ジョン・ウェットンの訃報に接しました。
最近、プログレ界の大物ベーシストの訃報が相次ぎ、クリス・スクワイア(イエス)、グレッグ・レイク(キング・クリムゾン、ELP)が亡くなったと思ったら、今度はジョン・ウェットンまで亡くなってしまいました。
この人は、キング・クリムゾン以降、75年にはユーライア・ヒープに加入、UK解散後の81年にはウィッシュボーンアッシュに加入と、いろいろなグループを渡り歩いていた時期があります。
実現しなかったのですが、PFMがマンティコアから世界デビューした時にベーシストが抜けたため、後任としてジョン・ウェットンが推薦されたことがあったようです。まあこれは合わない可能性が高く、結果的にパトリック・ジヴァスが加入して事なきを得ましたが。
しかしそのキャリアの中で光るのが、78年から80年にかけてのUKと、82年からのエイジアでしょう。
エイジアで成功した後、脱退してソロになり、何度も来日してライブアルバムを多発していた時期がありましたが、その頃はあまり音楽を聞きに行くことがなく、またあまりに何度も来日してはライブアルバムを出されるとありがたみが薄れて見に行く気になれず、その後体調を崩したりして活動が活発でない時期もありましたが、2011年以降は再結成UKで再びコンスタントに活動するようになり、何回か来日していたのですがそれも見に行かずで、結局生でジョン・ウェットンを見ることがなかったのが残念です。
ジョンの魅力は、ベースでは暴力的な音を出しながら、ボーカリストとしてはすぐに彼と分かる独特の陰影の深いヴォイスで、歌謡曲みたいな哀愁漂う曲を歌うという取り合わせの妙にあると思います。安らかに眠ってください。
ではジョン・ウェットンの5曲を挙げてみたいと思います。
1、エグザイルズ(「太陽と戦慄」に収録)
クリムゾンにおけるジョンのデビュー作に当たる「太陽と戦慄」に収録されています。
当時はまだロバートフリップが弾いていたアコギにバイオリンがからむ抒情的な曲で、
ジョンのスモーキーなボイスは哀愁が漂っており、追放された者の悲しみがよく出ていると思います。
2、ザ・ナイトウォッチ(「暗黒の世界」に収録)
クリムゾンでの2作目の「暗黒の世界」に収録されています。「夜を支配する人々」と謎のタイトルがついてますがこれは「夜警」という邦題にすべきでしょう。どうみてもレンブラントのあの名画を歌った曲なのですから。カラオケで歌ったこともあります。
3、スターレス(「レッド」に収録)
これも挙げたら結局5枚中3枚はクリムゾンになるのですが、まあ中期を代表する一曲なのでやむを得ないですかね。ボーカルも悲しげで良いのですが、ラスト近くのゴリゴリしたベースも素晴らしい。
4、デンジャーマネー(UK「デンジャー・マネー」に収録)
UKのファーストとセカンドでどちらを取るかというと、セカンドを取ります。ファーストはアラン・ホールズワースのギターがどうにも収まりが悪く、3人になったセカンドは曲もシンプルになりコンセプトがよくまとまっていて聞きやすい。
5、ヒート・オブ・ザ・モーメント(エイジアのファーストに収録)
実はエイジアはそれほど好きではないのですが、ファーストだけは評価できます。日本でこれが出た時の「詠時感」という謎の邦題に頭がくらくらしました。