弁護士大久保康弘のブログ

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松田聖子「SEIKO MEMORIES」と「大村雅朗の軌跡」

先日久し振りに日本橋上新電機ディスクピアに行き、松田聖子の「SEIKO MEMORIES」を入手しました。

 

 

このコンピレーションは、松田聖子の曲のうち大村雅朗のアレンジした曲を集めたものです。CD3枚組で、大村雅朗がそれだけ多くの松田聖子の曲をアレンジしたということが分かります。

 

大村雅朗は、既に97年に故人となっていますが、没後20年となった1997年に次の書籍が出ています。

 

作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997

作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997

 

 

ということで、「SEIKO MEMORIES」を聴くためこの「大村雅朗の軌跡」を調達してきて、聞きながら読みました。

これを読むと、松田聖子大村雅朗と組んだ時期が、いかに日本の歌謡曲にとって素晴らしい時期だったかということがよく分ります。

大村雅朗松田聖子の曲をアレンジしたのは、セカンドシングルの「青い珊瑚礁」からで(デビューシングルの「裸足の季節」は小田裕一郎のアレンジ)、まだそこにはデジタルビートはないのですが、初期の松田聖子の一方の大きな特徴である伸びやかな歌い方による開放感はよく出ています。

 

そして大村のアレンジが一つの革命を起こしたのは、82年に発売された5枚目のアルバム「Pineapple」だと思います。

 

Pineapple

Pineapple

 

このアルバムの冒頭を飾る「P・R・E・S・E・N・T」こそが新しい時代の幕開けでした。シンセ中心のアレンジ、そこで広がる南の海をイメージさせる開放感。これが85年の 「The 9th Wave」まで続くデジタルビート路線の幕開けでした。


松田聖子 P・R・E・S・E・N・T

 

 

 このデジタルビート路線での名曲には「マイアミ午前5時」「天使のウィンク」「夏のジュエリー」などがありますが、同時代のニュー・オーダーなどと比べても遜色がないと思います。 

 

また渡辺美里のこのアルバムも大村雅朗の仕事で印象に残るものです。 

Lovin' you -30th Anniversary Edition-

Lovin' you -30th Anniversary Edition-

 

 このアルバムからカットされた「マイ・レボリューション」は小室哲哉が作曲した最初のナンバーワンヒットで、この曲がその後の小室哲哉の活動に引き継がれていくことになります。


渡辺美里 My Revolution

 

早逝が惜しまれる大村の活動を振り返ることができて感慨深い一冊とCDでした。