弁護士大久保康弘のブログ

大阪の弁護士です。お問い合わせ、ご依頼はy-okubo@gf6.so-net.ne.jpまで

隠れ社寺探訪記(23)大徳寺の塔頭 聚光院と大光院

2月23日は午後から事務所に行く予定があったのですが、午前中は時間があったので京都に行くことにしました。気温はあまり上がらないという予報でしたが、日差しが暖かくて助かりました。

今回行こうと思ったのは京の冬の旅で特別公開されている、大徳寺塔頭、聚光院と大光院です。

京都で多くの塔頭を抱える寺院としては、大徳寺の他、妙心寺相国寺知恩院建仁寺東福寺などがありますが、大徳寺塔頭は公開されている寺院が多い印象があります。ただ今回の大光院はこれまでほとんど公開されたことがなかったようです。

地下鉄北大路から北大路を西に歩きます。途中で北への道があったので進みましたが目的の聚光院はもう少し西の方で若干遠回りになりましたが、大徳寺の広い境内を味わうことができてかえって良かったです。

まずは聚光院。

f:id:okubolaw:20220318171441j:plain


方丈は桃山時代の建築。

狩野昭栄永徳の障壁画(複製)があります。なお今年の9月から、実物が里帰り公開されるとのことです。


f:id:okubolaw:20220318171532j:plain


方丈の奥に閑隠席、枡床席の2つの茶室があります。

千利休ゆかりの百積の庭を見ながら一休み。

次は大光院。ここは大徳寺の外れのような場所にあります。


f:id:okubolaw:20220320202643j:plain


聚光院と似た印象の寺院でした。

さて、ちょうどお昼時だったので、行きしなに見つけた蕎麦屋さんで昼食。f:id:okubolaw:20220320202842j:plain


f:id:okubolaw:20220320202953j:plain


鴨なんばを美味しく頂きました。


追悼 松村雄策

音楽評論家の松村雄策氏が亡くなりました。70歳でした。

https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/da2e44ff1cb9a60a95910c571846882215d910aa&preview=auto

 

松村雄策ロッキングオンから出た方で、同誌の創刊メンバーは渋谷陽一橘川幸夫岩谷宏、松村雄作の4名でしたが、それぞれの個性がかなり異なり、実行の渋谷、センスの橘川、思想の岩谷、愛情の松村、というように違うカラーがありました。

 

ところで音楽評論には、ロキノン文体」というのがあり、以前当ブログでも

 

https://okubolaw.hatenablog.com/entry/2017/05/17/230247

 

として取り上げました。

前記の4人の中で、松村雄策の文章は、まさにロキノン文体でした。

 

この人の面白いところは、好きなバンドやミュージシャンについて、好きだ好きだ、というだけの内容でしかないのに、実に読ませるものになっているところです。

特にビートルズ関係の著作は、まさにビートルズへの愛を語るだけで、分析などはないにも関わらず、読ませるものになっています。

 

最近読んだのはこの本。

これはビートルズに限らず、ドアーズやジャックスなどを取り上げていますが、大好きが溢れた著作となっていました。

御冥福をお祈りします。

北京五輪フィギュアスケート女子

北京五輪フィギュアスケート団体戦が終わった直後、ワリエワのドーピング検査陽性が報じられ、異様な雰囲気となった女子。

私は2年前から、北京五輪の大本命はワリエワだと言ってきており、五輪の団体戦でのパフォーマンスはその予想以上のものでした。しかし、その直後にドーピング陽性問題が明らかになり、全く違った局面となりました。

ワリエワは、SPでは団体戦での冴えを欠き、転倒しながらもどうにか首位で終え、2位シェルバコワ、4位トゥルソワとロシア勢が続く中、坂本香織が3位につけました。

面白かったのが坂本とシェルバコワのSPの対比で、細かい動きをたくさん入れた切れ味勝負のシェルバコワに対し、幅のあるジャンプ、力強いステップなど雄大さを感じさせる坂本の演技が実に好対照でした。


さてSP2日後のフリー。

上位選手以外に目立ったのがサフォノワ。長身でスタイル抜群の彼女のプログラムは、ナイトクラブ感が満載で楽しめました。


さて最終グループは、ロシアの3人と日本2人、韓国1人という構成となりました。アメリカ勢がいないのが寂しいですね。

最終グループ一番滑走のユヨンは、冒頭3Aに挑み、決まったと思ったが回転不足でした。しかし142.75はなかなかの高得点。

続く樋口は、これも冒頭の3Aに注目が集まりましたが、見事に決まりました。ただせっかく綺麗に3A決めたのに、直後の3Lz3Tで転倒してしまい、まあそこが樋口さんらしいのですが、フリーだけなら6位の140.93にとどまりました。


さてここからメダルを争う上位4選手。

SP4位のトゥルソワのプログラムは、とんでもなく難度が高いものでした。4回転が5本、というより、基礎点が何とネイサンの基礎点を上回るのです。このことから、その凄さが分かります。


f:id:okubolaw:20220313232042p:plain




f:id:okubolaw:20220313173431p:plain


2人とも4回転5本ですが、ネイサンの基礎点93.43に対し、トゥルソワは95.39。恐ろしいまでの高難度のプログラムです。

そして4F、4Sと冒頭からジャンプを2本決め、続く4Tは着氷乱れたものの回転自体は足りており、後半の4Lz3Tは何と2.63加点がつき、最後まで転倒なくこの超高難度プログラムをこなしました。

得点は何と177.13。TESは何と106.16。男子でTES100超えたのは、ネイサン、鍵山、グラッセルの3選手だけでした。トータル251.73。


さあ続いては日本期待の坂本。トップ6でただ一人、3Aも4回転も跳ばないプログラムで挑みます。大技がないので、ベースバリューは62.02ですが加点が合計16点くらいあり、素晴らしい内容を示しています。難解で知られるブノワリショーの振り付けも見事にこなしていました。

フリー153.29、トータル233.13はこの時点で2位。ただ後の2人が高い得点を持っているのでメダルは少しきついかな、という感じでした。


そしてシェルバコワ。曲は「巨匠とマルガリータ」ですが、ミックジャガーがこれを読んで「悪魔を憐れむ歌」を書いたというように、悪魔的な曲です。

この人、なぜか4回転はフリップだけですが、冒頭の4F3T、4F単独と綺麗に2本決めて

175.75とフリーだけなら2位でしたが、トータル

255.95。SPでトゥルソワをリードしていた貯金があり、この時点で首位に立ちました。さすがに勝負強い。


そして最終滑走はワリエワ。シェルバコワを上回るには174点あれば良く、普通の状態であれば出せる数字でした。しかし、冒頭から動きが固く、冒頭から3つのジャンプを連続して失敗。やはり連日の異様な雰囲気でメンタル的に大変だったのでしょう。団体戦とは全く違う動きになり、フリーの得点は何と141.93にとどまりました。

トータルで224.09は坂本を上回れず4位。シェルバコワ金、トゥルソワ銀、坂本銅メダルとなりました。


とにかく異様な雰囲気てなってしまったことが残念でした。ただメダリストたちの演技は素晴らしく、文中でも触れましたがサフォノワや河辺愛菜など、楽しませてくれる演技が見られてよかったです。


北京五輪フィギュアスケート男子ー羽生結弦の戦い

さて北京五輪男子シングルについて書きます。

競技開始がSP、フリーとも午前10時過ぎで、SPの羽生選手の出番は13時過ぎ。夜になってから見たのでは、絶対見る前に結果が分かってしまうので、妥協策として事務所を13時半頃出て、後追いで見ることにしました。


f:id:okubolaw:20220306183614p:plain


家に着いたのは15時過ぎで、第1滑走のサドフスキーから全滑走見てしまいました。


結果は皆さんご存知の通りで、羽生選手の冒頭の4Sが抜けてしまったのを見て、あーと声を出してしまいました。

ジャンプ1つがノーバリューとなったため、当然、点数は低かったのですが、せめて最終グループに残ることを願っていましたが、残念ながら8位で第3グループになってしまいました。

しかしながら、この4Sの抜けが、フリーではネイサンに届かない、ならば4Aに挑戦するしかない、と決意させた可能性ががあります。


この日は後半に滑った選手はみんなミスがなく、唯一の例外が羽生選手の4Sでした。グランプリシリーズで不調だったメッシング、エイモズの2人もなかなかの出来で、フリーではエイモズ、メッシング、羽生と豪華な第3グループになりました。


さて2日後のフリー。後で分かったのですが、フリーの前の練習で羽生選手は捻挫していたようで、確かにその練習では4Aにチャレンジしていませんでした。

しかし、本番では世界中が注目する中、果敢に挑戦してくれました。

転倒はしたものの、回転自体は4回転が認められるという、歴史的な演技となりました。

優勝はネイサンでしたが、見事に見せ所を作るところがスーパースター。演技後インタビューの「報われない努力だったかもしれないけど」という一言に泣かされました。


北京五輪フィギュアスケート団体、ペア

北京五輪が終わりました。

フィギュアスケートは団体、男子シングル、女子シングルは全滑走を見ることができました。

まずは団体戦とペアを取り上げたいと思います。

団体戦でこれまで日本はメダルを取ることはできませんでしたが、今回はメダルを取る可能性が高いと言われていました。それは三浦、木原ペアがグランプリシリーズで2大会連続で表彰台に乗るなど、かなりの実績を上げていたことが大きいです。


ところで先日、スマホ内の写真を整理していたところ、こんな写真が出てきて驚きました。


f:id:okubolaw:20220215102730p:plain


これは2016年の西日本ジュニアの女子フリーを見たとき、滑走順をメモしておいたものですが、何と三浦璃来選手の名前が。私はペア転向直前の三浦選手を生で見ていたことが判明しました。ここでこの時の演技について何か書きたいところですが、残念ながら覚えていません。

今シーズンのグランプリシリーズはNHK杯くらいしか見ていませんが、この時のこのペアの演技、そしてキスアンドクライで2人の生き生きした表情を見ることができたのはカップル協議ならではの楽しさがありました。

グランプリファイナルは出場決定しており、生で見る予定でしたので中止は残念でした。

さて五輪の団体戦。ここではメダルを取れるかどうかはこのペアにかかっており、かなり緊張したと思いますが素晴らしい出来で、見事期待に応えてくれました。

個人戦は、中国が唯一金メダルの可能性があるため一番後に組まれていました。SPでは三浦選手のジャンプが2回転になってしまい、これまでのように自己ベスト更新はなりませんでしたが第三グループに入ることができたのは良かったです。

フリーでは完璧な演技で140点を超え、フリーだけなら5位。

f:id:okubolaw:20220302090059p:plain

そしてトータルでも200点を超えて7位。

f:id:okubolaw:20220302090208p:plain

このペアの演技を見ていると、青春を感じますね。まだまだ伸びていく予感があります。


さてペアの金メダルは中国のスイ・ハン組が取りました。このペアは2シーズン前のプログラムがスーパーの店長とパートのおばちゃんという風情でなかなかねっとりした雰囲気で大好きでした。今回はどういう関係性なのか良く分からないプログラムでしたが、技術的には素晴らしいもので、金メダルを取れて良かったと思います。


奈良国立博物館 聖林寺十一面観音 三輪山信仰のみほとけ

奈良国立博物館聖林寺十一面観音 三輪山信仰のみほとけ」展を見ました。

f:id:okubolaw:20220214172403p:plain



f:id:okubolaw:20220214152836j:plain


奈良国立博物館の展示としては展示物は少なかったのですが、十一面観音を見ることができれば大満足です。

この十一面観音はこれまで何度か見ていますが、私のような素人でもその素晴らしさ、美しさが分かるものでした。久しぶりに対面できて嬉しいです。

この十一面観音は、明治維新前は大神神社の神宮寺であった大御輪寺に安置されていましたが、大御輪寺が廃仏毀釈の嵐により廃寺となり、そこに安置されていた仏像は他の寺に移されました。
十一面観音は聖林寺へ移されましたが、同様に大御輪寺から移された仏像に地蔵菩薩と日光月光菩薩があり、今回同時に展示されていました。約150年ぶりの再会だそうです。
なお大御輪寺は大直禰󠄀子神社として今も大神神社の境内に残ります。

また毎年恒例の「特集展示 お水取り」も見てきました。これも何回目かになります。

f:id:okubolaw:20220214172317p:plain

この日は国立博物館以外に、東大寺ミュージアムと大仏殿に行ったのですが、戒壇院が工事中で拝観できない代わりに、隣の千手堂が特別公開されていると知ったので行ってみました。

f:id:okubolaw:20220214152811j:plain

ここには千手観音と四天王が安置されています。

f:id:okubolaw:20220214172248p:plain

小さなお堂でしたが、この日は博物館中心だったのでお堂で仏像を見ることができて心が落ち着いた感じがして良かったです。


追悼 西村賢太

Amazon小説家の西村賢太氏が亡くなりました。突然の訃報だったので驚いています。


どうしようもない自分、を描く私小説の系譜を継ぐ者として、もしかしたら最後になるかもしれない存在でした。


時折、思い出したように西村氏の小説を読みたくなることがあります。


彼の小説は、悲惨な状況を描いていても、なんとも言えないおかしみがあるところが好きでした。

その代表例として、「肩先に花の香りを残す人」という作品があります。

題名からすれば、何か優雅な感じがするのですが、実は主人公が匂いに人一倍敏感であったせいで、同棲していた彼女と香りのせいで喧嘩になる、という話でした。

題名のおかしさと言えば、処女作である「けがれなき酒のへど」もそうです。これも作者の妙なこだわりが独特のおかしみを醸し出しています。


西村は、「苦役列車」で芥川賞を受賞しましたが、私はこの作品は評価していません。単純に辛いだけの日々を綴っており、先ほどから書いている「おかしみ」がない単純な作品で、あまり面白くなかったからです。


代表作は先ほど触れた「けがれなき酒のへど、「どうで死ぬ身の一踊り」というところでしょうか。



まだまだ小説を書き続けてほしかったので、とても残念です。