先日、三輪山に登拝したことを書きましたが、この機会に、「豊穣の海」の「奔馬」の該当部分を読みかえしてみました(新潮文庫版によります)。
全体を通して出てくる裁判官の本多は、四で大神神社を訪れ、剣道の奉納試合を見て、五で三輪山に入山します。
実際と違う点は以下のとおり。
「もちろん一般人は入ることができませんし、ふだんはよほどの古い崇敬者に限って入山をお許ししているわけですが」(38頁)
そんなことはありません。私でも入山できました。因みに入山した方のうち、女性がかなりの割合を占めます。
まあそれはともかく、見逃せないのは以下の記述。
「磐座のすぐ上方にある高宮神社が」(41頁)
この位置関係は違います。高宮神社が手前で、奥に奥津磐座があります。奥津磐座が究極なのです。まあ大神神社の成り立ちからして、磐座が一番奥にあってしかるべきです。
しかしこの記述はどうなんでしょう。単なる三島由紀夫の記憶違いなのか、それとも敢えて違う位置関係にしたのでしょうか。