昨日はノーベル文学賞の発表があり、カズオ・イシグロが受賞しました。
ここ数年、村上春樹が受賞するのではないかと言われていましたが、昨年のディラン、今年のカズオ・イシグロと、ある意味村上春樹の世界と近い人が受賞したと言えるのではないでしょうか。
また、日本の出版業界においては、本命視されていたグギ・ワ・ジオンゴというケニアの作家より、長崎生まれ、原作のテレビドラマや舞台があり、映画化もされている作家の受賞はとても喜ばしいことだったのではないでしょうか。
本屋さんや図書館でもその作品を求める人が多くいるようで、喜ばしいことです。
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
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私は「日の名残り」を、出てしばらく経った時期に読みましたが、落日の大英帝国を執事の目から見た重厚感のある小説でした。ただこれはイギリス国内で生まれたものではないからこそ書ける小説だったのではないかと思います。
驚くのは中公文庫が、以下のような高値で売られていることです。
ハヤカワのものならこれほど高くないのですが、この高値は、「かなり前からカズオ・イシグロを読んでいた」と言いたい方のための商品だから、ということでしょうか。
私は中公文庫版を持っているので、こんな高値が付くなら売ろうかとも思います。
また、次の作品も、閉ざされた施設で生活する若い男女が描かれているのですが、何かものすごく不穏な雰囲気が漂っており、実はこの施設は・・という真相が知らされたときは仰天しました。
今回のノーベル賞の報道で、この作品のネタバレを心配していたのですが、「めざましテレビ」では「施設に暮らす若者の過酷な運命を描く」という表現をしていてこれはセーフ。しかし、朝日新聞は見事に一面でネタバレしていました。