「奇想の系譜」といえば辻惟雄氏ですが、今年の春、上野の東京都美術館にて開催された「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」を、フィギュアスケートの世界選手権を見に行った機会を利用して、3月22日に観賞することができました。
若冲、芦雪という辻惟雄氏の「奇想の系譜」で取り上げられた画家を堪能することができたのはもちろん、今回は白隠の禅画も展示されていました。
この白隠の画は、奇想といえばそうとも言えますが、本来は禅画であって、禅というもの本質が、独自の表現に表れて、奇想というような表現になったというべきでしょう。
禅画といえば、何年か前に偶然出会った仙厓の禅画も大好きで、2016年秋に東京で開催された出光美術館の「大仙厓展」永青文庫の「仙厓ワールド」で仙厓を堪能したことはこのブログの記事(盛りだくさんだった先週の週末 2016.11.03)でも取り上げています。
このように以前から仙厓の禅画に興味があり、また見る機会があれば見ていたのですが、このたびこの本に出合い、読み進めていくうちにまさに蒙を開かれた感がありました。
この本は画題中心にまとめているのが有難いです。
例えば観音ですが、仏像では六観音なのですが禅画では三十三の観音があることを初めて知りました。もちろん蛤観音や貝殻観音の画は見たことがあるのですが、全部で三十三あるとは知らなかったのです。
下は白隠の蛤観音。
これは仙厓の貝殻観音。
また寒山拾得についての詳しい解説もありました。以前、京都相国寺の塔頭、大光明寺を拝観したことがあり、そこに若冲と仙厓の画が掛けられており感心したことがありましたが、その仙厓の画は豊干が猫虎に乗った図でした。寒山拾得と豊干、虎の四者が寄り添い眠る四睡図も見たことがありますが、そのあたりが関連付けて分かるようになったのは非常に有難いことでした。久し振りに実になる本を読みました。
なお佐川美術館で今年の10月1日から、「ZENGA 白隠と仙厓展」が開催されることを知りました。以下がそのURLです。
http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/2019/03/zenga.html