弁護士大久保康弘のブログ

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北京五輪フィギュアスケート女子

北京五輪フィギュアスケート団体戦が終わった直後、ワリエワのドーピング検査陽性が報じられ、異様な雰囲気となった女子。

私は2年前から、北京五輪の大本命はワリエワだと言ってきており、五輪の団体戦でのパフォーマンスはその予想以上のものでした。しかし、その直後にドーピング陽性問題が明らかになり、全く違った局面となりました。

ワリエワは、SPでは団体戦での冴えを欠き、転倒しながらもどうにか首位で終え、2位シェルバコワ、4位トゥルソワとロシア勢が続く中、坂本香織が3位につけました。

面白かったのが坂本とシェルバコワのSPの対比で、細かい動きをたくさん入れた切れ味勝負のシェルバコワに対し、幅のあるジャンプ、力強いステップなど雄大さを感じさせる坂本の演技が実に好対照でした。


さてSP2日後のフリー。

上位選手以外に目立ったのがサフォノワ。長身でスタイル抜群の彼女のプログラムは、ナイトクラブ感が満載で楽しめました。


さて最終グループは、ロシアの3人と日本2人、韓国1人という構成となりました。アメリカ勢がいないのが寂しいですね。

最終グループ一番滑走のユヨンは、冒頭3Aに挑み、決まったと思ったが回転不足でした。しかし142.75はなかなかの高得点。

続く樋口は、これも冒頭の3Aに注目が集まりましたが、見事に決まりました。ただせっかく綺麗に3A決めたのに、直後の3Lz3Tで転倒してしまい、まあそこが樋口さんらしいのですが、フリーだけなら6位の140.93にとどまりました。


さてここからメダルを争う上位4選手。

SP4位のトゥルソワのプログラムは、とんでもなく難度が高いものでした。4回転が5本、というより、基礎点が何とネイサンの基礎点を上回るのです。このことから、その凄さが分かります。


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2人とも4回転5本ですが、ネイサンの基礎点93.43に対し、トゥルソワは95.39。恐ろしいまでの高難度のプログラムです。

そして4F、4Sと冒頭からジャンプを2本決め、続く4Tは着氷乱れたものの回転自体は足りており、後半の4Lz3Tは何と2.63加点がつき、最後まで転倒なくこの超高難度プログラムをこなしました。

得点は何と177.13。TESは何と106.16。男子でTES100超えたのは、ネイサン、鍵山、グラッセルの3選手だけでした。トータル251.73。


さあ続いては日本期待の坂本。トップ6でただ一人、3Aも4回転も跳ばないプログラムで挑みます。大技がないので、ベースバリューは62.02ですが加点が合計16点くらいあり、素晴らしい内容を示しています。難解で知られるブノワリショーの振り付けも見事にこなしていました。

フリー153.29、トータル233.13はこの時点で2位。ただ後の2人が高い得点を持っているのでメダルは少しきついかな、という感じでした。


そしてシェルバコワ。曲は「巨匠とマルガリータ」ですが、ミックジャガーがこれを読んで「悪魔を憐れむ歌」を書いたというように、悪魔的な曲です。

この人、なぜか4回転はフリップだけですが、冒頭の4F3T、4F単独と綺麗に2本決めて

175.75とフリーだけなら2位でしたが、トータル

255.95。SPでトゥルソワをリードしていた貯金があり、この時点で首位に立ちました。さすがに勝負強い。


そして最終滑走はワリエワ。シェルバコワを上回るには174点あれば良く、普通の状態であれば出せる数字でした。しかし、冒頭から動きが固く、冒頭から3つのジャンプを連続して失敗。やはり連日の異様な雰囲気でメンタル的に大変だったのでしょう。団体戦とは全く違う動きになり、フリーの得点は何と141.93にとどまりました。

トータルで224.09は坂本を上回れず4位。シェルバコワ金、トゥルソワ銀、坂本銅メダルとなりました。


とにかく異様な雰囲気てなってしまったことが残念でした。ただメダリストたちの演技は素晴らしく、文中でも触れましたがサフォノワや河辺愛菜など、楽しませてくれる演技が見られてよかったです。