弁護士大久保康弘のブログ

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ワールドカップ2018(グループリーグ編)

4年に一度のサッカーのワールドカップが開催されています。

この原稿は大阪弁護士会のブログ、「弁護士の放課後 ほな行くで」のために執筆したもの(6月25日)に加筆したものですが、前回コラムを担当したのは平昌五輪のフィギュアスケート男子で、今回はワールドカップと、このような世界的イベントの時に担当が回ってくるのはありがたいことです。

私は、スポーツ観戦では短い時間で結果が出るフィギュアスケートや競馬が好きで、サッカーのような長時間競技はあまり見ないのですが、ワールドカップは見ます。

サッカーファンの中には、ワールドカップよりクラブチームによるリーグ戦の方が面白いという方も多く、確かにプレーはクラブチームの方がレベルは高いのですが、私はワールドカップの方が好きです。それは代表チームが国民性を反映した独特の個性を持ったチームとなることが多く、大会毎に新たな発見があるからです。

 

今回目立ったのはアイスランド代表。とにかく大柄な選手が鉄壁の守備をしつつ、速いカウンターでアルゼンチンを苦しめました。これぞバイキングの末裔に相応しいチーム。応援のバイキングクラップもユニークです。

 

そしてセネガル代表。セネガルといえば、2002年日韓大会でフランスに対し歴史的勝利を収めベスト8まで進みましたが、今回はその時以来の出場です。当時のブルーノ・メツ監督もカッコ良かったですが、今回のシセ監督は当時のメンバーで今大会最年少で唯一のアフリカ系監督で、やはりカッコいい。見事なドレッドヘアのルックスだけでなく、「夢を大きく持たなければならない。だが小さく始めなければならない」などの名言があります。

 

そして日本代表もなかなかの健闘を見せています。現時点での世界ランキングは60位なので、グループリーグの対戦相手は全て格上なのですが、初戦の対コロンビア戦でいきなりPKを決めて先取点。一度は追いつかれましたが、後半になって動きがよくなり、「半端ない」大迫選手が得点を挙げ、見事に勝利。

そして、第2戦は先ほど取りあげたセネガル戦。昨夜はこの第2戦を見ていました。風呂に入っている時に先取点を取られてしまいましたが、前半のうちに追いつき、終了まぎわでは見事なオフサイドトラップを決めました。そして後半26分でセネガルに得点を許し、以前ならこれで力尽きるところ、今回はこれで終わらない。33分に同点ゴールを決め、1対1のドローで勝ち点1を挙げ、勝ち点4として、あとは最終戦次第です。

終戦も、思い切りプレーしてもらいたいものです。

 

と書いたのですが、最終戦は驚くような展開になりました。

普通にあの戦術を批判しても肯定しても面白くないので、勝手に妄想した話を作ってみました。題して「日本グループリーグ突破の変の巻」。

 

6月25日、日本対セネガル
2-2でドローも熱い試合。
シセ監督「日本はいいチーム」

シセ監督「日本よ、共にG Lを突破しようではないか!」
日本「おう!俺たちも全力で戦う!決勝でまた会おう!」

そして6月28日、最終戦
前半はどちらの試合も0-0。
後半14分、日本が失点。
シセ監督「俺たちは頑張る、日本も頑張れ!」
しかし後半29分セネガルついに失点。
「まだ頑張れる!点を取りに行け!」

しかし、この直後。

「殿、日本が兵を引きました!日本の裏切りです!1-0をキープして自分だけ突破しようとしています!」
シセ監督「是非に及ばず」

 

日本の裏切りを聞いたシセ監督の図

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しかしこのシセ監督のかっこいいこと。この監督率いるセネガルと共にグループリーグを突破してほしかった。

 

まあこの作戦に対しては批判も多いのですが、グループリーグ出場16か国中ランキングは61位と下から2番目(最下位はロシアだが開催国アドバンテージと組み合わせに恵まれた)、そしてトーナメントのオッズは唯一100倍を超えた(ちなみに1番人気はブラジル4.5倍、差のない2番人気にスペイン5倍)最下位の日本に何を求めるというのでしょうか。

 

この大会の日本は、ようやく自分たちの身の程を知ったというか、俺たちのサッカーを捨てることができたという点で今後に期待が持てます。前回の大会で俺たちのサッカーを全開にして惨敗し、今回の直前ハリルホジッチ氏を解任したのも俺たちのサッカーがしたいというのが原因だったという気がしていましたが、現実に本大会になると本田は先発しないし、ちゃんと守るし、最後にこの戦術でとにかくグループリーグ抜けという現実的作戦をとったことで、全く逆の結果になったことが面白いです。

 

なおサムライがこのように卑怯な戦術を、という批判があるようですが、それは江戸時代後期、実際の合戦がなくなってかなり後になってできた「葉隠」の極端にデフォルメされたサムライ像であり、実際に合戦が行われていた戦国期などは、攻めると言いながら攻めない裏切りなどごく当たり前にあったような気がします。