弁護士大久保康弘のブログ

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隠れ社寺訪問記(7) 大阪市住吉区 西之坊

隠れ社寺訪問記、このところ大阪が続いていますが今回も大阪です。

住吉区にある西之坊。10月1日から3日まで特別公開されました。

 

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 この前紹介した東大禅寺は住吉東駅の東側にありましたが、今回は住吉東駅の西側です。

  

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古くからの住宅街の中に西之坊があります。

 

 

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境内には方違堂があります。

こちらは本堂。 

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以上外観でしたが、以下は本堂の仏像を。

まずはこれです。他に類例がないという、菩薩型立像。

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大雑把に表現すれば荒神の顔が菩薩になっているというものですが、三面で八臂です。有名な興福寺の阿修羅増が三面六臂で、三面八臂は珍しいと思います。

また頭上の被り物に化仏があるのも独特です。

 

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ご本尊の地蔵菩薩です。かなり大きく迫力があります。

  

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蛇神。宇賀神さんではなく蛇だけです。

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ここでもなかなかユニークな仏像、神像を見ることができました。 

 

映画「サーミの血」を見ました。

映画「サーミの血」をテアトル梅田で見ました。

映画館で映画を見るのは久しぶりです。最近は昼食後居眠りをしてしまうことが多く、映画を見に行っても寝てしまう危険性が高いからです。

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スウェーデン北部、ラップランドに暮らすサーミ人の物語ですが、実はこの映画が公開されると知った時、「自分が見ないで誰が見るんだ」という気持ちになりました。

 

というのも、以前からサーミ人というか、その音楽である「ヨイク」に関心があったからでした (そんな人は少ないと思いますが)。

私がサーミ人とその歌であるヨイクに興味を持つようになったきっかけは、ピーター・ガブリエルが主催しているWOMADで紹介されていた、マリ・ボイネというサーミ人の歌手の歌を聴いて衝撃を受けたことがきっかけでした。

ヨイクは、独特な節回しで唸るように歌われます。

 


Mari Boine - I Come From The Other Side

 

そして2012年の12月、フィギュアスケート全日本選手権が札幌で開催されたことから、観戦した際に北海道大学を訪れるとサーミ人をテーマにしたこのような展示が。

 

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札幌で2泊したのですが、日曜日の午前中から昼にかけて時間があったので、北大や時計台という札幌中心部を観光した際、偶然この「北極圏のコミュニケーション 境界を越えるサーミ」という展示に出くわしたのです。

 

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民族衣装。青と赤が印象的です。

 

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トナカイの展示。

 

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毛皮でできた冬用のテント。

 

という訳で、なぜかサーミ人とヨイクには関心というか縁があったので、この映画のタイトルを聞いておおこれは見なければ、と思ったのでした。 

 

f:id:okubolaw:20171004180600j:plain 内容はこのチラシに書いてある通りです。

放牧学校という、サーミ人だけが学ぶ学校に通う主人公の少女は、成績がよく外の世界に出たい、進学したいと思うようになります。

ダンスバーティで知り合った男子学生を頼ってウプサラに行きますが、相手にされず、何とか学校に潜り込みますが、なかなか馴染まない。友達に招待された際に、「ヨイクを歌って」と言われ、意を決して歌います。

 

その後は映画では描かれていませんが、冒頭で妹の葬儀のため帰郷したのが何十年ぶりかであり、息子もいることからすれば、学校に行くことができたのでしょう。

ラップランドの風景も透明感があり美しいものでした。

なおパンフレットに書かれた宮台真司の文はひどいものでした。

 

なお、先ほど触れたマリ・ボイネは健在で、何と今年新しいアルバムをリリースしたようです。

これが新しいアルバムSee The Woman。

 

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この映画とサーミ人、その音楽を紹介できたことを嬉しく思います。 

 

ノーベル文学賞はカズオ・イシグロに

昨日はノーベル文学賞の発表があり、カズオ・イシグロが受賞しました。

ここ数年、村上春樹が受賞するのではないかと言われていましたが、昨年のディラン、今年のカズオ・イシグロと、ある意味村上春樹の世界と近い人が受賞したと言えるのではないでしょうか。

 

また、日本の出版業界においては、本命視されていたグギ・ワ・ジオンゴというケニアの作家より、長崎生まれ、原作のテレビドラマや舞台があり、映画化もされている作家の受賞はとても喜ばしいことだったのではないでしょうか。

 

本屋さんや図書館でもその作品を求める人が多くいるようで、喜ばしいことです。

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

 

私は「日の名残り」を、出てしばらく経った時期に読みましたが、落日の大英帝国を執事の目から見た重厚感のある小説でした。ただこれはイギリス国内で生まれたものではないからこそ書ける小説だったのではないかと思います。

驚くのは中公文庫が、以下のような高値で売られていることです。

 

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ハヤカワのものならこれほど高くないのですが、この高値は、「かなり前からカズオ・イシグロを読んでいた」と言いたい方のための商品だから、ということでしょうか。

私は中公文庫版を持っているので、こんな高値が付くなら売ろうかとも思います。

 

また、次の作品も、閉ざされた施設で生活する若い男女が描かれているのですが、何かものすごく不穏な雰囲気が漂っており、実はこの施設は・・という真相が知らされたときは仰天しました。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 

今回のノーベル賞の報道で、この作品のネタバレを心配していたのですが、「めざましテレビ」では「施設に暮らす若者の過酷な運命を描く」という表現をしていてこれはセーフ。しかし、朝日新聞は見事に一面でネタバレしていました。

 

茨木麦音フェスタ

9月23日、24日の2日間、大阪府茨木市で第6回麦音フェスタが開催されました。

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野外で音楽(プログレ系が多い)を聴きながらクラフトビールを楽しもうというコンセプトのこの催し、今回で6回目のようですが、友人のバンドが出るというので初めて参加しました。

私は23日に参加しました。当日は祝日でしたが、朝から事務所で所用があり、またその後探し物をする必要があったので12時ころまで事務所におり、茨木に着いたのは13時前でした。

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ちょうど2番手の雪盗境士のステージが始まったばかりでした。

 

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一人でロックンロールするというなかなかユニークなステージでした。 

この間、一杯400円のビールを飲んでいると待ち合わせしていた友人が来たのでさらにビールを飲んでいると酔っぱらってきました。

 

次はスリーピースのプログレバンド、荘園。今日はこの荘園を見に来ました。ステージを見るのは2回目です。

 

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全てインストですが曲がバラエティに富んでいて飽きさせません。

 

続いては浪漫座。新月と並ぶ和プログレの雄ですが、生で見るのは初めてです。

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メロトロンとムーグを駆使した演奏で、70年代からプログレを聴いている者としてはメロトロンの洪水とムーグがポルタメントに唸る音が、実に気持ちいい。

 

メロトロンは電子化されていましたが、それでもトラブルがあり、うーんメロトロンらしいなと。ただそのトラブルは、音が止まらないというもので、7秒間しか音が続かない本来のメロトロンなら有り得ない現象だったのは何とも言えません。

  

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 土曜日のトリはプリズム。

次第に暮れてきていい感じ。気持ちよく酔って聞いていました。

 

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帰りはJR茨木駅から帰りましたが、ボストンみたいでよかったです。

 

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また来年も参加しようと思います。

 

書類送検とはなにか

先日、大阪のミナミで未成年者と飲酒その他に及んだという容疑で捜査されていた俳優の小出恵介さんが、書類送検されたという報道がありました。

 

「道頓堀 画像 フリー」の画像検索結果

 

この書類送検、新聞やテレビなどでは時々聞く言葉ですが、刑事訴訟法には、送致するという文言はありますが、書類送検という文言はありません。

 

送検の「検」は検察庁の検です。犯罪の疑いがあると警察官が思慮したときに捜査が開始されますが、逮捕して取り調べる場合と、逮捕せずに何回か警察に出頭してもらって取り調べる場合があります(この場合を在宅といいます)。

 

この後者の在宅の場合、警察での取り調べが一段落して検察官に一件書類を送りますが、これが送検です。

ただし、逮捕されなくても起訴される場合はあります。この場合は書類送検とはいいません。また、取り調べをしても犯罪の嫌疑が不十分で捜査が終了した場合も、書類送検として報道されないようです。

 

つまり、「書類送検」とは逮捕も起訴もされないが、犯罪事実はある程度認められ、起訴猶予が見込まれる場合には、報道するタイミングがそこにしかないので「書類送検された」と報道する。このように報道のための用語だと思ってもらっていいでしょう。

 

誰かが犯罪を犯したとされる場合、「逮捕」はニュースになりますし、また「起訴」もニュースになりますが、不起訴になる場合、「不起訴」や「起訴猶予」では悪いことをしたというイメージがないので、「書類送検」として報道するというわけです。

 

ただ弁護士からすると、刑事訴訟法にない文言を使ってそれが定着するのはいかがなものだろうか、とは思います。

 

読書記録 「自民党ー「一強」の実像」「ポピュリズムとは何か ー 民主主義の敵か、改革の希望か」

今回は、最近読んだ本の中から政治関係の本を2冊取り上げます。 

いずれも最近、人文関係の優れた研究書を出している中公新書です。

自民党―「一強」の実像 (中公新書)

自民党―「一強」の実像 (中公新書)

 

 

自民党について手堅くまとめた研究書。各項目ごとに、研究の基礎資料とするにはいいが、通読するのはかなりつらかったです。舞鶴からの帰り、スマホの電池が切れたこともあり、何とか読みましたが。

 

 

この本も途中まではそれほど面白く感じなかったのですが、第4章の「リベラルゆえの「反イスラム」ー環境・福祉先進国の葛藤」という章になって、俄然熱を帯び面白くなりました。

この環境・福祉先進国とはデンマーク、オランダのことですが、著者がもともとオランダ政治の専門家だということもあり、かなり深く掘り下げられています。何より、この2つの国のポピュリズム政党が、極右とは明らかに距離を置き、デモクラシー的諸価値を前提として成立した政党だということである(107頁)という点が興味深い。

 

この両国は今やヨーロッパで最も移民に厳しい国に分類されているということですが、その原因は、この両国のポピュリズム政党の理論武装がしっかりしており、本来のヨーロッパのキリスト教に基づくリベラルであるがゆえに、イスラムとは対立せざるを得ないという主張をし、この主張が国家レベルでも認められていることにあるといいいます。

 

確かに、西欧諸国はキリスト教の価値観で成り立っており、それゆえ昔は十字軍などで衝突していたのでした。したがって、現代においていかに価値観の多様性を認めるべきとしても、キリスト教的価値観からすれば認められないイスラム教徒の振る舞い(特に女性を尊重しないこと)を、見て見ないふりをすることはできない。リベラルはなぜかイスラムの女性に対する扱いを容認するようですが、リベラルの自壊ではないでしょうか。

ひるがえってポピュリズムという言葉ですが、多様性の擁護とキリスト教的正義が対立するときに、多様性を擁護しないのはポピュリズムである、というのは明らかにエリートからの見下した言い方ですね。

 

このようにオランダのポピュリズムは、理論的にも水準が高く、単なる自分の国が大事ということではなく本質的な点をついている。
とりわけ、オランダのフォルタインという、労働党出身の性的マイノリティーが、転向して西洋的、啓蒙主義の理念による普遍的価値観からイスラムを批判するというのは、一本筋が通っています。そしてそのフォルタインが暗殺された後、その衣鉢を継いだウィルデルスの自由党も興味深い。


 あと、ヨーロッパ独自のポピュリズム勢力増大の理由として、欧州議会の活用ということがある(第7章)というのも有益な情報でした。

 

いろいろ示唆されることの多い本でした。

時刻表にない鉄道 その4 天橋立ビューランド

さて前のエントリで書いたように、舞鶴から天橋立に移動してスロープカーに乗りました。

天橋立駅で下車し、駅の裏手にある天橋立ビューランドへの乗り場に向かいます。

 

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天橋立ビューランドは山の上にあり、「モノレール」とリフトが選択できますが、私は当然モノレール(スロープカー)を選択。

  

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このように後部の窓からは天橋立が見えてきます。

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上まで上がるとこのような感じです。

 

山上駅に停車中のスロープカー。2両編成です。

 

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このように全景を撮影するのはタイミングの問題でなかなか難しいのです。

天橋立とスロープカーの両方を入れてみました。

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下に降りて駅前の温泉施設「智恵の湯」に入浴しましたが、普通で帰るための時刻を間違えて次の特急で福知山に。特急料金も勿体ないのですが、福知山を寝過ごすと大変なのであまり眠れなかったのが大変でした。