五輪の年は五輪直前に開催されるため、なかなか一流選手が出場しないのですが、今回は台湾で日本からは近いので、日本の五輪代表選手は羽生君以外の4人が出場しました。
男子は中国のボーヤン・ジン、ウズベクのミーシャ・ジー、カザフのデニス・テン、アメリカのジェイソン・ブラウンとマックス・アーロン、そしてカナダのケビン・レイノルズとなかなかの好メンバーとなりました。
中でもレイノルズは競技生活最後の演技ということで注目されました。
SPはコンビネーションが入らず、74.65と低い点数になってしまったのですが、フリーは素晴らしい演技でした。
フリーの演技では、4回転を4本着氷(回転不足もありましたが)うち1本は4S+3T+3Loを決めて、競技生活ラストをしめくくるに相応しい演技となりました。演技を終えて万感の思いで跪きガッツポーズ。技術点は速報より20点減らされましたが89点台で166.85。トータルでは241.50で7位に入りました。親日家で知られるレイノルズだけに、インタビューにも流暢な日本語で答えていました。
優勝はSPで100を出し、フリーでも4回転を的確に決め200.78と300点台に乗せたボーヤン・ジンでしたが、この選手はジャンプだけという印象が強くてあまり好きではありません。この人のジャンプとジェイソン・ブラウンのジャンプ以外の要素を足せば無敵だと思いますが。
日本勢では田中刑事は4Sが確実に入るようになって、SPで90台をコンスタントに出せるようになったのは成長のあかしです。フリーでも冒頭は3回転になりましたが、4S着氷して後半4Tも決めてまずまずの演技。169.63。トータル260.31はパーソナルベスト。
宇野選手はSPで久々の100超え。フリーでは冒頭4Loは着氷したものの続く4Fで転倒しましたが後半のジャンプは決めてまずまずというところ。197.45、トータルも297.94とあと少しで300点と点数も上向き傾向で、演技後笑顔も見られました。
女子は坂本花織が優勝しました。坂本は、宮原と対照的な豪快なジャンプを跳びますが、あの飛距離の出るジャンプは 、「神戸跳び」と言われているようです。
このジャンプの幅といい、SPでジャンプを全部後半に入れ、フリーのアメリではパントマイムの動きで世界観を表現する、というのは、エテリコーチのプログラムに近い。そうすると日本選手で一番ロシアに近いのが坂本選手ということになります。
今一番得点の出るのがロシア流なのは明らかなので、今にして思えば、今シーズン、このプログラムで行く、と決めた時点で、坂本の快進撃は約束されていたのかもしれません。SPは後半に固めたジャンプが流れるように続き71.34。フリーもジャンプを豪快に決めてパーソナルベスト更新の142.87。トータル214.21で優勝。
また三原舞衣が2位。今シーズン初めてSPのリベルタンゴがしつくりきたようで、ジャンプをミスなくこなし、ステップもフリーレッグが綺麗で69.84と70に迫る点が出ました。フリーはやはり素晴らしいですね。 ジャンプは坂本のような豪快さより繊細さを感じさせるもので、何よりステップが魅力的です。オリンピックで見たかったプログラムですね。140.73でトータル210.57で2位。
宮原はSPの冒頭3Lz+3Tで回転不足を取られ71.74。フリーではジャンプが全体的に不安定になってしまって、3Sでは軸がまとまらず珍しく転倒するシーンもあり、135.28、トータルで207.02と3位に終わりました。 ただ彼女の場合、調整でかなり変えることができるだけの経験を積んできているので、本番に期待しましょう。