先日、大阪のミナミで未成年者と飲酒その他に及んだという容疑で捜査されていた俳優の小出恵介さんが、書類送検されたという報道がありました。
この書類送検、新聞やテレビなどでは時々聞く言葉ですが、刑事訴訟法には、送致するという文言はありますが、書類送検という文言はありません。
送検の「検」は検察庁の検です。犯罪の疑いがあると警察官が思慮したときに捜査が開始されますが、逮捕して取り調べる場合と、逮捕せずに何回か警察に出頭してもらって取り調べる場合があります(この場合を在宅といいます)。
この後者の在宅の場合、警察での取り調べが一段落して検察官に一件書類を送りますが、これが送検です。
ただし、逮捕されなくても起訴される場合はあります。この場合は書類送検とはいいません。また、取り調べをしても犯罪の嫌疑が不十分で捜査が終了した場合も、書類送検として報道されないようです。
つまり、「書類送検」とは逮捕も起訴もされないが、犯罪事実はある程度認められ、起訴猶予が見込まれる場合には、報道するタイミングがそこにしかないので「書類送検された」と報道する。このように報道のための用語だと思ってもらっていいでしょう。
誰かが犯罪を犯したとされる場合、「逮捕」はニュースになりますし、また「起訴」もニュースになりますが、不起訴になる場合、「不起訴」や「起訴猶予」では悪いことをしたというイメージがないので、「書類送検」として報道するというわけです。
ただ弁護士からすると、刑事訴訟法にない文言を使ってそれが定着するのはいかがなものだろうか、とは思います。