弁護士大久保康弘のブログ

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読書

読書記録 応仁の乱、観応の擾乱、承久の乱

最近の中公新書の日本史関係のラインナップは大変充実しています。特に中世の3つの乱、応仁の乱、観応の擾乱、承久の乱を論じた3冊はよく売れているようです。応仁の乱、観応の擾乱は以前読んでおり、今回、承久の乱を読み、この3冊を読みましたので3冊通…

2018大晦日の読書

今年も残すところあと4時間と少しとなりました。昨年も書きましたが、毎年目標にしているのが、年間200冊本を読むそのうちラスト1冊は古典的作品を読むということです。年末の28日に胃が悪くなり、その日は全く、また前後もほとんど本が読めなかったのです…

森見登美彦「夜行」を読みました

森見登美彦の「夜行」をようやく読みました。 夜行 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/10/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (36件) を見る この本は以前、直木賞にノミネートされたときに取り上げたことがあります(2017.3.2恩…

「歴史修正主義とサブカルチャー」を読んで「若者の保守化」を考える

歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー) 作者: 倉橋耕平 出版社/メーカー: 青弓社 発売日: 2018/02/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る この本は、歴史修正主義についての研究ですが、それは誤った考え方だ、とかいうもので…

読書記録 ゴンブリッチ「美術の物語」

「美術の物語」を読みました。 美術の物語 作者: E.H.ゴンブリッチ,田中正之,天野衛,大西広,奥野皐,桐山宣雄,長谷川宏,長谷川摂子,林道郎,宮腰直人 出版社/メーカー: ファイドン 発売日: 2007/01/01 メディア: 単行本 クリック: 31回 この商品を含むブログ (…

2018年お正月の読書「中村とうよう 音楽評論家の時代」「ヒストリア」

昨年末は日本外史を読んでいましたが、新年は昨年新しく出た本を2冊読みました。 中村とうよう 音楽評論家の時代 作者: 田中勝則 出版社/メーカー: 二見書房 発売日: 2017/06/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る これは日本外史を読む…

2017大晦日の読書

大晦日です。みなさんは掃除や買い物で忙しいと思いますが、私は6時半ころに起きて読書に励んでいました。 昨年も書きましたが、毎年200冊本を読むことにしており、200冊目には古典といっていい本(日本の古典に限りません)を読むことを毎年の行事としていま…

ノーベル文学賞はカズオ・イシグロに

昨日はノーベル文学賞の発表があり、カズオ・イシグロが受賞しました。 ここ数年、村上春樹が受賞するのではないかと言われていましたが、昨年のディラン、今年のカズオ・イシグロと、ある意味村上春樹の世界と近い人が受賞したと言えるのではないでしょうか…

読書記録 「自民党ー「一強」の実像」「ポピュリズムとは何か ー 民主主義の敵か、改革の希望か」

今回は、最近読んだ本の中から政治関係の本を2冊取り上げます。 いずれも最近、人文関係の優れた研究書を出している中公新書です。 自民党―「一強」の実像 (中公新書) 作者: 中北浩爾 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/04/19 メディア: 新書 この…

読書記録「意識高い系の研究」

この本は書いてあることそのものは面白かったのですが、ただし分析の前提となる枠組みがきちんと考えられていないのが勿体なく思いました。 「意識高い系」の研究 (文春新書) 作者: 古谷経衡 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/02/24 メディア: Kindle…

読書記録 「秘伝・日本史解読術」荒山徹

この著者の小説は何冊か読んだことがあります。代表的なのはこの作品でしょう。 徳川家康 トクチョンカガン (実業之日本社文庫) 作者: 荒山徹 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2012/10/05 メディア: 文庫 クリック: 17回 この商品を含むブログ (4件) …

ブライアン・オールディス追悼

先日、山野浩一の追悼記事を書きましたが、それに続いて、英国SFニューウェイブの巨匠の訃報が届きました。 8月19日、ブライアンオールディス氏92歳で死去 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=5&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEw…

追悼 山野浩一

鳥はいまどこを飛ぶか (山野浩一傑作選?) (創元SF文庫) 作者: 山野浩一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2011/10/28 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (12件) を見る 7月も後半になり、週刊競馬ブックに、上半期フリーハ…

斉藤美奈子「文庫解説ワンダーランド」

私が文庫本というものの存在を知ったのは中学生の頃でした。その前には親に買い与えられた子供向けの本や、子供向けの世界の文学を読んでいたのですが、自分で本屋に行くようになると安いこともあって文庫本に目が行くようになりました。 この当時は、新潮文…

津島佑子 火の山-山猿記

久し振りに読書の記事です。 火の山 山猿記(上) (講談社文庫) 作者: 津島佑子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/02/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 火の山 山猿記(下) (講談社文庫) 作者: 津島佑子 出版社/メーカー: 講談社 発…

小谷野敦「芥川賞の偏差値」

この著者の本は結構読んでいますが 、 このブログで取り上げるのは初めてです。 芥川賞の偏差値 作者: 小谷野敦 出版社/メーカー: 二見書房 発売日: 2017/02/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 芥川賞を受賞した全作品についてコメント…

須賀しのぶ「芙蓉千里」3部作

今回はハルビンとシベリアを舞台にした、須賀しのぶの「芙蓉千里」3部作を取り上げます。 旧満州の北部の都市、ハルビンには約30年前に一度だけ行ったことがあります。 神戸から上海へ、2泊3日の航海をする「鑑真号」という船が出ていて、お金はないが暇はあ…

ロキノン系文体ー「 ロッキング・オンの時代」と又吉直樹「第二図書係補佐」

私が音楽を主体的に聴くようになったのは、小学校5年生の冬でした。 ある日風邪をひいてしまい、学校を休んで昼間からずっと家で寝る羽目になってしまったのですが(確か小学校を休んだのはこの1日だけだったと思う)、親が退屈だろうからと、枕元にラジオを置…

「ユーラシアニズム」と地政学

先日この「ユーラシアニズム」という本を読みました。 ユーラシアニズム―ロシア新ナショナリズムの台頭 作者: チャールズ・クローヴァー,越智道雄 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2016/09/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 「ユー…

「証拠になる」とはどういうことか-「カムイ伝」「アドルフに告ぐ」「大阪夏の陣屏風」

森友学園の件でいろいろ騒がしく、今日は証人喚問がありましたが、先日理事長が自身の主張の裏付けであるとしてマスコミに呈示した振り込み用紙の控え(と思われるもの)ですが、これが証拠になるのか、ならないのかという議論が一部でされているようです。 …

「五色の虹-満州建国大学卒業生たちの戦後」

前回は「大東亜共栄圏」でしたが今回は満州国についての本。 五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 作者: 三浦英之 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る この「五色の虹」は満州建国大学卒業…

河西晃祐「大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験」

大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験 (講談社選書メチエ) 作者: 河西晃祐 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/08/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 「大東亜共栄圏」は松岡洋右が公表したもので、言葉としてはよく知…

恩田陸と森見登美彦

1月に直木賞の発表があり、恩田陸、須賀しのぶ、森見登美彦、垣根涼介、冲方丁の5氏がノミネートされ、恩田陸さんが受賞しました。 恩田陸さんの作品は、少し前まではかなりよく読んでいたのですが(「ねじの回転」「月の裏側」「昨日の世界」など)、最近の…

安部龍太郎「等伯」

今回は安部龍太郎の「等伯」を取り上げます。 この作品は日経に連載され2012年の直木賞を受賞していますが、これまで読んだことはなく、たまたま何か時代小説を読もうと思っていた時にこの作品に思い当たり、読み始めたのですが、ちょうどタイミングよくNHK…

山形浩生氏のブログでマイケル・コーニィ作品が取り上げられていた件

山形浩生の「経済のトリセツ」はよく読んでいるブログの一つですが、今回のエントリでは、マイケル・コーニィの2作「ハローサマー・グッドバイ」「ブロントメク!」が取り上げられており、私も昨年コーニィの「ハローサマー・グッドバイ」を再読し、続編の「…

「高坂正堯と戦後日本」を読んで

高坂正堯と戦後日本 作者: 五百旗頭真,中西寛 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/05/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 高坂先生は私のゼミの恩師でしたが、1996年に62歳で亡くなられたので、没後20年で出された本ということ…

お金の奴隷? 岡田斗司夫氏の「お金って何だろう??僕らはいつまで「円」を使い続けるのか??」を読む

先日こんな本を読みました。いつもの調子でアウトオブデイトだと思っていたのですが、なぜか知らない間にタイムリーになっていたようです。 「お金」って、何だろう??僕らはいつまで「円」を使い続けるのか?? (光文社新書) 作者: 山形浩生,岡田斗司夫FR…

64(ロクヨン)

64(ロクヨン) 作者: 横山秀夫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/10 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 75回 この商品を含むブログ (120件) を見る 正月明けの連休に読みました。 わずか7日しかなかった昭和64年に起こった誘拐殺人事件64(ロクヨ…

「戦争まで」加藤陽子

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗 作者: 加藤陽子 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 2016/08/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (12件) を見る 今年読んだ本の一冊目。加藤陽子さんの著作は出たら読むようにしていますが…

ジョセフ・ヒース+アンドルー・ポター  反逆の神話

反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者: ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター,栗原百代 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (15件) を見る 昨年…