弁護士大久保康弘のブログ

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ネイサン・チェン、全米初優勝

フィギュアスケートの全米選手権の生中継がJスポーツ4であり、タイミングよく今朝の男子フリーを出勤前に見ることができました。

男子SPはネイサン・チェンが4Lz+3T、4Fを決めてTES60点台という恐ろしいスコアを出して全米史上初の100点超え106.39で、2位ロスマイナー88.67に17点差をつけ、ジェイソンブラウンは79.23で4位で、今日のフリーを迎えました。

最終グループはまずはジェイソンブラウン。NHK杯では残念な結果に終わりましたが、今回は3A2本決めました。目を離せない動きで175点。ロスマイナーは残念な出来で151.67にとどまりました。

そしていよいよネイサン・チェン。曲は韃靼人の踊り。

冒頭の4Lz+3Tから4F、4T+2T+2Lo、4Tと4本連続で決める。しかもそのすべてが綺麗に決まる。

下は画面ですがこのように要素ごとに信号のような表示が出て、成功は緑、出来のわるいものは黄と赤で表示されます。

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そして後半、3Aを決めた後、何と4Sを跳んできて実況も仰天。

そして見事に決めた。

で、演技終了直後のTESがこのように表示されます。

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何と120超え!とんでもない演技でした。

そしてネイサン・チェンはジャンプだけではない。もともとバレエをやっていたこともあり、フリーレッグの美しさも評価されています。

得点は212.08。トータルは何と318.47。

歴史的な瞬間を目撃できました。

 

 

 

64(ロクヨン)

 

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

 

 正月明けの連休に読みました。

わずか7日しかなかった昭和64年に起こった誘拐殺人事件64ロクヨン。この事件が、ずっと通奏低音のように響くD警察署における人事抗争。

そして終盤になって、亡霊のようだった64(ロクヨン)が再度表面に浮上する。

この物語には真のキーパーソンがいて、終盤近くになるまで出てこないのですが、出る度に強烈な印象を残します。態度も言うこともとにかく格好いい。

そのキーパーソンが物語の最終盤に発した、<俺はな、初めて会う人間すべてに目で問いかけることにしているーお前はロクヨンのホシか?>という台詞を読んだときには痺れました。

 

 

「戦争まで」加藤陽子

 

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

 

今年読んだ本の一冊目。加藤陽子さんの著作は出たら読むようにしていますが、これは昨年出たものです。

サブタイトルが「歴史を決めた交渉と日本の失敗」とあります。

太平洋戦争を回避する選択肢はなかったのか、について、リットン報告書、三国同盟、日米交渉の3点を取り上げ、高校生などに対する公開授業として議論をすすめていきます。

 

1章で面白かったのは663年の白村江の戦いに敗北した後の日本の唐に対する態度です。676年、朝鮮半島新羅により統一された後、日本は702年に遣唐使を再開しますが、その際に遣唐使粟田真人は、自らを倭国の遣いではなく、日本という新しい國の遣いだと主張して唐との関係を築く。日本書紀はそのための書物だというのです(天皇の歴史1巻、大津透)。

 

2章からは本題に入ります。

ここからの記事は次の著者へのインタビューも参考にしました。

www.huffingtonpost.jp

 

2章はリットン報告書について。満州事変を調査したリットン調査団は大阪にも来ていて、本町の綿業会館も訪問しました。数年前にその綿業会館を見学したことがありますが、重厚な近代建築でした。

リットン報告書は、当時受け止められていたように単に日本を糾弾するものではなく、現実的な解決を提案するものでもあったことは、最近そのように言われることが多くなってきました。

以下は前記インタビューからの引用です。

報告書は「張学良政権への復帰は認められない」と書く一方で、「現在の満州国そのままの存在も認めない」と書いていたので、一見すると日本側に厳しいように見えます。しかし、将来この地域につくられるべき仕組みは「過激なる変更なくして現制度より進展」させうるとも書いていた。つまり「満州国の制度からスムーズに移行しうる制度だよ」と。

さらに、日本にとって好条件もあった。具体的には「新政権を現地に作るための諮問委員会メンバーの過半数を日本側とし、また外国人顧問のうち充分な割合を日本側が占めてよい」ともいうのです。

当時の日本政府もジャーナリズムも、32年10月に公表されたリットン報告書に対し、中国側に肩入れしたものという評価を下し、その内容を精査せず徹底的に批判しました。私が惜しいと思うのはそこで、リットン報告書が展開していた日本側への妥協的な選択肢を見ていなかった。

日本側は、「リットン報告書が満州国の存在を認めている」との根拠のない楽観的な下馬評を信じていたため、実際に報告書が出た時には狼狽し、文書の正確な含意を読み取ることができませんでした。 

「しかし世界の道というものは存在しています。もしあなたが世界の道を受け入れるならば、なおいまだそれは遅くはありません」というリットン報告書の解決のための提案は残念ながら受け入れられませんでした。

 

3章は三国軍事同盟について。

この同盟が結ばれるまでわずか20日間しかなかったこと、実はこの同盟はドイツとイタリアには有利だが日本には不利なこと、にもかかわらずわずか20日で同盟を締結した理由として、「ドイツが勝って終戦というシナリオ」にどう対処するかという問題が存在したということを挙げています。「大東亜共栄圏」もそのためのものです。現実にドイツは敗北したのですが、当時はドイツの勝利はかなり確かなものと考えられており、その要素を忘れて同盟締結の理由は理解できないということです。我々は第二次大戦でドイツが敗北したことを知っていますが、それゆえ1940年当時、ドイツが勝つという予測が強かったことに思い至らないのでしようが、当時の人々の頭になって考えないと分からないというのはその通りです。これは太平洋戦争を描いたドラマなどによく「日本は負ける」という予言をする人が出てきますがこれも当時の人々の頭ではないということでしょうね。

 

 以下インタビューからの引用です。

――三国同盟については、日本ではよく「快進撃を続けるドイツと結ぶことで『バスに乗り遅れるな』」と、勝ち馬に乗ろうしたという文脈で語られる思います。

たしかにそれは間違いとは言えませんが、当時の政策決定者の視点が抜けています。

日本がドイツとの同盟を選んだ理由は、大西洋と太平洋でアメリカを牽制するためにあったのではありません。むしろ、ドイツが電撃戦で降伏させたオランダやフランスが東南アジアに持っていた植民地の処分問題が日本側の念頭にあった。オランダ領東インドの石油、フランス領インドシナ(現在のベトナムラオスカンボジア)の米などは、総力戦を支える資源として重要でした。

三国同盟調印の2カ月間前(1940年7月)、外務省と陸海軍の担当者が参集し、何を話し合っていたかといえば「ドイツの勝利で第二次世界大戦が終了してしまった場合どうなるか」ということです。

「大東亜新秩序建設」という言葉が、なぜ使われ始めたか。東北学院大学教授の河西晃祐さんは「植民地宗主国を抑えたドイツによる、東南アジア植民地の再編成の可能性を、参戦もしていない日本が封じるための声明として」という見解を唱えています。来たるべき講和会議に、ドイツ・イタリアの同盟国として日本が乗り込む時、このような声明が有効だというのでしょう。鋭い見方ですね。

なおこの河西教授の本も後で紹介する予定です。

4章は日米交渉について。

この問題についても、我々は最後にハル・ノートをアメリカから手渡され、開戦となった経緯を知っていますのでそれまでの交渉もあまり熱がこもっていないと思いがちですが、日米首脳会談は実現する可能性がおおいにあったと。

結局日米交渉が挫折したのは、会談計画が漏れてしまったことが原因のようです。

以下はインタビューからの引用です。

――日米とも衝突は避けたかったけど、実際には戦争へと至りました。なぜでしょうか。

いくつかの答えがあります。一つには、最も有望視された近衛文麿首相とルーズベルト大統領の洋上会談計画が、日本国内の国家主義勢力に漏れ、極めて効果的な批判がなされ、つぶされたからです。彼らは近衛首相のことを、「ユダヤ的金権幕府を構成して皇国を私(わたくし)」する勢力の傀儡だと批判しました。

 2つの階層が文化的思想的に交わっていなかったといえる。これは日本の教育の問題でした。社会の階層間をつなぐ、文化的な中間的な装置を欠く社会は、強固な決意を持ち、既成政党や財閥打破を掲げて国民を動員しようとした軍部のような存在の前に極めて脆弱でした。

以上、戦争に至る前にはいろいろな選択肢があったことを教えてくれる著作でした。この本がかなり読まれているのはいいことだと思います。

 

 

2016全日本フィギュア総括

かなり遅くなっての記事ですが全日本選手権の総括を。

・羽生君の欠場

やはり一番大きな出来事はこれですね。絶対王者の欠場で、男子は一気に盛り上がりにかけるものとなってしまいました。戦前には、羽生君人気でチケットがむやみに高騰していたのですが(アリーナでは15万円で取引された例もあるようです)、高値で買った人は羽生君の欠場でどのように思ったのでしょうか。私は幸い正規価格でチケットが取れたので、欠場は残念ですがまあ仕方ないと思っていましたが。

・電子チケットの導入

これも全日本としては今回からです。実はこの年くらいからから電子チケットの導入が増えてきて、この全日本も電子チケットが導入されそうだという予感があり、その反面、8月まではiPhone4だったのでアプリが入らずどうしようと思っていたのですが、ちょうど使えなくなりiPhone6に変えたのでアプリの問題は解消しました。チケットについては金曜、土曜のチケットはアイスクリスタルで取れましたが日曜日が取れず、2次発売で注釈付きA席を電子チケットをぎりぎりで入手できたのですが、何せ初めての経験なので、ダウンロードできるまで、いや入場するまでどきどきしました。最後にCメールで4桁の番号を送ってきてこれを入力する必要があるのですが、その番号の有効時間が2分しかないのであせりました。

・使用曲について

一番多かったのはレジェンド・オブ・フォールで男子1、女子3の合計4回使用されました。映画音楽ですが雄大な曲です。私はこの曲が大好きで、特に2011年の大阪での庄司理紗の演技は今でも忘れられません。


[Music Only] "Legends of the Fall" Risa Shoji 2011-2012 FS

・男子 羽生君の欠場は大きく、男子フリーの途中までは今年はいまいちのパターンかとも思いましたが、最後の宇野選手の熱演で報われました。ただ、山田耕新選手がフリーに進めなくて残念。またルパン3世の鎌田詩温も残念でした。

・女子 とにかく若手の活躍が目立った大会でした。西日本選手権のジュニアフリーを観ていたので、ある程度選手の顔と名前を覚えられてよかったのですが、見ていないとついていけなかったかもしれません。その反面、今井遥村上佳菜子の両選手の今後が気になるところです。若手でも特に目立ったのが三原舞衣のフリーのシンデレラ。先日も書きましたが、とにかく溌溂としてスピードがある演技で、大会のハイライトと言って良い演技でした。残念だったのは上野沙耶がフリーに進めなかったことです。

浅田真央選手 怪我の影響か、ループは跳べるがその他のジャンプが思うように跳べない状態で臨むことになってしまったようです。直前の6分間練習では3Aを決めていたので期待したのですが、本番で決めることはできませんでした。上位に食い込めなかったため、いろいろ外野がうるさいようですが、本人も来シーズンまでと決めているのですから、あとひとシーズン、本人もファンも納得がいく演技を見せてもらいたい、それだけです。それまで温かく見守りたいと思います。

 

 

2016全日本女子FS全選手レビュー

続いては女子FS。
松嶋那奈  ラストエンペラーとサユリ。昔懐かしい日本人体型の選手だな。3T+3Tをはじめ、ジャンプが良く決まる。2F+2T+2Loも綺麗にまとめ、満足そうな笑顔。
今井遥 プリマベーラ。冒頭2A+3Tは着氷したが次の3Lzがシングルに。その後も転倒こそなかったが、2Aなど回り切れてないジャンプや着氷乱れが多かった。演技終わって万感の表情から笑顔に。観客に大きく手を振る。うーん今後はどうするのだろう。96.29
木原万莉子 アディオスノニーノを黒い裏地が赤の衣装で。途中に転倒があったが、ステップはタンゴらしくてよかった。得点は100.91と100は超えた。
永井優香 声援が大きい。レジェンドオブフォールをティアラをつけた白い衣装で演じる。昨日は立ち直りの兆しを見せたと思ったのだが。冒頭からパンク、3Lo転倒、2Aコンボつかない、3Sもパンクとジャンプは散々だったが、それでも後半に意地で3S+2T+2Loを決めたことには拍手を送りたい。手もケガしていた。終わる前から泣いてたが声援は暖かい。ただ点数は78.17とFS24位に終わる。
笠掛梨乃 アラジン。ジュニアだから当然だがまだ小さいな。3Lz決めたが壁に寄りすぎたり、後半3連続から3つ続けて転倒したが元気でよかった。転倒しすぎて音楽が先に終わってしまった。3度目転倒からの−2が適用されてしまった。
小林聖衣 きらりというのか。龍神伝説。2Aは予定通りだが3Sがダブルに。ジャンプはもう少し勢いが欲しいな。後半のジャンプはまずまず。演技終わってほっとした表情。
 
第2グループ
廣谷帆香 韃靼人の踊りだが、いきなりメインテーマから始まるのはあまり好みではない。3Lo+2Tから。3Lz単独、3S決めた。3T+2Tのセカンドで腰に手を当てたり、ステップでも面白い態勢になったり工夫があった。3連続含めてジャンプ良く決まりガッツポーズ。小規模だがスタオベをもらう。95.21
白岩優奈 冒頭の3Lz+3Tを綺麗に決めて好調。その後もジャンプを決めまくり、後半の3Lz+2T+2Loなど、最後まで綺麗に全てのジャンプを降りた。本人も感激しガッツポーズ。満場のスタオベ。得点は何と131.07でFSは3位、トータル6位になった。
中塩美悠 冒頭3T+3Tはよかったが、次の3Fは傾きすぎ。後半のジャンプは回転が少なくなってしまったのが多く、転倒こそなかったが小粒な演技になってしまったのが残念。90.86
新田谷凛 彼女もレジェンドオブフォール。鈴木明子振り付け。3Lz+2Tから。3F、3Loと決めた。ステップはエスニックな部分を使い、後半3Lz、2A+3T+2T、3S、2A+3Tと決めた。雄大な曲調に合わせたスパイラルなど構成が見事。本人も感激。スタオベをもらっていた。122.55でFSは8位。
細田采花 綺麗な顔だ。黒い瞳。冒頭3Lz、2A+3Tはよかったが、後半3F+2Tで連続ジャンプで妙なこけ方をしてしまい、3Lo着氷乱れ。3連続もこなしたので、全体としてはまずまず。102.25
磯邊ひな乃 龍馬伝。すらっとした体型。3Lz+3T決めジャンプは好調。後半3Lzで転倒したが3F+2T+2Tは決めた。ただもう少しスピードが欲しい。演技終わってあちゃーという表情だったがすぐ笑顔に。98.24
 
第2グループが終わり製氷だが、その間に寝ることができたのは有難かった。
第3グループ
大庭雅 ナルニア国。衣装はRPGみたいだった。昨日は久し振りにいい演技を見せたが今日も好調だ。2A+3T降りた。3Lo、3Sと後半3S+2T+2Lo、3Lo+2Tなどジャンプ全て降りた。剣を振るような動きも面白い。106.26はFS13位。トータルでも13位だ。
滝野莉子 ジュニアらしい体型。14歳か。レミゼラブル。冒頭3Fから何とか3Tをつけることができたが転倒。2A+3Tは頑張って成功。スピン速いな。スパイラル長くやるのも良い。しかし3Fで転倒してしまい、3S+2T+2Tの3連続を決め、ステップから2Aの流れも良い。得点は104.14
村上佳菜子 前半3Fと2Aを綺麗に降りた。3T+2Tもまずまずで回転も足りているようだ。
3S+2Lo+2Loも決めた。3T、3S+2T、2Aといつものようなパンクがなく最後のスピンを迎え会場から拍手が。最後ひざまづいて終わるがそこからなかなか立てない。涙。山田満知子さんは笑顔。スタオベ。高得点コールも。124.03はFS7位
鈴木沙弥 華奢だな。15歳か。ウエストサイド。2A+3T+2Tから。3Lz+2T、3Loと決めた。鈴木明子バージョンと違い、トゥナイトから始まり、後半2A+3T、3F、3Sと決め最後アメリカで終わる。小気味良い動き。ノーミスだが本人は淡々としていたな。120.35と高得点でFS9位
浅田真央 6分練習で3F+3Lo、3Aを決めたので期待したが、フランス杯よりは回復していたが、まあ5割くらいの演技になってしまったか。3A挑み転倒したが昨日と違いかなり回るようになった。次の3F+3Lo着氷、3Lzとここまでは悪くない。後半2A+3Tも着氷した。3S転倒が痛い。ここからは滑り込み不足を露呈して3Fパンクしたので、その後の2Lo連続は見られなくて残念。3Loは決めた。結局転倒2つ、回転足らずが一つでループに頼る構成となった。演技直後の表情が何とも言えない。丁寧に花束を拾う姿が印象的。114.10とFS12位に終わる。
松田悠良 ドアーズのスパニッシュキャラバン。前半は2A+3T+3Loと3Lz決めた。後半は3F2T、2A、3Lo2T、3F、3Sとジャンプを全部降り、長いスパイラルは綺麗だったが、その割には得点が118.64と案外低かった。FS10位。
 
最終グループ 
本田真凛 冒頭3Lz決めて2つ目は3F+3Tのはずだったが見事にパンクしたな。しかし後半2A+3Tの後に2Tを軽々と付けて、3S+3Tも跳んでリカバリーをみせた。3F+2Tも決め、マイナスを3F一つ分にとどめたのは凄い。フィニッシュで首をひねっていたがそれでも128.59は高得点だ。みんなもっとスタオベしてやれ。FS5位、トータル196.11で4位は凄い。
三原舞衣 シンデレラ。佐藤有香振り付け。いやこれは素晴らしかった。本日の白眉といえる演技。冒頭からスピードに乗り、迷いなく3Lz+3Tを決める。とにかく最初から最後まで全くノンストップでスピードに乗り演じたこと。止まるところが全くなく、迷いなく全てのジャンプを決める、自信に満ち溢れた滑りだった。途中で緊張感のあるパート、スパイラルも見事にこなした。満場一致のスタオベ。132.26はこの時点でFS1位(最終2位) トータル198.17でこの時点で堂々トップに立つ。
坂本花織 今年演技を見るのは3回目。冒頭3F+3Tはセカンド足らないか?
やはり緊張感があったのか。あとは2A+3T、3F+2T+2Loを決めるなど頑張ったが、最後から2番目の3Loで軸がぶれて転倒。これは痛かった。120.64にとどまり、トータルでも 184.00にとどまる。最終的に 位。
宮原知子 衣装は白いと映えないなあ。冒頭3Loから。3Lz+3Tではセカンドが乱れたが、ミスはそれくらい。ただ全体に少し押さえ目の演技。途中ステップはクリムゾンのデビルズトライアングルだな。3Lz+2T+2Loも流れない。2A+3Tはよかった。フィニッシュは音とピタリと合って格好いい。138.38と宮原としてはやや控え目な得点となった。ただ一人200を超えて214.87でトップに。
樋口新葉 冒頭スピードある3Lz+3T決まり、好調かと思っていたがやや動きが硬いか。3つ目で転倒し、ステップも硬かった。後半の3Lz+3Tを決めて、その後はよかったが。それでも3Lz+3Tを後半に決めたのは大きく、13075。
19949でこの時点で2位。
本郷理華 最終滑走で、宮原がそれほど高得点ではなかったので逆転のチャンスはあったが、ただそれがあだになったか冒頭から動きが固い。冒頭コンボにできず、次のジャンプもパンクと最悪のスタートとなり、どうなるかと思ったが、会場の手拍子で盛り上げた。そして最後にセカンド3Tを付けたのは立派だった。
しかしやはりミスは痛く、125.08で5位に終わる。残念。
全体の感想は次回に回します。
 
 
 
 

2016全日本男子FS全選手レビュー

全日本が終わってから2週間たってしまい、今さら感が強いのですが、個人用にフリーでの全選手の演技についてメモを作っていたので、今回公開することにします。今回は男子です。
 
第1グループ
中野紘輔  ベートーベンのピアノソナタなど。うどんを食べずに1番から見たが、なかなか着氷が安定しない。ステップも流れがなく、真似事みたいに見えた。
佐上凌  道とカサブランカ。3Lz+3T、2A、3Lo決め、流れもあり、なかなかよかった。これだけやってくれたら見てよかったと思う。3連続の最後がシングルになったのが残念だが、FSは120.42を出して11位だった。
鎌田英嗣 うーんジャンプがぬるい感じだったな。とりわけハーフループ3連続はキレを欠いたものになってしまった。最後も音楽からはみ出した。
吉野晃平 トスカ。SPのステップはきれいなものだったので期待した。冒頭に3A挑むが転倒。これが響いたか次のジャンプも失敗。しかしそこから持ち直した。ステップは丁寧だ。イーグルを見せてフィニッシュ。
中村智  ミスユー。2Aからスタート。3Lz2Tも決めたが3Fがパンクだ。動きはなかなかよかったが、2Aばかりになってしまった印象が。最後は音楽からはみ出した。
笹原景一郎 レジェンドオブフォールだが曲の編集はもっとテーマを早い段階で出してほしかった。3Aに挑むも転倒。3Lzは2回パンクしたが最後に成功。この選手も音楽からはみ出してしまつた。
 
第2グループ
川原星 ミッション。冒頭3A2Tを決める。さすがに第2グループだ。3Fは決まるが次の3Aは2Aになってしまった。前半はよく頑張ったが、後半の3Lo、3Lzと続けて転倒。最後はもう少し盛り上げて終わって欲しかった。しかし120.22とまずまずの得点でFSは12位。
中野曜司 もののけ姫。昔小塚君がロミオとジュリエットをやった時のような青紫の衣装。冒頭3A2Tが決まる。続けて3Aに挑むが転倒。3連続は決めた。
時國隼輔 座頭市。衣装は目立ちすぎだな。この曲、ステップをするのに向いているんだな。スピンはまずまずだったがジャンプはあまり良い出来ではなかった。盛り上がりに欠けて何となく終わったのが残念。
小田尚輝 サン=サーンス3番。3A2Tはセカンドまで少し間があったが何とか連続にした。3A単独も決まる。2A+3Tは綺麗に決まるが3Lo転倒。スピンはいいな。最後盛り上げるスピンでフィニッシュとまずまずの出来。
壷井達也 タンゴアモーレというのはエドウィンマートンの曲だが、よく曲にあった演技だった。よく動いていた。3連続もよかった。ステップも躍動感がある。ジュニアだが第1第2グループで初めてよかったと思った。これから有望。127.54でFSは8位だった。
木科雄登 チャイコフスキーバイオリン協奏曲。ジャンプ綺麗だな。3Loで転倒したため、3回転3回転はできなくなったが3連続と2A+2Tも決め、まずまずの演技だった。
 
第3グループ
須本光希 ベートーベンの悲愴。2Aから。続く3Fも決め、ジャンプは好調だったが後半転倒。3F3Tは決め、最後の3連続も決めた。さすが第3グループ。しかし浪速高校の選手は大学はどこに行くんだろう。117.63でFSは14位。
島田高志郎 ロミオとジュリエット。3Sからスタートし、続く3Lz3Tは素晴らしい。2Aも決めてスピン。脚が長くて映える。後半の3Lzを綺麗に決めて、物語の表現に入る。ロミジュリではひざまづいて愛を求めるポーズは必須だな。後半も2A+2T、2Lo、3Lo、3S+2Tと全部ジャンプを決めたが、物語の表現が素晴らしく、最後のスピンで拍手が鳴り止まない。演技を終えガッツポーズ。会場は昨年の札幌に続きスタオベ。137.52はFSでは6位。トータルでは200.18と7位で、200を超えたのは素晴らしい。
三宅星南 ナザレの子って昔ジョニーウィアーが演じた曲だな。コレオシークエンスから始まる。3A降りたが3Fはお手つき。変拍子が入るがよくこなしていた。5つ目まで単独だったが後半3Lz3T、2A3Tと決めた。最後は音楽からはみだした。126.50はFSでは9位。トータルでは9位。中村優 ムーランルージュ。冒頭3Aはステップアウト。3Lz+3Tは決めた。よく曲を表現していた。2つ目3Aは2Aになり、3Lz転倒は残念だったがその後3連続、2連続を決めた。会場もだんだん盛り上がってきたな。135.20はなかなかの得点でFSでは7位。、トータル202.16と6位。
本田太一 。冒頭3Aは転倒したがその後は立ち直り、2A+3T+2Tを決めるなど頑張った。ただラマンチャの男は、ジュニアに向く曲ではないと思う。
鈴木潤 ニューシネマパラダイス。冒頭3A転倒は仕方ないが3Loも転倒するなどジャンプ不調だった。後半は決めたが111.37とこのクラスではかなり低い点になってしまった。
 
最終グループ
佐藤洸彬 うーん昨日のSPはよかったが、最終グループのプレッシャーか、今日はジャンプ不調だったな。冒頭3A決めたと思ったがしかしセカンド2Tで着氷乱れ、それから3A、3Lzと回らない。後半最初の3Loも開いてしまった。決めたのが3F+2Tと最後の2Aくらいだ。
途中フィガロフィガロと連呼するところに合わせたスピンは見事だった。ステップで手拍子。FSは120.69で10位に終わる。トータル192.70は8位。
日野龍樹 キダム。冒頭3Lzからの3連続、3Lz3T、3A+2Tと決めた。前半の4つのジャンプは全て成功。後半の3Aは転倒したが2A、3Fは決めた。ジャンプのミスは一つにとどめて頑張る。全力を出し尽くした感があり、演技終了後中央に戻るのに時間がかかった。FSは151.66で4位。トータルは230.01で4位。
友野一希 パリのアメリカ人。素晴らしかった。冒頭4Sを見事に決め、3A、3F2Tも決めた。後半の3A2Tも見事。ジャンプで一つだけ3Sが抜け2回転になったががほぼ完璧に降りた。ステップも音によくあっており観客によくアピールしていた。渾身のガッツポーズ。FSは148.92で5位。トータルは216.55で5位。
田中刑事 フェリーニメドレー。冒頭4Sは綺麗に着氷。次に再度4Sを予定したが3Sにした。続く3Aは途中で開いて回らず両脚着氷になってしまったのが残念。ただその後は立ち直り、後半3F+3Tは綺麗に決め、3A+2T+2Loも決めた。3Lzは何とか堪えた。3S+2Tも決めた。音楽に合ったステップは見事で、最後にテンポが速くなるのだがこの部分もよく頑張った。終わって出し切ったという表情。FSは163.70と高い得点となった。トータル249.38でこの時点で首位に立ち表彰台確定。
無良崇人 うーん高得点を叩き出し宇野君ここまでこれるか、という展開を期待したのだが。前半、冒頭4T堪えて、4T+2T、3Aを立て続けに決めたときは優勝かと思ったが。後半の3Sを決めるまではよかったが、次の3Aで力が入りすぎたか開いて2Aになり、直後3Aに再度トライしたが着氷乱れてコンボにならず。ここがポイントだったか。その後は崩れてしまい、3Fも乱れコンボにならず、最後の3Lzもダブルになってしまった。うーんコンボは前半の一つだけか。前半よかったのにここまで崩れるとは本人も信じられないかもしれない。
演技終わって悔しい表情。帰って録画を観たら実況が「これが無良です」と言っていたが皮肉に聞こえてしまう。
なのか。FSは151.77で3位とはいうものの刑事より10点下で、日野とほとんど変わらない得点にとどまってしまった。トータルも242.11と田中刑事を上回ることができなかった。
宇野昌磨 さあ最終滑走。ここまで羽生の欠場もあって、今一つの男子フリーだったが、ここでドラマがあるとは。
冒頭4Fは着氷が乱れてしまいセカンドがつけられず、次の4Tも着氷が乱れ、3Loは決めた。後半、イーグルからの3Aも、さらに4Tも何とかこらえたがクリーンに着氷できず、5つ連続で単独になり、ラスト3つまで来てしまった。どうするんだろうと思ったが、そこからが3Lz+2T、3A+ループ+3S、最後は3S+3Tと、何と全部コンボにした。これは凄い。素晴らしい。良く頑張った。本人も演技後涙で、それはよく分かる。演技後の挨拶がジャッジの側からではなく反対からしてしまったが、それも全力を出し切ったドラマの構成要素の一つだ。FSは192.36と2位と30点近い差をつけた。トータル280.41で逆転優勝。
 
 
 

ジョセフ・ヒース+アンドルー・ポター  反逆の神話

 

反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか

反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか

 

昨年の12月に読んだ本です。

副題の「カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか」が内容をよく表しています。

カウンターカルチャー的立場は、ルールを作ること自体に反逆していたのだが、その結果がろくなものにならなかったということが、豊富な例で実証されています。

ルールは全面撤廃するのではなく改良すべきだという本書の主張は、二昔、いや三昔前なら改良主義者として非難の嵐だったでしょうが、今やカウンターカルチャーのいう「自発的な調和」は神話に過ぎず、政府の必要性を直視しなければならないという主張は穏当なものです。

なお、新自由主義についてはこの本ではそれほど触れられていませんが、政府(による介入)の必要性を認めない点ではこのカウンターカルチャーの考え方と同じで、実際に左派から新自由主義に転向した方も多いのはまさに同じような理論的根拠があるのでしょう。

また「経済成長をするよう頑張ります」という考えてみれば当然の政府の方針を批判する、某新聞の論説委員の主張も根底には同じものがあるような気がします。