎたなという印象を受けました。

今回、元気な様子を見て嬉しく思いました。


また、村上佳奈子がなかなかいい味を出していたと思います。

 

さて 一方のTHE ICEですが、BSフジでオンエアされたものを見ました(完全版が日テレプラスでオンエアされるようです)。

 

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浅田真央メインのこのアイスショーは2007年にスタートし、今回で11年目となるようです。当初は愛知県だけの開催でしたが、5年目からは大阪でも開催されるようになり、大阪公演を一度見たことがあります。

 

今回は浅田真央が競技生活からの引退後初公演ということで注目されていました。昨年末に大阪で開催された全日本を会場で見ることができましたが、それ以来の演技となります。


目玉は「浅田真央メドレー」という、浅田真央がこれまで演じてきたプログラムを、他のスケーターが滑るというもの。これは好企画でした。

 

全体の印象としては、浅田真央の第2章の開幕というより、第1幕のフィナーレを飾る公演というべきものでした。


いずれにしても浅田真央の元気な姿をまた見ることができて良かったと思いました。

「怖い絵」展@兵庫県立美術館

8月中旬以降は体調がすぐれず、なかなかブログを更新することもできませんでしたが、ようやく更新する体力が戻ってきたので、これからまた頑張って更新していきます。

 

もう1か月前になってしまいましたが、8月12日に、兵庫県立美術館で「怖い絵」展を見ました。

展覧会を観る前にお昼を2件隣のJICAにて食べました。ここでは各国のエスニック料理が味わえます。

8月のセットメニューはシリア料理でした。

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左下のカレーのようなのは「バーミヤビルラッハマ」というマトンとオクラの煮込み。真ん中のライスのようなものは「アーアルアルーズ」という極細パスタ入りバターライス。左上はニンジンのチキンスープ。右上はデザートで「バルーザ」という牛乳とオレンジの二層のゼリー。右下は「ババガヌージュ」という茄子とゴマのペーストです。

 

展示もあり、今回は楽器の展示などを見ました。下は親指ピアノという名でも知られるカリンバ。キングクリムゾンの「太陽と戦慄」パート1の冒頭で聞かれる楽器です。

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さて会場へ。夏休みの土曜日とあってかなりの混雑でした。

 

下の絵は、「殺人」というもので題名、内容とも怖いのですが驚くのは作者。

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作者は何とセザンヌ。こんな絵をセザンヌが書いていたとは。

 

下はターナーの「ドルバターン城」。風景に「崇高」という概念を見出した作品とされています。

 

 

 

そしてこの展覧会の目玉ポールドラローシュ「レディジェーングレイの処刑。

 

 

夏目漱石も初期の作品「倫敦塔」の中で触れているように、王位についたものの、わずか9日後に廃位され7か月後に処刑されてしまうレディ・ジェーン・グレイの断頭の直前を描いたもの。

恐ろしい運命を前にして保たれた気品が圧倒的です。

またこの絵自体も長い間失われたものと思われており、今我々が見ることができること自体が奇跡的ということで、数奇な運命を感じさせます。

 

神戸では9月18日まで開催されています。

読書記録「意識高い系の研究」

この本は書いてあることそのものは面白かったのですが、ただし分析の前提となる枠組みがきちんと考えられていないのが勿体なく思いました。 

「意識高い系」の研究 (文春新書)

「意識高い系」の研究 (文春新書)

 

この本によれば「意識高い系」とは、具体的なスポーツなどを目的としたサークルではなく、抽象的な目的のサークルを立ち上げ、パーティーに参加してそれをインスタグラムやフェイスブックに上げるような人と定義しています。

ただボランティアとか海外交流などの要素もあると思うのですが、そこはそれほど触れられていない。

また著者によれば「意識高い系」の対概念は「リア充」であり、「リア充」とは、地元でずっと過ごして太い人脈がある人のことであり、彼女がいるとかいないというのは関係ないということでしたが、これはちょっとずれているのではないでしょう。

 

このような地元人脈系は「地元土着充実系」とでもすればよいと思います。またさらに附属からエスカレーター式に大学に上がった学生もリア充としていますが、これは単に「私立大学内部進学系」あるいは金持ちのボンボンとでもすればよく、この両者は、上昇志向不要という点で共通点がありますが、明らかに別種で区別すべきでしょう。

 

また「意識高い系」になってしまうのは、(著者の用語で言う)「リア充」になれないからそのリベンジというのですが、「意識高い系」はそれだけをルーツに持つのではないだろうと思う。ただ単に横文字にあこがれる奴(昔でいうとカタカナ職業というやつ。デザイナーとかエディタとか)というルーツもあるのではないか。またピースボートなんかもそうでしょう。 

 

問題は「三次元をあきらめた系」とでも名付けられる方々の存在が全く無視されていることで、このカテゴリーの方にとっては地元系でも意識高い系でも地元土着系でも私立大学内部進学系でも彼女と楽しくやっていればリア充爆発というやつで、ここから見れば本当のリア充であろうが似非リア充であろうが同じなのではないでしょうか。

 

書いていて何を言っているかよく分からなくなってきましたが、要は、「意識高い系」は真のリア充ではない、といっても、なんだかなあ、という感想につきます。

奈良国立博物館 源信展(後期)

奈良国立博物館の「源信」展。既に終了していますが、2日に後期の展示を見てきました。

前期を見て、六道絵の凄さに圧倒されましたが、後期もこれに劣らず見応えが十分でした。

 

まずは地獄絵から。

 

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 国宝の地獄草紙です。キャラが立っていますね。

 

そして後期で一番迫力のあった地獄絵が、當麻寺奥の院の十界図屏風。

 

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とにかく、地獄図が掛け軸ではなく屏風になっており、圧倒されます。洛中洛外図っぽいところもありますが、こんな屏風を出されたら困りますね。

 

金戒光明寺の地獄極楽図。こちらは十界図ほど大きくなくコンパクトにまとまっています。

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 なにより極楽もあるし、さらに隣には阿弥陀三尊もついておられるので安心です。

 

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そして後期の目玉は、何と言ってもこの和歌山有志八幡講十八箇院の阿弥陀聖衆来迎図。

 

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回りの聖衆は全部で33体描かれていますが、この聖衆の表情が実に面白く、うっとりしたような表情の方、色っぽい方など、素敵です。

 

 これ一つ見るだけでも後期を見た甲斐がありました。

 

 

 

 

 

読書記録 「秘伝・日本史解読術」荒山徹

この著者の小説は何冊か読んだことがあります。代表的なのはこの作品でしょう。

 

徳川家康 トクチョンカガン (実業之日本社文庫)

徳川家康 トクチョンカガン (実業之日本社文庫)

 

徳川家康は「トクチョンカガン」であったという小説です。 なぜ「トクチョンカガン」かは実際に読んで下さい。奇想の歴史小説家といっていいでしょう。

今回読んだのは小説ではなく、日本史全体を見渡す本です。 

秘伝・日本史解読術 (新潮新書)

秘伝・日本史解読術 (新潮新書)

  

この本には、系図の作り方や歴史小説の読み方などいろいろ有益な情報も書かれていますが、この本に書かれたことで、注目すべき指摘がいくつかあります。

第11章「日本史上の二大画期」において、「承久の変こそは明治維新と並ぶ日本史上二大画期」とされ、鎌倉幕府の開設ではなく、1221年の承久の変が日本史における革命であり、北条義時は世界史的な偉人だということです。

 

承久の変といえば後鳥羽上皇後鳥羽上皇といえば保田與重郎の「後鳥羽院」という連想がすぐに働くのですが、日本の歴史の重大な転換点における勝者が北条義時、敗者が後鳥羽上皇ということになります。

 

北条氏と言えば、その後の1232年の北条泰時の時代に、「御成敗式目」が制定されています。山本七平の「日本的革命の哲学」によれば、武家社会の慣習法を明文化した御成敗式目の制定こそ日本における革命だという評価がなされています。前記の承久の変による武家政権の完全な確立とその政権の基本法である御成敗式目の二つで、平安末期の平家政権及び源氏3代政権という過渡期を経て、完全に武家政権が確立したということになるのでしょう。

このあたりはもう少し掘り下げて考えてみたいところです。

 

また、第12章「二つの中国とモンゴルの侵略」において、現代中国の源流は隋から遡った鮮卑の国である「代」ということも書いてあります。そのあたりは岡田英弘教授の本に書いてあるのということですが、岡田先生の本は何冊か読んだことがあり、それにより視野が広がったという記憶はありますが、具体的に覚えているのは、モンゴルにより世界史は始まったということくらいで、現代中国の源流について何が書いてあったかについては覚えていません。 

 

さらに、第16章「太閤記ものの読み方」において、津本陽の「夢のまた夢」が優れていることを述べているのも面白い。大河ドラマ軍師官兵衛」において朝鮮出兵はほとんどスルーされたのですが、そもそも司馬遼太郎の「新史太閤記」にしてからが朝鮮出兵を書いていない。スルーした理由について著者は「当時の朝鮮が両班のみ栄える奴隷制国家であったことを描かなければならないので、それでためらっているのかな、と考えます」と言っています。 

その他読みどころの多い本でした。

ブライアン・オールディス追悼

先日、山野浩一の追悼記事を書きましたが、それに続いて、英国SFニューウェイブの巨匠の訃報が届きました。

8月19日、ブライアンオールディス氏92歳で死去

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=5&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwivpIKW9oDWAhUBybwKHWFeBekQFgg8MAQ&url=http%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Flife%2Fnews%2F170822%2Flif1708220045-n1.html&usg=AFQjCNF0nqeawd1uB_BRdSyMxbolkYUioQ

スピルバーグ監督映画の原案にも」 と見出しにあり、コアな英国SFファン以外の方に紹介するにはやはりそこがポイントかと。

 

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

 
 

 やはりこれがが代表作でしょうね。
 
オールディスの邦訳はハヤカワSFシリーズで出たものが多かったのですが、このシリーズは売っている本屋さんが非常に限られており、なかなか入手困難でした。
そんな中で「陰生代」「銀河は砂粒のごとく」「虚構の大地」「爆発星雲の伝説」を何とか入手しました。「爆発星雲の伝説」は中学の時、陸上部の競技会があったため、普段行かない鳳の本屋さんに行ったら一冊だけありました。「暗い光年」は結局入手できず、ペーパーバックで読みました。
一方、創元文庫では、これが代表作ですかね。

 

子供の消えた惑星 (創元推理文庫 640-2)

子供の消えた惑星 (創元推理文庫 640-2)

 

 

オールディスの作品は、いかにも英国らしい重厚な感じが魅力的でした。短編ですが、「爆発星雲の伝説」所収の「一種の技巧」「賛美歌百番」は地球の遠い未来を描きながら、テイストはイギリスそのもので、英国SF好きにはたまらない作品となっていました。
近年でも、映画化にともない下記の作品が邦訳されました。作品自体は77年というパンクの時代ですが、久しぶりにオールディスの名前を聞くことができてよかったと思います。

 

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド (河出文庫)

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド (河出文庫)