「美術の物語」を読みました。
この本を読もうと思ったきっかけは、経済学者の岩井克人先生が日経の読書欄で紹介しておられたからです。ものすごく分厚くて重い本なので、通勤時に読むわけにもいかず(
それでも2回くらい持っていきましたが)主に家で読むことになり、結構読了まで時間がかかりました。
この本の特徴は、「美術の歴史」ではなく「美術の物語」ということです。洞窟の壁画に始まり、初めの頃は彫刻や建築を中心に、次第に絵画中心になっていくようすを有機的に美術全体の歴史を綴って行きます。
この本でジョットによる絵画の革命が彫刻と深く関連していることを知りました。
そのあたりを読んでいて思い出したのがトルコのノーベル賞作家のこの小説です。
- 作者: オルハンパムク,Orhan Pamuk,宮下遼
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/25
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この小説は、トルコで絵画の工房で働く職人たちの物語です。時代背景として、今は伝統的な画法で絵画を制作しているが、ベネチアでは新しい絵画が生み出され、途轍もない変革が起きていることを知って、これまでの画法が滅びる予感に包まれて終わります。
これまでの絵画はこんな感じだったのでしょう。
これはこれで美しく、以前横浜ユーラシア美術館でトルコの伝統的な画を何点か見た時にも感嘆したものですが、画家としては新しい遠近法による画の出現に危機感を覚えざるを得ない、というのはよく理解できます。
以下にこの本からジョットの画を挙げておきます。