弁護士大久保康弘のブログ

大阪の弁護士です。お問い合わせ、ご依頼はy-okubo@gf6.so-net.ne.jpまで

読書記録「出来事と写真」

出来事と写真

出来事と写真

最近読んだ本ですが、印象に残ったというより、不思議な偶然を感じた本です。
2011年に東北の大震災がありましたが、その年の秋、恵比寿の東京都写真美術館で開催された「ナチュラル・ストーリーズ」展を偶然見ました。当時は月に一度か二度、東京出張があり、そのついでに美術館に行くこともしばしばありました。確か12月だったと思いますが、何かやってないか調べて、この「ナチュラルストーリーズ」が面白そうだというので見に行きました。畠山さんという写真家はその時は知りませんでしたが、氏が陸前高田出身であり震災の写真があるという点に惹かれたのだと思います。
「BLAST」という爆破の映像が凄かった記憶と、震災前の陸前高田の光景が印象に残っています。
それから氏の作品に触れることがなかったのですが、たまたまこの「出来事と写真」という対談集の存在を知って、読んで見ました。
被災地の写真をかなり展示してある展覧会がその年のうちに開かれたのは、震災前から畠山氏の写真展の企画があったことからと知り、私がその展示を見たのも偶然というより何か運命的なものがあったのではないかと感じました。
そしてこの本には、
「被災地の写真を美しいと感じてしまう心にどう始末をつけるか」という恐ろしいことが書いてある。まあ私もその展示で美しいと感じましたが、見る側はいわば無責任に美しいと感じても、撮影者は複雑なのでしょう。ましてやその地が見慣れた故郷であればなおさらでしょう。
写真家の生の声が聞ける対談集でした。