さてようやく世界選手権関連記事も最後の総括となります。
まずは女子。
・来シーズン、つまり五輪での日本の枠が2枠になってしまいました。
思えば昨年、それまでずっと続けてきた連続表彰台がストップしてしまっており、その時点で危惧はあったのですが、宮原の欠場で3枠はかなり困難な状況になってしまい、また三原のSPの最後の3Fの転倒の時点で3枠はあきらめざるを得なくなりました。
日本の女子が停滞期、というより他の国、特にロシアが得点を伸ばしているのに対し、そこまで伸ばしきれなかったというべきでしょうか。ただ、ソチ五輪のロシアも前年の世界選手権で2枠に減らしたにもかかわらず金メダルを取ったので、まあメダルの期待がなくなったわけではありません。
・対照的に上げ潮なのがカナダで、ロシェットが一線を退いてから長らく低迷していましたが、今回は表彰台に2人も乗り、五輪3枠になりました。今回はオズモンド、デールマンの2人でしたが、3枠にとなれば3Aにもトライしたことのあるチャートランドも出てくることでしょう。昨年11月17日付で、グランプリシリーズ前半戦レビューで、カナダの女子3人が元気だという記事
http://blog.hatena.ne.jp/okubolaw/okubolaw.hatenablog.com/edit?entry=10328749687194475463
を書きましたが、そのままの結果になりました。
ロシアは、メドベデワという絶対的な女王がいながら、層が厚くソツコワもいれば来シーズンはザギトワという逸材もいるしで、まさに黄金時代といえるでしょう。
後はアメリカですが、ゴールドの欠場は残念でした。五輪には出てきてほしいと思います。
男子
・「真4回転時代」だそうですが、ボーヤンジン、ネイサンチェンという4Lz3Tを平気で降りる選手の出現でジャンプのレベルがとんでもなく上がり、FSのTESで110以上が4人となり、その結果300点でも表彰台に立てない(フェルナンデスは301.19点で4位)という恐ろしい時代がやってきました。
他方、PCSの方は現時点では100を超えることがないため、一流選手で90点台後半が出るようになれば、その後は差がほとんどつかず、そうするとやはりTESの争いとなります。実際にFSの1位から4位はTESの順に並んでいました。
そして、TESの点数を伸ばすには、いかに4回転を多く入れるか、そのためには種類をどう増やすかという流れになります。
バンクーバーの時に、4回転なしで金メダルを取るのがいいのかどうかという論戦になっていたのがはるか遠い昔のようです。
・中継においてTESの速報値が出るようになったので、おおよその点数が、演技終了直後という早い時点で分かるようになったこともかなりの変化です。
・羽生選手はFSで完璧な演技を披露しましたが、宇野選手は2位となっただけでなく1位と2.28点差という素晴らしい演技で、素晴らしい成長ぶりを見せました。五輪でもこの2人を中心にフェルナンデス、ボーヤン・ジン、ネイサン・チェンの争いとなるのでしょう。