弁護士大久保康弘のブログ

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読書記録「もう一人の彼女 李香蘭/山口淑子/シャーリーヤマグチ

先日読んだ本です。



著者の川崎賢子氏は「宝塚というユートピア」などの著作があります。


この本は日経新聞で紹介があったので読んだみました。山口淑子の評伝的なものを期待したのですが、彼女の全体像を示すものではなく、個別の論点をいくつか取り上げるという構成になっていました。


その論点の中で、興味深い点は2点でした。

まず前半で語られる山口淑子の父について。これまでは見過ごされてきた論点ですが、確かにここで明らかにされたいろいろな優遇を見ると、相当なコネクションのある人物であることが分かります。


そして張愛玲の「色、戒」について触れられた箇所も面白く読めました。映画「ラスト・コーション」の原作で、映画は公開当時に映画館に見に行きました。ラスト近くの巨大な黒い穴が恐ろしく、今でも記憶に残っています。


驚くのはこのストーリーがほぼ実話ベースだということで、上海にあった特務機関の丁黙邨の暗殺未遂事件がベースになっています。

丁に近づき暗殺しようとした鄭蘋茹は、雑誌の表紙にも登場したことがある中国人と日本人の両親を持つ美女で、李香蘭を想起させるところががあります。


作者の張愛玲と李香蘭は1945年7月に対面していますが、後の山口淑子は張のことを何も語っていません。




梅、河津桜、三滝桜

4月になり、ソメイヨシノが満開ですが、今年の3月に見た梅と桜について写真を挙げておきます。


3月5日の土曜日は、事務所に行き作業をする必要がありましたが、天気も良かったので天満宮で梅を見ていくことにしました。

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天満宮の北の星合池のほとりにはいろいろな種類の梅が咲いていました。


19日は花園ラグビー場の前にある河津桜を見に行きました。

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大阪で河津桜を見られる場所は少なく、検索して花園ラグビー場前に何本かあることを知り、ちょうど神戸方面に行く予定があったので途中下車して見ることができました。

京阪神での河津桜は、淀の京都競馬場近くの堤に並木があるらしいので、来年は見に行こうと思っています。


そして3月27日には、学園前にある大和文華館の三滝桜を見に行きました。

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これは福島県三滝町の滝桜の親戚ということで、見事に咲いていました。

隠れ社寺探訪記(23)大徳寺の塔頭 聚光院と大光院

2月23日は午後から事務所に行く予定があったのですが、午前中は時間があったので京都に行くことにしました。気温はあまり上がらないという予報でしたが、日差しが暖かくて助かりました。

今回行こうと思ったのは京の冬の旅で特別公開されている、大徳寺塔頭、聚光院と大光院です。

京都で多くの塔頭を抱える寺院としては、大徳寺の他、妙心寺相国寺知恩院建仁寺東福寺などがありますが、大徳寺塔頭は公開されている寺院が多い印象があります。ただ今回の大光院はこれまでほとんど公開されたことがなかったようです。

地下鉄北大路から北大路を西に歩きます。途中で北への道があったので進みましたが目的の聚光院はもう少し西の方で若干遠回りになりましたが、大徳寺の広い境内を味わうことができてかえって良かったです。

まずは聚光院。

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方丈は桃山時代の建築。

狩野昭栄永徳の障壁画(複製)があります。なお今年の9月から、実物が里帰り公開されるとのことです。


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方丈の奥に閑隠席、枡床席の2つの茶室があります。

千利休ゆかりの百積の庭を見ながら一休み。

次は大光院。ここは大徳寺の外れのような場所にあります。


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聚光院と似た印象の寺院でした。

さて、ちょうどお昼時だったので、行きしなに見つけた蕎麦屋さんで昼食。f:id:okubolaw:20220320202842j:plain


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鴨なんばを美味しく頂きました。


追悼 松村雄策

音楽評論家の松村雄策氏が亡くなりました。70歳でした。

https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/da2e44ff1cb9a60a95910c571846882215d910aa&preview=auto

 

松村雄策ロッキングオンから出た方で、同誌の創刊メンバーは渋谷陽一橘川幸夫岩谷宏、松村雄作の4名でしたが、それぞれの個性がかなり異なり、実行の渋谷、センスの橘川、思想の岩谷、愛情の松村、というように違うカラーがありました。

 

ところで音楽評論には、ロキノン文体」というのがあり、以前当ブログでも

 

https://okubolaw.hatenablog.com/entry/2017/05/17/230247

 

として取り上げました。

前記の4人の中で、松村雄策の文章は、まさにロキノン文体でした。

 

この人の面白いところは、好きなバンドやミュージシャンについて、好きだ好きだ、というだけの内容でしかないのに、実に読ませるものになっているところです。

特にビートルズ関係の著作は、まさにビートルズへの愛を語るだけで、分析などはないにも関わらず、読ませるものになっています。

 

最近読んだのはこの本。

これはビートルズに限らず、ドアーズやジャックスなどを取り上げていますが、大好きが溢れた著作となっていました。

御冥福をお祈りします。

北京五輪フィギュアスケート女子

北京五輪フィギュアスケート団体戦が終わった直後、ワリエワのドーピング検査陽性が報じられ、異様な雰囲気となった女子。

私は2年前から、北京五輪の大本命はワリエワだと言ってきており、五輪の団体戦でのパフォーマンスはその予想以上のものでした。しかし、その直後にドーピング陽性問題が明らかになり、全く違った局面となりました。

ワリエワは、SPでは団体戦での冴えを欠き、転倒しながらもどうにか首位で終え、2位シェルバコワ、4位トゥルソワとロシア勢が続く中、坂本香織が3位につけました。

面白かったのが坂本とシェルバコワのSPの対比で、細かい動きをたくさん入れた切れ味勝負のシェルバコワに対し、幅のあるジャンプ、力強いステップなど雄大さを感じさせる坂本の演技が実に好対照でした。


さてSP2日後のフリー。

上位選手以外に目立ったのがサフォノワ。長身でスタイル抜群の彼女のプログラムは、ナイトクラブ感が満載で楽しめました。


さて最終グループは、ロシアの3人と日本2人、韓国1人という構成となりました。アメリカ勢がいないのが寂しいですね。

最終グループ一番滑走のユヨンは、冒頭3Aに挑み、決まったと思ったが回転不足でした。しかし142.75はなかなかの高得点。

続く樋口は、これも冒頭の3Aに注目が集まりましたが、見事に決まりました。ただせっかく綺麗に3A決めたのに、直後の3Lz3Tで転倒してしまい、まあそこが樋口さんらしいのですが、フリーだけなら6位の140.93にとどまりました。


さてここからメダルを争う上位4選手。

SP4位のトゥルソワのプログラムは、とんでもなく難度が高いものでした。4回転が5本、というより、基礎点が何とネイサンの基礎点を上回るのです。このことから、その凄さが分かります。


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2人とも4回転5本ですが、ネイサンの基礎点93.43に対し、トゥルソワは95.39。恐ろしいまでの高難度のプログラムです。

そして4F、4Sと冒頭からジャンプを2本決め、続く4Tは着氷乱れたものの回転自体は足りており、後半の4Lz3Tは何と2.63加点がつき、最後まで転倒なくこの超高難度プログラムをこなしました。

得点は何と177.13。TESは何と106.16。男子でTES100超えたのは、ネイサン、鍵山、グラッセルの3選手だけでした。トータル251.73。


さあ続いては日本期待の坂本。トップ6でただ一人、3Aも4回転も跳ばないプログラムで挑みます。大技がないので、ベースバリューは62.02ですが加点が合計16点くらいあり、素晴らしい内容を示しています。難解で知られるブノワリショーの振り付けも見事にこなしていました。

フリー153.29、トータル233.13はこの時点で2位。ただ後の2人が高い得点を持っているのでメダルは少しきついかな、という感じでした。


そしてシェルバコワ。曲は「巨匠とマルガリータ」ですが、ミックジャガーがこれを読んで「悪魔を憐れむ歌」を書いたというように、悪魔的な曲です。

この人、なぜか4回転はフリップだけですが、冒頭の4F3T、4F単独と綺麗に2本決めて

175.75とフリーだけなら2位でしたが、トータル

255.95。SPでトゥルソワをリードしていた貯金があり、この時点で首位に立ちました。さすがに勝負強い。


そして最終滑走はワリエワ。シェルバコワを上回るには174点あれば良く、普通の状態であれば出せる数字でした。しかし、冒頭から動きが固く、冒頭から3つのジャンプを連続して失敗。やはり連日の異様な雰囲気でメンタル的に大変だったのでしょう。団体戦とは全く違う動きになり、フリーの得点は何と141.93にとどまりました。

トータルで224.09は坂本を上回れず4位。シェルバコワ金、トゥルソワ銀、坂本銅メダルとなりました。


とにかく異様な雰囲気てなってしまったことが残念でした。ただメダリストたちの演技は素晴らしく、文中でも触れましたがサフォノワや河辺愛菜など、楽しませてくれる演技が見られてよかったです。


北京五輪フィギュアスケート男子ー羽生結弦の戦い

さて北京五輪男子シングルについて書きます。

競技開始がSP、フリーとも午前10時過ぎで、SPの羽生選手の出番は13時過ぎ。夜になってから見たのでは、絶対見る前に結果が分かってしまうので、妥協策として事務所を13時半頃出て、後追いで見ることにしました。


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家に着いたのは15時過ぎで、第1滑走のサドフスキーから全滑走見てしまいました。


結果は皆さんご存知の通りで、羽生選手の冒頭の4Sが抜けてしまったのを見て、あーと声を出してしまいました。

ジャンプ1つがノーバリューとなったため、当然、点数は低かったのですが、せめて最終グループに残ることを願っていましたが、残念ながら8位で第3グループになってしまいました。

しかしながら、この4Sの抜けが、フリーではネイサンに届かない、ならば4Aに挑戦するしかない、と決意させた可能性ががあります。


この日は後半に滑った選手はみんなミスがなく、唯一の例外が羽生選手の4Sでした。グランプリシリーズで不調だったメッシング、エイモズの2人もなかなかの出来で、フリーではエイモズ、メッシング、羽生と豪華な第3グループになりました。


さて2日後のフリー。後で分かったのですが、フリーの前の練習で羽生選手は捻挫していたようで、確かにその練習では4Aにチャレンジしていませんでした。

しかし、本番では世界中が注目する中、果敢に挑戦してくれました。

転倒はしたものの、回転自体は4回転が認められるという、歴史的な演技となりました。

優勝はネイサンでしたが、見事に見せ所を作るところがスーパースター。演技後インタビューの「報われない努力だったかもしれないけど」という一言に泣かされました。


北京五輪フィギュアスケート団体、ペア

北京五輪が終わりました。

フィギュアスケートは団体、男子シングル、女子シングルは全滑走を見ることができました。

まずは団体戦とペアを取り上げたいと思います。

団体戦でこれまで日本はメダルを取ることはできませんでしたが、今回はメダルを取る可能性が高いと言われていました。それは三浦、木原ペアがグランプリシリーズで2大会連続で表彰台に乗るなど、かなりの実績を上げていたことが大きいです。


ところで先日、スマホ内の写真を整理していたところ、こんな写真が出てきて驚きました。


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これは2016年の西日本ジュニアの女子フリーを見たとき、滑走順をメモしておいたものですが、何と三浦璃来選手の名前が。私はペア転向直前の三浦選手を生で見ていたことが判明しました。ここでこの時の演技について何か書きたいところですが、残念ながら覚えていません。

今シーズンのグランプリシリーズはNHK杯くらいしか見ていませんが、この時のこのペアの演技、そしてキスアンドクライで2人の生き生きした表情を見ることができたのはカップル協議ならではの楽しさがありました。

グランプリファイナルは出場決定しており、生で見る予定でしたので中止は残念でした。

さて五輪の団体戦。ここではメダルを取れるかどうかはこのペアにかかっており、かなり緊張したと思いますが素晴らしい出来で、見事期待に応えてくれました。

個人戦は、中国が唯一金メダルの可能性があるため一番後に組まれていました。SPでは三浦選手のジャンプが2回転になってしまい、これまでのように自己ベスト更新はなりませんでしたが第三グループに入ることができたのは良かったです。

フリーでは完璧な演技で140点を超え、フリーだけなら5位。

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そしてトータルでも200点を超えて7位。

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このペアの演技を見ていると、青春を感じますね。まだまだ伸びていく予感があります。


さてペアの金メダルは中国のスイ・ハン組が取りました。このペアは2シーズン前のプログラムがスーパーの店長とパートのおばちゃんという風情でなかなかねっとりした雰囲気で大好きでした。今回はどういう関係性なのか良く分からないプログラムでしたが、技術的には素晴らしいもので、金メダルを取れて良かったと思います。