弁護士大久保康弘のブログ

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アナと雪の女王を見て

先週の土曜日、地上波でアナと雪の女王が放映されたので見ました。

 

若い女性に絶大な支持を得られた作品として知られていますが、なぜあれだけ子供以外の若い女性に大ヒットしたのかよく分かりませんでした。

「真実の愛」がエルザを救う、というテーゼはいいのですが、その真実の愛は、これまであったもので、それを思い出したので救われたというのは、なんだかなあと思いました。

また、雪の女王たるエルザは、物を凍らせる能力も凄いのですが、見事なお城を設計・施工したわけですから、建築家ないし工務店としての能力が絶大だったのではないでしょうか。そこが人気のポイントでしょうか(違

 

京都文化博物館「戦国時代展」と金戒光明寺、西翁院

 

ようやく暖かくなり、時間も取れたので、思い立って午前中、京都に行くことにしました。何かイベントがないかなと調べていたら、 京都文化博物館で「戦国時代展」というのをやっており、来週商工会議所の「戦国時代が好きな方」というテーマの交流会に出席するので、これはちょうどいいやと思い行くことにしました。

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戦国時代展 ‐A Century of Dreams‐

sengoku-period.jp

着いたのは12時前でしたが、一階のエントランスは混雑しており、女の子の行列が。後で分かったのですが、3月1日から5日までは「刀剣乱舞DAY」ということで、毎日先着500名に「五虎退」のクリアファイルがもらえるとのことでした。筆者はよく知らないのでもらえませんでした。

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展示内容ですが、東京の江戸東京博物館米沢市の上杉博物館と共催のようで、なるほど上杉家文書が多かった。これらは国宝です。永徳の「洛中洛外図屏風」上杉本もありました。

国宝は他に伝徽宗「秋景冬景山水図」(金地院蔵)を見ることができました。

展示で心惹かれたのは、謙信とともに戦ったため、足に泥が付いたという伝説を持つ法音寺の「泥足毘沙門天」。

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その後、2階の展示室に行き通常展示を観ますが、ここは通常展示も見ごたえがあります。今回は東寺百合文書を見ることができました。ここでまたまた国宝をGETすることができました。 

さてせっかく京都に来て天気もいいのに展示だけ見て帰るのはもったいないので、京都冬の旅で特別公開中の金戒光明寺とその塔頭の西翁院に行くことにします。

 

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 金戒光明寺は、学生時代は行ったことがなかったのですが、近年、ここにはよく行くようになりました。何と言っても風格のある山門が見事ですが、大通りから少し入ったところにあり、少し目立たない場所にあるせいか、いつもあまり観光客がおらず、混雑していないので、何度も行きたいという気持ちにさせるところです。

今回の展示では、若冲の「宝珠と槌図」を見ることができました。

また庭にも出ることができて、春の日差しが気持ちよかった。

 

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続いて塔頭の西翁院に行きます。「淀看席」という重文の茶室が見ものですが、外から短時間覗くだけで多少物足りなかったのですが、まあ金戒光明寺と合わせて一本ということで。

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下の写真は西翁院からの道です。

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 帰りの京阪でクロスシートに座って昼寝しようと思っていたのですが、残念ながらロングシート部分にしか座れませんでした。でも寝ましたが。

 

恩田陸と森見登美彦

1月に直木賞の発表があり、恩田陸須賀しのぶ森見登美彦垣根涼介冲方丁の5氏がノミネートされ、恩田陸さんが受賞しました。

恩田陸さんの作品は、少し前まではかなりよく読んでいたのですが(「ねじの回転」「月の裏側」「昨日の世界」など)、最近の作品については情報を得られていなかったのですが、よかったです。

 特に面白かったのが、「ねじの回転」です。

ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)

ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)

 

 

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

ねじの回転―February moment (下) (集英社文庫)

 

 「ねじの回転」は2.26事件を題材にしたタイムスリップ物で、なぜか似たような設定の話を宮部みゆきも書いていて(「蒲生邸事件」)、この2作とも石原完爾が重要な役で登場するという共通点もあります。この2作についてはいずれ改めて取り上げてみたいと思います。

 

一方、残念ながら受賞を逃した森見登美彦については、申し訳ないのですが、どうもあまり読む気がしません。なぜかというと、私も同じように学生生活を京都で送っており、ちゃんと読んでいないのですが、どうも同じようにだらだらした生活を送っている男子学生の話が多いようで、それならもう充分体験しているので、いまさら同じような話を読んでも仕方ないだろうという気がするからです。それに、同じような学生生活を送ってきた身からすれば、少し前のエントリにて取り上げた「ハローサマー・グッドバイ」を読むより森見登美彦の諸作を読む方がもっと恥ずかしい気持ちになる(だろう)からでした(「ハローサマー・グッドバイ」のような出来事を体験していれば恥ずかしいが、無かったので読んでも恥ずかしくないのです。あれを恥ずかしいというのはリア充ですね)。

 

 

さて今回の直木賞森見登美彦ノミネート作は、「夜行」。残念ながらまだ読んでいませんが、毎朝見ているめざましテレビでよくCМが流れています。

 

夜行

夜行

 

 

によれば、その内容は 

--僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。

 私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
 十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した

 

というもののようです。

 

先に述べたように、森見登美彦の作品は私が体験した学生生活と同じような話が多い(らしい)のですが、これも例外ではなく、私の学生時代の体験と重なるのでした。

 

私も学生時代に鞍馬の火祭を何人かの友人(男)と見に行ったことがあり、待っている間は寒かったのですが、たいまつが登場すると結構暑くなってきたのを覚えています。祭りが終わったので叡電で帰ろうとしたところ、一緒に行ったうちの一人が行方不明になってしまいました。

 

混雑しているので探し出せないし、まあ駅も近いので遭難することもないだろうと、見捨てて電車で帰りましたが、寒くなってきたので、途中の一乗寺の駅(ラーメン激戦区と言われる)で下車してラーメンでも食べて帰ろうということになり、一乗寺の駅で下車し、「天天有」というラーメン屋に入りました。

するとカウンターで、その行方不明になった友人が先にラーメンを食べていたのでした。

 

「夜行」もそういう話ではないかと思いますが、もし違っていたらすみません。

 

安部龍太郎「等伯」

今回は安部龍太郎の「等伯」を取り上げます。

この作品は日経に連載され2012年の直木賞を受賞していますが、これまで読んだことはなく、たまたま何か時代小説を読もうと思っていた時にこの作品に思い当たり、読み始めたのですが、ちょうどタイミングよくNHKの「日曜美術館」で「熱烈傑作ダンギ等伯」が放映されることを知り、それを見てから下巻を読みました。

等伯 上 (文春文庫)

等伯 上 (文春文庫)

 

 

 

等伯 下 (文春文庫)

等伯 下 (文春文庫)

 

等伯能登に長谷川信春として生まれ、絵仏師として活動していましたが、やがて上洛します。

能登の時代は、信春が後の等伯であることすら最近証明されたことからも分かるように、記録はほとんどなく、ただ作品が残るのみです。

上洛した頃は、信長と浅井・朝倉が戦っていた頃で、この小説では等伯戦乱に巻き込まれ、比叡山の焼き討ちにも居合わせ、そこで九死に一生を得ていましたが、このへんはフィクションなのでしょう。

最終章は、日本美術の最高峰のひとつである「松林図」の創作を描いています。早世した息子の久蔵の死の後で書かれたこの画を完成させるところで小説は終わっています。

「松林図」ですが、遠近法も使わず、奥行きが感じられない二次元的な当時の画の中で、ただひとつこの画だけは三次元的な奥行もあり、さらに三次元を超えて、時間軸まで含まれた四次元的なものを感じさせます。

 ほとんど史料もないなかでよく等伯の人生をフィクションとして描いたと思います。

 

 

山形浩生氏のブログでマイケル・コーニィ作品が取り上げられていた件

山形浩生の「経済のトリセツ」はよく読んでいるブログの一つですが、今回のエントリでは、マイケル・コーニィの2作「ハローサマー・グッドバイ」「ブロントメク!」が取り上げられており、私も昨年コーニィの「ハローサマー・グッドバイ」を再読し、続編の「パラークシの記憶」も読んだので今回取り上げることにしました。

ただし山形氏のマイケル・コーニィに対する評価はあまり好意的なものではありません。若いうちに読むと共感するかもしれないが、というような評価です。

「コニイはたぶん十六-十八歳くらいのための作家ではある。その頃には、この身勝手でだらしないナルシズムは本当に心に響いたかもしれない。」

 

この「ハローサマー・グッドバイ」は、私はサンリオ文庫で、20代の頃に読んで感激しましたが、なるほど山形氏のいうように大甘かもしれません。河出文庫の表紙もこの年になって読むのは恥ずかしいようなものになっているし。 

 

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

 

 

 

山形浩生 の「経済のトリセツ」

私はハローサマー・グッドバイが大好きですが、20代の時に読んだからかな。

2017/02/28 08:10

 

で、「ハローサマー・グッドバイ」の続編がこちら。

 

パラークシの記憶 (河出文庫)

パラークシの記憶 (河出文庫)

 

  

こちらは、まあ昔は翻訳がなかったので、若いうちに読むものだと言われても読めなかったわけですが、2013年にようやく邦訳され、昨年ようやく読む機会が巡ってきました。

で、読むならやはり「ハローサマー・グッドバイ」からということで。夏休みに福井に行った時に読み始めました。

「ハローサマー・グッドバイ」は、前半の、少年が夏休みに思い描く夢のような日々から一転して、酷寒の状況となってしまうのですが、ラストの1頁が強烈で、きちんと説明されるわけではないけれど、希望的観測からすればこのように考えられる、いやきっとそうだ、そうだと信じる、というようなエンディングになっています。これ以上に、悪女の思わせぶりのような、それゆえ強烈に引きつけられるエンディングは他に類例をみないと思います。

そして続編の「パラークシの記憶」は、「ハローサマー・グッドバイ」からかなり年代を経た、同じ世界での物語で、同じようにボーイズ・ミーツ・ガール物語が展開されるのですが、途中でこの世界の成り立ちの秘密が明かされます。

そしてその秘密は、それを知れば、「身勝手でだらしないナルシズム」など吹っ飛んでしまうようなものでした。この続編は、前作に比べれば、読者もいい気になるのではなく、自己相対化を余儀なくされるものとなっており、それゆえ、ある程度の年をくった読者にとっても読む価値があるといえるのではないでしょうか。

 

 

四大陸男子フリー

続いては男子フリー。SPではネイサン・チェン、宇野君の2人が100点台、3位の羽生君が97.04という高い得点で、フリーも高いレベルでの大熱戦となりました。

放映は田中刑事から。冒頭の4Sが3回転、2回転となってしまい、後半でも2回転となるなど、最後までジャンプの抜けが目立ってしまいました。142.63と

ジェイソン・ブラウンは、冒頭4Tを回避し、3A+2T、3A、2Aとアクセルを続ける構成にして、綺麗にまとめてきました。素晴らしいバレエジャンプも見ることができました。165.08でトータル245.85。

次はミーシャ・ジー。この人も3A、3Aハーフループ3Sというジャンプ構成で、ステップに全力投球。157.56でトータル239.41。

さて最終グループの6分間練習では、画面下にジャンプ構成が表示され、誰が何本4回転を跳ぶかという煽りが。「真・4回転時代」だそうですが、とんでもない時代になったものです。

最終グループ第1滑走はボーヤン・ジンから。

4回転5本に挑戦するプログラムでしたが、4Lz3T、4Sは成功、4Lo、4Tは転倒、4T2Tは成功と3本は成功しました。ただ後半はジャンプするのに精いっぱいという感じ。TESは100超えもPCS77.44しかないので点が伸びません。176.18でトータル267.51

続いてはパトリック・チャン

冒頭の4T3Tは素晴らしく、3Aもクリアしましたが、次の最近チャレンジするようになった4Sで転倒し、4T転倒とジャンプは不調。 滑りはとても美しかったのですが、何せPCSは上限があるだけに、2種類の4回転にチャレンジしたのですが、なかなか成功とはいきません。179.52でトータル267.98。

 そしてハン・ヤンですが、自信のある3Aからだったがお手付き。4Tステップアウトなどなかなかジャンプが安定せず、後半の3Aもシングルになってしまいました。3Aはもろ刃の剣というか、高く跳ぶ選手ほど抜けてしまうことがあるようで、今日のハンヤンはまさにそれ。フリー151.37で235.45は10位と順位を下げてしまいました。

さあ、いよいよトップ3の登場です。

まずは宇野君。さあ冒頭、4Loに挑む、というところでわくわくさせてくれます。どうか。決めた、すごい。4Fも綺麗。すごいな。と感心して見ていましたが、しかし後半3Aで転倒。4Tも単独になり、4T3Tは見事決めましたが、3Aはコンボにならず。コンボが1つだけしかなかったので、TESは98.69と残念ながら100には届きませんでしたが、試合ごとに成長していく感じは素晴らしいものです。

 演技終了直後は悔しさいっぱいでしたが、キスクラでは晴れ晴れと。フリー187.77、トータルは288.05。

次はいよいよ羽生君。冒頭4Loを綺麗に降り、4Sも綺麗に決め、3Fも決め、このあたりは淡々と高難度の技を決めていました。そして後半、4Sの予定が、SPと同じく抜けてしまい、1ループをつけたがそこで終わってしまった。うーんこれはどうかと思ったが、続いて4T、3A3Tを決め、そしてここからが圧巻。何と3Aからのコンボを4T2Tに変更。後半のこんなところで4回転を入れるとは。そして最後は3Lzではなく3Aで締めるという。リカバリーというにはあまりにすごい構成。TESは112.33で、PCSは94.34。フリーは206.67、トータルも300超え303.71。さすがに羽生、これは優勝だと誰もが思ったのですが。全日本で見たかったなあ。

さあ最後はネイサン・チェン。これも冒頭から4Lz3T、4F、4T、4T2Tと4連続4回転、しかも全部成功、という凄まじいジャンプ構成で攻めます。そして圧巻は後半で、3Aからの3連続を挟み、次が何と4S。羽生君のジャンプ構成変更を知ったか、チェンもまた演技構成を変え、後半に4回転を入れてきて、合計5本の4回転としたのです。TESは115.48、そしてPCSも88.86と高い評価を得ており、このあたりはボーヤン・ジンと違うところです。

これだけのハイレベルなジャンプ構成だと200点を超えるのは間違いなく、さあ羽生君とどっちが、というところで、フリーの得点が出ました。204.34、ということは、トータルで307.46、羽生君を上回り優勝。

 ものすごい戦いでした。フィギュアスケートは基本的には自分との戦いですが、今回は見事な熱闘を見せてもらいました。

 

 

四大陸男子SP

さて男子ですが、SPは、ミスが目立った女子とは異なり、100点超が2人、97点一人と、なかなか充実したものとなりました。

テレビで放映される選手は限られており、今回放映されていない選手で気になったのがケビン・レイノルズ。一昔前には4回転の申し子と呼ばれたこともあり、大阪での四大陸では優勝しこれからという時にケガをしてしまい、しばらくケガで休んでいる間に世間はすっかり様変わり。4S3T、4Tと4回転を2本入れているのですが、それでも76.36にとどまり、12位。

放映は田中刑事からスタート。冒頭4Sが回れず3Sになってしまい、77.55で11位発進となってしまいました。明らかに全日本の時と比べて動きが硬かったような気がします。

そして四大陸で最大の目玉がマイケル・クリスティアン・マルティネス。日本でもおなじみになった一度みたら忘れられない個性的なフィリピンの選手。今回も見事なビールマンスピンを披露し、72.47で12位。 

さていよいよ「全米に衝撃が走った」ネイサン・チェン。まだ国際大会の経験が少ないため、最終グループではありませんが堂々たる優勝候補の一人。例によって冒頭から4Lz3T、4Fと恐ろしく基礎点の高いジャンプを連発。この2つで何と30.20!そして何よりこの2つのジャンプが安定しているので、基礎点は53.15。PCSも43.54となかなかのもので、103.12で首位。

ホクスタイン、ジェイソン・ブラウンとアメリカ勢が続きます。ブラウンは4回転なしですが、とにかく見ていて面白い。バレエジャンプとか足挙げスピンが見物。80.77で9位。

さて最終グループ。第一滑走は羽生君。冒頭の4Loは素晴らしく綺麗に決まったのですが、2つめの4Sが回れず2S+3Tになってしまいしました。しかしセカンドに3回転を付けたのは偉かった。最後の3Aは安定。2つ目がせめて3Sだと100を超えていたのでしょうが2回転の分、97.04と100に届かずじまいとなってしまいました。

宇野4Fを綺麗に決めました。これは安心して見ていられます。続いて4T3Tも決めて、全体的にいい動きでした。100.28と、時間の問題と思われていたSP100点超えを果たしました。SPは2位。 

パトリック・チャンは冒頭4Tが回転不足で転倒となってしまいました。このミスが響き 、88.46にとどまりました。

続いては ハン・ヤン。この人のシニアデビュー当時、大阪で開催された四大陸で3Aの素晴らしさに息をのんだものです。4Tを前半に、3Aと3Lz+3Tを後半にするという構成でした。84.08

続くミーシャ・ジーは4回転がないのですが、相変わらず見せる演技で81.85。

最終滑走はボーヤンジン。4Lz3T、3A、4Tとジャンプ構成は難易度が高く、基礎点も高く、91.33とまずまずの得点が出ましたが、ネイサン・チェンと比べて、あまり演技に面白みがあると思えないのが残念です。