弁護士大久保康弘のブログ

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四大陸選手権女子フリー

続いては女子のフリーです。

三原以外の日本代表、樋口、本郷の2選手は精彩を欠く演技でしたね。樋口など何が悪いのか分からない、といった感じで大泣きしていましたが、樋口は世界選手権代表なので立て直してほしいものです。

最終グループは、長洲、三原、チェ・ダビン、オズモンド、デールマン、トゥルシンバエワの順でしたが、結構この滑走順が影響したところが大きいのではないでしょうか。

まずは長洲がノーミスの演技で132.04という高得点。この演技が全米でできていれば、というところでしょうが、ようやくバンクーバーで4位になった当時の輝きが戻ってきたというところ。

続いて三原舞衣。シンデレラの曲を選んだのは、シンデレラストーリーの主人公を演じたいという願いではなかったようですが、本当にシンデレラストーリーの主人公になったところが面白い。このブログでもグランプリシリーズのアサインが出たときには2試合自力で出ることに驚いたと書きましたが、本当にここまでの活躍は予想していませんでした。

今回も素晴らしいスピードのある演技でノンストップのシンデレラストーリーが演じられました。トランジションなどはまだまだですが、しかしその段階で134.34という高い得点を出すのだから凄い。

トータルで200.85と200点を超えました。日本の女子で200点を超えたのは、浅田真央、安藤、宮原に続く4人目ですから堂々たる一流選手になりました。達成感がある表情で、後の選手の演技を待ちます。

チェ・ダビンも自己ベストを上回る120.79と母国開催の期待に応えた演技になりました。

さてトップ3ですが、オズモンドは途中からジャンプの感覚がおかしくなってしまったようで転倒を繰り返して4点の減点で115.96。

デールマンは冒頭の3T+3Tが勢いがあり素晴らしい前半の出来でしたが、後半の3Loが抜けてシングルになったのが痛く、128.66と130には届きませんでした。トータルでは196.91と三原舞衣とは4点弱なので、あの3Loが抜けたのは実に大きかったことになります。

トゥルシンバエワは、最初からジャンプの感覚がおかしく、立て直すことはできませんでした。109.78とかなり低い得点でした。

そしてこの瞬間、三原舞衣の優勝が決定。まさにシンデレラ・ストーリーでしたね。

 

 

 

四大陸選手権女子SP

四大陸選手権というのは、昔はどちらかというと2番手の選手や若手が派遣されていたため、地味な扱いで、地上波での中継もほとんどありませんでした、2007年、日曜9時にオンエアされていた「発掘あるある大事典」という番組が納豆ダイエットのやらせ問題で突然打ち切りとなって枠が空いた時ですら中継されないという大会でしたが、今大会は羽生選手のおかげで4日連続ゴールデン放映となりました。

まずは女子のSP。

上位陣にも結構ミスが多かったのですが、カナダのデールマン、オズモンドという2人と、三原舞衣で上位3人が決まりか、と思っていたら最終滑走の最終滑走のトゥルシンバエワの演技が予想外に良く、トップ3に入ったのには驚かされました。

しかしオズモンドのカナダ選手権の80点超えのスコアですが、今回は2Aで転倒したとはいえ、あとの要素は問題なかったのに68点台ですから、カナダ選手権の80以上はかなり盛ったものであることが立証されてしまいました。

各国の国内選手権は、カナダは10点増し、ロシアと全米が3点増しといったところでしょうか。全日本は国際基準とあまり変わらない印象です。

 日本勢の3人は、三原が素晴らしい演技でしたが、本郷、樋口の2人は残念ながら不本意なできとなってしまいしまた。ただ本郷は冒頭のジャンプでフリップが2回転になってしまったので後半の単独ジャンプをルッツにしたのは偉かった。樋口は、ジュニア時代の怖いものなしの勢いがみられないのが残念です。

 

「高坂正堯と戦後日本」を読んで

 

高坂正堯と戦後日本

高坂正堯と戦後日本

 

 高坂先生は私のゼミの恩師でしたが、1996年に62歳で亡くなられたので、没後20年で出された本ということになり、その業績がいろんな角度から論じられています。

第一部は論文で、各章の見出しを並べると、

高坂正堯の戦後日本(五百旗頭真

外交史家としての高坂正堯細谷雄一

現実主義者の誕生(刈部直)

社会科学者としての高坂正堯(待鳥聡史)

高坂正堯の中国論(森田吉彦)

高坂正堯のアメリカ観(蓑原俊洋)

二つのメディア変革期と高坂正堯武田徹

権力政治のアンチノミー中西寛

となっており、

第二部が思い出編となっており、猪木武徳入江昭田原総一朗の各氏がそれぞれ思い出を語っています。

このうち、特に興味を持って読んだのが序章の「高坂正堯の戦後日本」でした。

戦後の国際政治に関する論文など腐るほどあるのですが、今でも読む価値があるものはほとんどなく、高坂先生の論文はその数少ない例外なのですが、それが時代とどのように関連していたのかを読み解いていきます。 

戦後日本のいわゆる論壇状況は、最近では竹内洋氏の「革新幻想の戦後史」などの仕事で振り返ることができますが、革新幻想にとらわれない現実主義者としての歩みがつづられています。

ここにもあるように、高坂先生は何人かの首相のブレーンのような立場にあったのですが、ちょうど私が大学で国際政治学の講義を聞いていた頃、大平正芳首相が現職で亡くなられるということがあり、講義終了後そのまま記者会見となって驚いたことがあります。そういえば、この国際政治学の講義は、近くの雀荘のおばちゃんが毎回聞きに来られていたことを今思い出しました。

ところで以前、中井久夫氏の書かれた文章の中に、京大の法学部で同期だった(中井久夫氏は大学に入学した時は法学部だった)高坂先生と小室直樹氏の思い出を語ったものがあり、なつかしい気持ちで読んだことを思い出しました。

 

本田真凛のツインテール

全国中学スケート大会が長野県で開催されています。

昔は、このような大会が朝のワイドショーで取り上げられることなどなかったのですが、人気のある本田真凛選手が出るということで取り上げられています。

また例年であればそれほど注目されない四大陸選手権冬季アジア大会なども放映が充実しているようです。特に四大陸は羽生選手が全日本を欠場後の復帰戦ということで注目度が高いのでしょう。羽生選手の復帰は楽しみですが宮原選手の故障は残念ですね。そのため本郷選手が両大会に出ることになりました。

本田真凛選手のニュースでおかしかったのは、大会に出場するというニュースだけでなく、SPでは髪型をツインテールにしたのがニュースになっていたことです。

髪を後ろで二つに括るという中学生らしい髪型だったのですが、ネットのニュースのコメントで「思ったのと違う」というコメントがあったのには笑ってしまいました。多分ツインテールと言えばこんなんじゃないと言いたかったのでしょう。セーラームーンみたいなのだったら良かったのかな。しかしそれでは滑りにくいのでは。

このツインテールが功を奏したか本田真凜選手が優勝しました。フリーではお団子にしていましたがね。

ところで、この「思ってたのと違う」というのは、最近の若い女の子がよく言っているような気がするのですが、かなり以前、仕事で会った人にこの言葉を言われたことを思い出しました。

相続関係の交渉だったのですが、被相続人の元配偶者という立場の人に会って、いろいろ話をしていたら、「被相続人の最近の写真がほしい」と言われました。しかし中年以上の男性の適当な写真はあまりなく、「免許証の写真ならあります」と言われたので、そのコピーを持って言ったのですが、「思っていたのと違う」と言われました。

うーん、しかし、私にどうしろと。

 

 

お金の奴隷? 岡田斗司夫氏の「お金って何だろう??僕らはいつまで「円」を使い続けるのか??」を読む

先日こんな本を読みました。いつもの調子でアウトオブデイトだと思っていたのですが、なぜか知らない間にタイムリーになっていたようです。

 

なぜこの本を読んだかというと、図書館のサイトで山形浩生氏の著書を検索したらヒットしたので借りてきたからです。岡田斗司夫氏に興味があったわけではありません。

しかしこれは岡田斗司夫氏が毎回ゲストを迎えて自分の理論を吟味してもらうというシリーズの一冊のようで、岡田斗司夫氏がメインのようで少しあてが外れましたが、せっかく借りたので読むことにしました。

で、ちょうど読んでいた時にキングコング西野氏が自身のブログでこんなことを書いて話題になっていたわけです。

lineblog.me

 

ここでの西野氏の考えはどうやら岡田斗司夫氏の主張と関連があるようです。

さてこの本ですが、「評価」は「貨幣」の代わりに使えるか?というのが第3章の見出しであり、要は岡田氏の主張のメインはこのような「評価経済」というものらしいです。

私はこの主張は無茶なものだと思い、同意はできないのですが、じゃあ読む価値がないかというと、山形氏が問題点をうまく指摘しているため、書籍としては読む価値があるものになりました。

 

この「お金ってなんだろう?」は全編に亘って岡田氏の無茶な主張が繰り広げられるのですが、特にひどいと思ったのは公共サービスに関する箇所。

山形氏の「うーん、公共サービスを評価経済で運営できるかどうか。下水道を造れますか?」という質問に対し、岡田氏は「江戸時代の大店の旦那やヤクザの親分は、稼いだお金で用水路など地域のインフラを造っていたじゃないですか」という返答をしました。

しかしこれは、インフラを造る主体が政府でなくても民間でもいいのか、という論点であって、評価経済でインフラが造れるかという質問に対する返答ではありません。いつの間にか論点がすり替わってしまっています。岡田氏は評価経済でインフラを造れるだけの「稼いだお金」の蓄積が可能なのか?という問題には答えていません。

そもそも評価経済では大店なんか存在できないことは岡田氏も承知のはずだし、評価経済でお金は貯まらない、というかそもそも富が集中することに対するアンチテーゼとして評価経済というものを考慮したはずではなかったのでしょうか。それなのに大店の旦那やヤクザの親分がインフラを造るから問題がない、というのは矛盾が甚だしいし、またこれではヤクザが必要だという理屈になってしまいます。

まあ一時が万事この調子で、岡田氏の主張には賛同できないのですが、山形氏の冷静なツッコミは見事だったので何とか最後まで読めました。

 

追悼ジョン・ウェットン

ジョン・ウェットンの訃報に接しました。

最近、プログレ界の大物ベーシストの訃報が相次ぎ、クリス・スクワイア(イエス)、グレッグ・レイクキング・クリムゾン、ELP)が亡くなったと思ったら、今度はジョン・ウェットンまで亡くなってしまいました。

この人は、キング・クリムゾン以降、75年にはユーライア・ヒープに加入、UK解散後の81年にはウィッシュボーンアッシュに加入と、いろいろなグループを渡り歩いていた時期があります。

実現しなかったのですが、PFMがマンティコアから世界デビューした時にベーシストが抜けたため、後任としてジョン・ウェットンが推薦されたことがあったようです。まあこれは合わない可能性が高く、結果的にパトリック・ジヴァスが加入して事なきを得ましたが。

しかしそのキャリアの中で光るのが、78年から80年にかけてのUKと、82年からのエイジアでしょう。

エイジアで成功した後、脱退してソロになり、何度も来日してライブアルバムを多発していた時期がありましたが、その頃はあまり音楽を聞きに行くことがなく、またあまりに何度も来日してはライブアルバムを出されるとありがたみが薄れて見に行く気になれず、その後体調を崩したりして活動が活発でない時期もありましたが、2011年以降は再結成UKで再びコンスタントに活動するようになり、何回か来日していたのですがそれも見に行かずで、結局生でジョン・ウェットンを見ることがなかったのが残念です。

ジョンの魅力は、ベースでは暴力的な音を出しながら、ボーカリストとしてはすぐに彼と分かる独特の陰影の深いヴォイスで、歌謡曲みたいな哀愁漂う曲を歌うという取り合わせの妙にあると思います。安らかに眠ってください。

 

ではジョン・ウェットンの5曲を挙げてみたいと思います。

1、エグザイルズ(「太陽と戦慄」に収録) 

太陽と戦慄

太陽と戦慄

 

 

クリムゾンにおけるジョンのデビュー作に当たる「太陽と戦慄」に収録されています。

当時はまだロバートフリップが弾いていたアコギにバイオリンがからむ抒情的な曲で、 

ジョンのスモーキーなボイスは哀愁が漂っており、追放された者の悲しみがよく出ていると思います。

 

2、ザ・ナイトウォッチ(「暗黒の世界」に収録) 

暗黒の世界

暗黒の世界

 

 

クリムゾンでの2作目の「暗黒の世界」に収録されています。「夜を支配する人々」と謎のタイトルがついてますがこれは「夜警」という邦題にすべきでしょう。どうみてもレンブラントのあの名画を歌った曲なのですから。カラオケで歌ったこともあります。

 

3、スターレス(「レッド」に収録) 

レッド

レッド

 

 これも挙げたら結局5枚中3枚はクリムゾンになるのですが、まあ中期を代表する一曲なのでやむを得ないですかね。ボーカルも悲しげで良いのですが、ラスト近くのゴリゴリしたベースも素晴らしい。

 

4、デンジャーマネー(UK「デンジャー・マネー」に収録) 

デンジャー・マネー+1(紙ジャケット仕様)

デンジャー・マネー+1(紙ジャケット仕様)

 

 UKのファーストとセカンドでどちらを取るかというと、セカンドを取ります。ファーストはアラン・ホールズワースのギターがどうにも収まりが悪く、3人になったセカンドは曲もシンプルになりコンセプトがよくまとまっていて聞きやすい。

 

5、ヒート・オブ・ザ・モーメント(エイジアのファーストに収録)

 

詠時感~時へのロマン~

詠時感~時へのロマン~

 

 実はエイジアはそれほど好きではないのですが、ファーストだけは評価できます。日本でこれが出た時の「詠時感」という謎の邦題に頭がくらくらしました。

 

2017ヨーロッパ選手権女子フリー

ヨーロッパ選手権、続いては女子フリー。

さすがに早朝だったのでリアルタイムでは見ることができませんでしたが、土曜日で少しゆっくりできたので、7時半から録画していた最終グループを見ることができました。

最終グループ第1滑走はソツコワでしたが、緊張したのか転倒などがあり残念でした。フリーは120.35。トータル192.52でこの時点で表彰台は遠くなってしまいました。

フランスのルカブリエは冒頭で3Lz+3Tを決め、演技中ずっとはつらつとした動きで素晴らしく魅力的な演技でした。フリーは124.29で4位。トータルでも5位。フランスの女子でこのレベルに達した人は久しぶりではないでしょうか。今後にも期待ができます。

ハンガリーのトーは残念でした。フリーでは8位になり、トータルでも8位に終ってしまいました。

そしていよいよ、優勝を争うであろうラスト3人の演技となりました。

メドベデワは相変わらずパワフルな3F+3Tからスタートし、安定した演技をしましたが、前回のロシア選手権から始めた「おまけ」を今回も披露してくれました。ロシア選手権では3回転×3でしたが、今回はコンボ合計4回というおまけ。本人も会心のできだったのか、最後に笑顔を見せましたが、しかし本来このプログラムのラストは恋人の死を告げる電話のはずだから、笑ってはいけないのではないでしょうか。フリーは150.79でパーソナルベスト、そしてトータルは229.71。ついにというか、ようやくというか、キムヨナの持っていた世界最高点を超えてくれました。

そして続くはコストナー。SPのような衝撃的な演技ではありませんでしたが、3T+3Tから始まる堂々たる演技。TESは64.45とメドベデワに比べると10点も低いのですが、PCSは高く138.12と堂々のフリー2位。トータルでも210.52。

最終滑走はポゴリラヤ。冒頭の3Lzの着氷が乱れてセカンドがつけられなかったので心配したのですが、後半に組み替えたコンボを3つ入れて、何とベースバリューではメドベデワを上回る構成になるという、見事なリカバリを見せました。

フリーの137.00はコストナーを下回りましたが、トータルでは211.39と上回り2位。

見る前はどうせメドベデワが優勝するんだろう、というような気分でしたが、コストナーの衝撃的なSPを初めとして、結構見所の多いヨーロッパ選手権でした。