弁護士大久保康弘のブログ

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国宝展(第1期、第2期)@京都国立博物館

10月3日から、京都国立博物館で「国宝」展が開催されています。

 

 

現在は第2期ですが、1期、2期に1回ずつ、見に行きました。

第1期は3連休の最後の9日の月曜日に行きましたが、入り口で40分待ちと言われました。ただ、建物の中に入って行列に並んでいたので、日差しや気温の高さは気になりませんでした。30分程度で入場できました。

第2期は台風の接近する22日に見に行きました。台風接近ということで空いているかと思いきや、雨の中外で並ばされました。これは旅行で京都に来られている方々が雨のため国宝展に集中したからではないかと思います。

いずれにしても混雑は免れないようです。

 

今回はいろいろなジャンルから選ばれていましたが、まずは3階の書から。書については1期、2期で展示替えが多くあり、2期では空海の聾瞽指帰 が見ものでした。

 

ろうこしいき上巻・下巻

次は考古。

ここでは3つの土偶と、火焔型土器が見ものです。特に火焔型土器はなかなか見られません。私も初めて見ました。

 

 

2階は絵画。第1期、第2期では、雪舟の国宝6点がまとめて鑑賞できる室がありました。中でも毛利博物館が所蔵する山水長巻はこれまで見る機会がなく、堪能できました。

 

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この絵画は、1期、2期では地獄絵が多く、聖衆来迎寺の六道絵、地獄草子などは先日奈良国立博物館源信展で見たものでした。 

3期以降は肖像画が見られるようです。

 

1階は彫刻、刀剣などですが、2期の目玉は京都龍光院曜変天目茶碗。

静嘉堂文庫美術館藤田美術館にもありますがそれぞれ見たことがあり、龍光院のものはめったに公開されないので見ものです。初めて観ましたが素晴らしい輝き。

 

 

館内で近くで見るための行列がありましたが、遠くからでは茶碗の内部の輝きがほとんど見えないので、これはぜひとも並ぶべきです。

2期は10月29日まで。3期、4期もできれば両方見たいと思いました。

 

 

 

 

超不良馬場の菊花賞

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台風が接近して開催が危ぶまれた菊花賞を見てきました。

もともとこの日は京都国立博物館の「国宝」展第2期を見てから菊花賞を見る予定にしていたので、多少雨が降っても見に行く予定でしたが、台風が接近しているとなると考えものでしたが、どちらも中止にならないということで見に行きました。

国宝展の記事は別途書きます。

国宝展に着いたのが11時半ころで、1時半くらいに出ることができたので近くのココイチでメンチカツカレーを食べてから京阪に乗り競馬場へ。

さすがに空いており、スタンド内で座ることができました。

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菊花賞の前の10レースの単複が的中したので幸先良くスタートを迎えることができました。

レースは凄まじい消耗戦になりました。先行していた馬は順に脱落していき、残った馬がバテバテになりながらも死力を振り絞って戦うというものすごいレースになり、全ての馬がゴールを駆け抜けるとすぐに走るのをやめてしまうほどでした。

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勝ち時計は何と3分18秒9。菊花賞史上最も時計がかかっただけでなく、春の天皇賞3200のタイムのほとんどよりも遅いというもの。上がり3ハロンは40秒、ラストは13秒9と、数字がレースの過酷さをあらわしています。凄いレースを観ることができました。勝ったキセキにはぜひ凱旋門賞に挑戦してほしいと思います。

隠れ社寺訪問記(7) 大阪市住吉区 西之坊

隠れ社寺訪問記、このところ大阪が続いていますが今回も大阪です。

住吉区にある西之坊。10月1日から3日まで特別公開されました。

 

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 この前紹介した東大禅寺は住吉東駅の東側にありましたが、今回は住吉東駅の西側です。

  

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古くからの住宅街の中に西之坊があります。

 

 

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境内には方違堂があります。

こちらは本堂。 

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以上外観でしたが、以下は本堂の仏像を。

まずはこれです。他に類例がないという、菩薩型立像。

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大雑把に表現すれば荒神の顔が菩薩になっているというものですが、三面で八臂です。有名な興福寺の阿修羅増が三面六臂で、三面八臂は珍しいと思います。

また頭上の被り物に化仏があるのも独特です。

 

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ご本尊の地蔵菩薩です。かなり大きく迫力があります。

  

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蛇神。宇賀神さんではなく蛇だけです。

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ここでもなかなかユニークな仏像、神像を見ることができました。 

 

映画「サーミの血」を見ました。

映画「サーミの血」をテアトル梅田で見ました。

映画館で映画を見るのは久しぶりです。最近は昼食後居眠りをしてしまうことが多く、映画を見に行っても寝てしまう危険性が高いからです。

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スウェーデン北部、ラップランドに暮らすサーミ人の物語ですが、実はこの映画が公開されると知った時、「自分が見ないで誰が見るんだ」という気持ちになりました。

 

というのも、以前からサーミ人というか、その音楽である「ヨイク」に関心があったからでした (そんな人は少ないと思いますが)。

私がサーミ人とその歌であるヨイクに興味を持つようになったきっかけは、ピーター・ガブリエルが主催しているWOMADで紹介されていた、マリ・ボイネというサーミ人の歌手の歌を聴いて衝撃を受けたことがきっかけでした。

ヨイクは、独特な節回しで唸るように歌われます。

 


Mari Boine - I Come From The Other Side

 

そして2012年の12月、フィギュアスケート全日本選手権が札幌で開催されたことから、観戦した際に北海道大学を訪れるとサーミ人をテーマにしたこのような展示が。

 

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札幌で2泊したのですが、日曜日の午前中から昼にかけて時間があったので、北大や時計台という札幌中心部を観光した際、偶然この「北極圏のコミュニケーション 境界を越えるサーミ」という展示に出くわしたのです。

 

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民族衣装。青と赤が印象的です。

 

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トナカイの展示。

 

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毛皮でできた冬用のテント。

 

という訳で、なぜかサーミ人とヨイクには関心というか縁があったので、この映画のタイトルを聞いておおこれは見なければ、と思ったのでした。 

 

f:id:okubolaw:20171004180600j:plain 内容はこのチラシに書いてある通りです。

放牧学校という、サーミ人だけが学ぶ学校に通う主人公の少女は、成績がよく外の世界に出たい、進学したいと思うようになります。

ダンスバーティで知り合った男子学生を頼ってウプサラに行きますが、相手にされず、何とか学校に潜り込みますが、なかなか馴染まない。友達に招待された際に、「ヨイクを歌って」と言われ、意を決して歌います。

 

その後は映画では描かれていませんが、冒頭で妹の葬儀のため帰郷したのが何十年ぶりかであり、息子もいることからすれば、学校に行くことができたのでしょう。

ラップランドの風景も透明感があり美しいものでした。

なおパンフレットに書かれた宮台真司の文はひどいものでした。

 

なお、先ほど触れたマリ・ボイネは健在で、何と今年新しいアルバムをリリースしたようです。

これが新しいアルバムSee The Woman。

 

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この映画とサーミ人、その音楽を紹介できたことを嬉しく思います。 

 

ノーベル文学賞はカズオ・イシグロに

昨日はノーベル文学賞の発表があり、カズオ・イシグロが受賞しました。

ここ数年、村上春樹が受賞するのではないかと言われていましたが、昨年のディラン、今年のカズオ・イシグロと、ある意味村上春樹の世界と近い人が受賞したと言えるのではないでしょうか。

 

また、日本の出版業界においては、本命視されていたグギ・ワ・ジオンゴというケニアの作家より、長崎生まれ、原作のテレビドラマや舞台があり、映画化もされている作家の受賞はとても喜ばしいことだったのではないでしょうか。

 

本屋さんや図書館でもその作品を求める人が多くいるようで、喜ばしいことです。

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

 

私は「日の名残り」を、出てしばらく経った時期に読みましたが、落日の大英帝国を執事の目から見た重厚感のある小説でした。ただこれはイギリス国内で生まれたものではないからこそ書ける小説だったのではないかと思います。

驚くのは中公文庫が、以下のような高値で売られていることです。

 

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ハヤカワのものならこれほど高くないのですが、この高値は、「かなり前からカズオ・イシグロを読んでいた」と言いたい方のための商品だから、ということでしょうか。

私は中公文庫版を持っているので、こんな高値が付くなら売ろうかとも思います。

 

また、次の作品も、閉ざされた施設で生活する若い男女が描かれているのですが、何かものすごく不穏な雰囲気が漂っており、実はこの施設は・・という真相が知らされたときは仰天しました。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 

今回のノーベル賞の報道で、この作品のネタバレを心配していたのですが、「めざましテレビ」では「施設に暮らす若者の過酷な運命を描く」という表現をしていてこれはセーフ。しかし、朝日新聞は見事に一面でネタバレしていました。

 

茨木麦音フェスタ

9月23日、24日の2日間、大阪府茨木市で第6回麦音フェスタが開催されました。

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野外で音楽(プログレ系が多い)を聴きながらクラフトビールを楽しもうというコンセプトのこの催し、今回で6回目のようですが、友人のバンドが出るというので初めて参加しました。

私は23日に参加しました。当日は祝日でしたが、朝から事務所で所用があり、またその後探し物をする必要があったので12時ころまで事務所におり、茨木に着いたのは13時前でした。

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ちょうど2番手の雪盗境士のステージが始まったばかりでした。

 

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一人でロックンロールするというなかなかユニークなステージでした。 

この間、一杯400円のビールを飲んでいると待ち合わせしていた友人が来たのでさらにビールを飲んでいると酔っぱらってきました。

 

次はスリーピースのプログレバンド、荘園。今日はこの荘園を見に来ました。ステージを見るのは2回目です。

 

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全てインストですが曲がバラエティに富んでいて飽きさせません。

 

続いては浪漫座。新月と並ぶ和プログレの雄ですが、生で見るのは初めてです。

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メロトロンとムーグを駆使した演奏で、70年代からプログレを聴いている者としてはメロトロンの洪水とムーグがポルタメントに唸る音が、実に気持ちいい。

 

メロトロンは電子化されていましたが、それでもトラブルがあり、うーんメロトロンらしいなと。ただそのトラブルは、音が止まらないというもので、7秒間しか音が続かない本来のメロトロンなら有り得ない現象だったのは何とも言えません。

  

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 土曜日のトリはプリズム。

次第に暮れてきていい感じ。気持ちよく酔って聞いていました。

 

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帰りはJR茨木駅から帰りましたが、ボストンみたいでよかったです。

 

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また来年も参加しようと思います。

 

書類送検とはなにか

先日、大阪のミナミで未成年者と飲酒その他に及んだという容疑で捜査されていた俳優の小出恵介さんが、書類送検されたという報道がありました。

 

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この書類送検、新聞やテレビなどでは時々聞く言葉ですが、刑事訴訟法には、送致するという文言はありますが、書類送検という文言はありません。

 

送検の「検」は検察庁の検です。犯罪の疑いがあると警察官が思慮したときに捜査が開始されますが、逮捕して取り調べる場合と、逮捕せずに何回か警察に出頭してもらって取り調べる場合があります(この場合を在宅といいます)。

 

この後者の在宅の場合、警察での取り調べが一段落して検察官に一件書類を送りますが、これが送検です。

ただし、逮捕されなくても起訴される場合はあります。この場合は書類送検とはいいません。また、取り調べをしても犯罪の嫌疑が不十分で捜査が終了した場合も、書類送検として報道されないようです。

 

つまり、「書類送検」とは逮捕も起訴もされないが、犯罪事実はある程度認められ、起訴猶予が見込まれる場合には、報道するタイミングがそこにしかないので「書類送検された」と報道する。このように報道のための用語だと思ってもらっていいでしょう。

 

誰かが犯罪を犯したとされる場合、「逮捕」はニュースになりますし、また「起訴」もニュースになりますが、不起訴になる場合、「不起訴」や「起訴猶予」では悪いことをしたというイメージがないので、「書類送検」として報道するというわけです。

 

ただ弁護士からすると、刑事訴訟法にない文言を使ってそれが定着するのはいかがなものだろうか、とは思います。