京都文化博物館でオットー・ネーベル展が開催されています(6月24日まで)。
オットー・ネーベルは、日本では知名度が低い、というかほとんど知られていないのですが、1892年にベルリンに生まれ、戦間期のドイツでバウハウスに学び、ナチスにより退廃芸術とされたことからスイスのベルンに移住した画家です。パウル・クレーと親交があり、今回の展示でもクレーの画も展示されています。
初期はシャガールの影響が強かったようで、シャガールの画(下のチラシの7)などと並べて展示されており、その影響がよく分かります。
その後、作風はだんだんと抽象画の方へ傾いてきますが、その極みはイタリアのカラーアトラスというシリーズです。色づかいでイタリアの各地を表現するというもので、下の左の画は、このカラーアトラスのシリーズのうちのナポリで、右はポンペイです。ドイツ出身のネーベルにはイタリアの光が強烈な色彩の印象となって残ったのでしょう。各地の色の印象の違いが面白い。
またこの画は、ナチスに追われてスイスに移住することを余儀なくされた自身の姿でしょうか。
一部写真撮影可のコーナーもありました。その中から「青い動き」を。
「色彩の画家」というだけあって、溢れる色と光を楽しむことができました。
同時開催の洛陽三十三か所、特に稲葉山平等寺の展示もなかなか興味深く見ることができました。