弁護士大久保康弘のブログ

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読書

追悼 山野浩一

鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選?) (創元SF文庫) 作者: 山野浩一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2011/10/28 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (12件) を見る 7月も後半になり、週刊競馬ブックに、上半期フリーハ…

斉藤美奈子「文庫解説ワンダーランド」

私が文庫本というものの存在を知ったのは中学生の頃でした。その前には親に買い与えられた子供向けの本や、子供向けの世界の文学を読んでいたのですが、自分で本屋に行くようになると安いこともあって文庫本に目が行くようになりました。 この当時は、新潮文…

津島佑子 火の山-山猿記

久し振りに読書の記事です。 火の山 山猿記(上) (講談社文庫) 作者: 津島佑子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/02/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 火の山 山猿記(下) (講談社文庫) 作者: 津島佑子 出版社/メーカー: 講談社 発…

小谷野敦「芥川賞の偏差値」

この著者の本は結構読んでいますが 、 このブログで取り上げるのは初めてです。 芥川賞の偏差値 作者: 小谷野敦 出版社/メーカー: 二見書房 発売日: 2017/02/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 芥川賞を受賞した全作品についてコメント…

須賀しのぶ「芙蓉千里」3部作

今回はハルビンとシベリアを舞台にした、須賀しのぶの「芙蓉千里」3部作を取り上げます。 旧満州の北部の都市、ハルビンには約30年前に一度だけ行ったことがあります。 神戸から上海へ、2泊3日の航海をする「鑑真号」という船が出ていて、お金はないが暇はあ…

ロキノン系文体ー「 ロッキング・オンの時代」と又吉直樹「第二図書係補佐」

私が音楽を主体的に聴くようになったのは、小学校5年生の冬でした。 ある日風邪をひいてしまい、学校を休んで昼間からずっと家で寝る羽目になってしまったのですが(確か小学校を休んだのはこの1日だけだったと思う)、親が退屈だろうからと、枕元にラジオを置…

「ユーラシアニズム」と地政学

先日この「ユーラシアニズム」という本を読みました。 ユーラシアニズム―ロシア新ナショナリズムの台頭 作者: チャールズ・クローヴァー,越智道雄 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2016/09/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 「ユー…

「証拠になる」とはどういうことか-「カムイ伝」「アドルフに告ぐ」「大阪夏の陣屏風」

森友学園の件でいろいろ騒がしく、今日は証人喚問がありましたが、先日理事長が自身の主張の裏付けであるとしてマスコミに呈示した振り込み用紙の控え(と思われるもの)ですが、これが証拠になるのか、ならないのかという議論が一部でされているようです。 …

「五色の虹-満州建国大学卒業生たちの戦後」

前回は「大東亜共栄圏」でしたが今回は満州国についての本。 五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 作者: 三浦英之 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る この「五色の虹」は満州建国大学卒業…

河西晃祐「大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験」

大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験 (講談社選書メチエ) 作者: 河西晃祐 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/08/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 「大東亜共栄圏」は松岡洋右が公表したもので、言葉としてはよく知…

恩田陸と森見登美彦

1月に直木賞の発表があり、恩田陸、須賀しのぶ、森見登美彦、垣根涼介、冲方丁の5氏がノミネートされ、恩田陸さんが受賞しました。 恩田陸さんの作品は、少し前まではかなりよく読んでいたのですが(「ねじの回転」「月の裏側」「昨日の世界」など)、最近の…

安部龍太郎「等伯」

今回は安部龍太郎の「等伯」を取り上げます。 この作品は日経に連載され2012年の直木賞を受賞していますが、これまで読んだことはなく、たまたま何か時代小説を読もうと思っていた時にこの作品に思い当たり、読み始めたのですが、ちょうどタイミングよくNHK…

山形浩生氏のブログでマイケル・コーニィ作品が取り上げられていた件

山形浩生の「経済のトリセツ」はよく読んでいるブログの一つですが、今回のエントリでは、マイケル・コーニィの2作「ハローサマー・グッドバイ」「ブロントメク!」が取り上げられており、私も昨年コーニィの「ハローサマー・グッドバイ」を再読し、続編の「…

「高坂正堯と戦後日本」を読んで

高坂正堯と戦後日本 作者: 五百旗頭真,中西寛 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/05/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 高坂先生は私のゼミの恩師でしたが、1996年に62歳で亡くなられたので、没後20年で出された本ということ…

お金の奴隷? 岡田斗司夫氏の「お金って何だろう??僕らはいつまで「円」を使い続けるのか??」を読む

先日こんな本を読みました。いつもの調子でアウトオブデイトだと思っていたのですが、なぜか知らない間にタイムリーになっていたようです。 「お金」って、何だろう??僕らはいつまで「円」を使い続けるのか?? (光文社新書) 作者: 山形浩生,岡田斗司夫FR…

64(ロクヨン)

64(ロクヨン) 作者: 横山秀夫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/10 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 75回 この商品を含むブログ (120件) を見る 正月明けの連休に読みました。 わずか7日しかなかった昭和64年に起こった誘拐殺人事件64(ロクヨ…

「戦争まで」加藤陽子

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗 作者: 加藤陽子 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 2016/08/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (12件) を見る 今年読んだ本の一冊目。加藤陽子さんの著作は出たら読むようにしていますが…

ジョセフ・ヒース+アンドルー・ポター  反逆の神話

反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者: ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター,栗原百代 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (15件) を見る 昨年…

大晦日と読書

今年も大晦日になってしまいしました。 今年中にやろうと思っていてできなかったことは、当然ながらいろいろありましたが、毎年やっていることはできるだけ続けたいものです。 その一つが、年間200冊本を読むということです。 ただし、すぐ読めるビジネス書…

「読まなくていい本」の読書案内

さて今回が問題の「読まなくていい本」の読書案内です。 「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本) 作者: 橘玲 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2015/11/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (10件)…

「ジニのパズル」

最近の本をあまり読まない私にとっては珍しく、今年出た本を読みました。 ジニのパズル 作者: 崔実 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/07/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 冒頭はアメリカ・オレゴン州。主人公はホームステイをし…

小林秀雄を巡る3冊の本-「小林秀雄の恵み」「ドーダの人 小林秀雄」「なにもかも小林秀雄に教わった」

今時、小林秀雄とはアウトオブデイトも甚だしいのですが、たまたま最近2冊の小林秀雄に関する本を読み、それぞれ面白いところがあったのでその2冊と、以前読んだ木田元の本も加えて小林秀雄について考えてみることにしました。 まずは、橋本治「小林秀雄の…

伊藤之雄「元老」と坐漁荘

伊藤之雄氏は日本近代の政治家の評伝を多く手掛けられていて、私もそのいくつかを興味深く読みましたが、今回は「元老」を読みました。 元老―近代日本の真の指導者たち (中公新書) 作者: 伊藤之雄 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/06/21 メディ…

エウロパの海と「生命の星・エウロパ」

先日、NASAから重大発表があるというリリースがあり、木星の衛星エウロパの表面から水蒸気と思われる物質が噴出していることを確認したということでした。 少し以前から、エウロパの表面は氷に覆われているが、その下には海があるのではないか、という説が有…

中島京子「のろのろ歩け」と台湾・平渓線の風景

今回は中島京子「のろのろ歩け」を紹介します。 のろのろ歩け (文春文庫) 作者: 中島京子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/03/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 北京、上海、台湾とアジアの3つの土地での「新しい扉をひらく彼…

2016年上半期に読んだ時代小説

今回は今年の上半期に読んだ時代小説を何冊か挙げてみます。別に時代小説ばかり読んでいるわけではありませんが、年を取ると何となく読んだ本に占める時代小説の割合が増えていくのは仕方ないですね。 まずは葉室麟「銀漢の賦」。 銀漢の賦 (文春文庫) 作者:…

角田光代さんの「対岸の彼女」と「私のなかの彼女」

先日、角田光代さんの「私のなかの彼女」を読み、このエントリを書こうと思いつきました。 これまで角田さんの作品はたくさん読んできましたが、その中で一冊挙げるとすれば、「対岸の彼女」です。これには泣かされました。 対岸の彼女 (文春文庫) 作者: 角…

花田清輝と花田十輝

表題の2人ですが、今となっては花田清輝の名前を知る人もかなり少なくなっているような気がします。 復興期の精神 (講談社文芸文庫) 作者: 花田清輝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/05/09 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 32回 この商品を含むブ…

「豊穣の海」と三輪山登拝

先日、三輪山に登拝したことを書きましたが、この機会に、「豊穣の海」の「奔馬」の該当部分を読みかえしてみました(新潮文庫版によります)。 奔馬―豊饒の海・第二巻 (新潮文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2002/12 メディア: ペー…

「江戸の読書会」(前田勉)と広瀬淡窓を描いた葉室麟「霖雨」

江戸の読書会 (平凡社選書) 作者: 前田勉 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2012/10/17 メディア: 単行本 クリック: 21回 この商品を含むブログ (14件) を見る 今年上半期に読んだ本のうち、最も読み応えがあったのがこの「江戸の読書会 会読の思想史」でし…

読書とBGM(後編)

昨日に続き読書と音楽(BGM)の話です。 前回は作品そのものにインスパイアされた音楽や映画のサントラをBGMにして小説を読む話を書きました。 補遺として、音楽が先にあり、それにインスパイアされた小説の代表として、村上龍の「ストレンジデイズ」を挙げ…

読書とBGM(前編)

こんにちは。 今日は読書の際に聴く音楽(BGM)についての話です。 私は小説やエッセイを読む場合、音楽を聴きながら本を読むことが多いのですが、その際に聴く音楽とのマッチングについて結構考えます。以下、マッチングについて考えていることを書きますが…