弁護士大久保康弘のブログ

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京の冬の旅 常林寺、細見美術館 はじまりは伊藤若冲

2月24日、京の冬の旅で公開されている常林寺を訪問しました。

この日は先日のブログで書いたように、奈良国立博物館に行き芦雪の襖絵を見たのですが、その後京都に行き細見美術館若冲を見た後で常林寺に行くというハードなスケジュールでした。

 

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「はじまりは、伊藤若冲」という展覧会なので、当然若冲がメインで、よく見る雪中雄鶏図などの他に、あまり見たことがなかった、萬歳図、虻に双鶏図なども出ていて楽しめました。

あと若冲ではないのですが、この絵に再会できたのは嬉しかった。「やすらい祭、牛祭り屏風」の左隻、牛祭りが展示されていました。

 

「牛祭り屏風」の画像検索結果

 

思えばこの屏風を2004年、京都国立博物館の「神々の美の世界」展で見て、細見美術館の名を知ったのでした。それから年に数回は行くようになりました。

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残念だったのは細見美術館に行く途中によく寄っていた二条のラーメン屋がなくなっていたことです。

 

さて常林寺。 

京阪の出町柳駅からほど近く交通は至便です。

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中に入るとこのような風景です。

 

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境内の手前の子育て地蔵。

 

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ここはそれほど古い寺ではなく、1671年に現在地に移転したとのことです。幕末に勝海舟が定宿にしていたということで、勝海舟の間を見ることができました。

 

本尊は阿弥陀三尊です。 

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ここは萩の寺と呼ばれており、秋には萩が咲くのが見られるようで、境内は自由に入れるということなので、またその季節に出向こうと思います。 

 

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特別陳列 お水取り+ 薬師寺の名宝@奈良国立博物館

フィギュアスケート女子が終った翌日の土曜日、たまたま時間が空いたので、薬師寺の塔頭の襖に描かれた芦雪の襖絵が観られるというので、奈良国立博物館に行きました。ようやく暖かくなった奈良公園はかなり人出が多くにぎやかでした。

まずは特別陳列お水取り。この特別陳列は毎年この時期に行われており、私も以前見たことがあると思っていましたが、私が見たのはおん祭りの特別陳列だったことを思い出しました。

実際のお水取り行事は、クライマックスではない松明の少ない日に見に行ったことがあります。

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また「名もなき知識、発願者たち」の展示は写経でしたが国宝も2点見ることができ、充実していました。

そしてもう一つの特別陳列へ。

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薬師寺の名宝」、こちらが私の本命で、薬師寺の塔頭だった福寿院にあった蘆雪の襖絵。虎も、鳥も、子供もいかにも芦雪でした。やはり蘆雪はいいですね。見ると楽しくなってきます。

 

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上の襖の虎の拡大図です。

 

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これは上の襖の岩に止まる鳥の拡大図。叭々鳥かな。 

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上の襖の子供の拡大図。 

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また板絵神像もなかなか興味深いものでした。女神と男神をそれぞれあげておきます。

 

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この特別陳列は14日までです。

若き女王の戴冠 (平昌五輪 フィギュアスケート女子シングル)

さて今度はフィギュアスケート女子です。

 

ワールド・フィギュアスケート 81

ワールド・フィギュアスケート 81

 

女子の注目はロシアの天才少女2人、メドベデワとザギトワ。実際にも事前の予想通り、この二人の一騎打ちとなりましたが、怖ろしくレベルの高い、究極の戦い。壮絶な一騎打ちとなりました。

前回この二人の直接対決となったヨーロッパ選手権では、SPはメドベデワが最後の2Aで回転不足と、完璧な演技ができず78.57だったのに対し、ザギトワは3Lz+3Lo、3F、2Aと完璧な演技を披露し、メドベデワを上回るスコアを出していました。

 

<女子SP> 

今回のSPは2人とも完璧な演技でした。先にメドベデワがノクターンで演技。ヨーロッパ選手権でミスした2Aを決めて81.61と世界歴代最高を更新すると、そのわずか20分後にブラックスワンで演技したザギトワが82.92とさらに歴代最高を更新するという超ハイレベルな展開。

どちらも演技後半に3つジャンプを跳ぶ構成でしたが、さすがにザギトワの3Lz+3Loはベースの得点が12.21、加点を入れて13.71と3A以外の連続ジャンプとしては究極に近い得点となったのに対し、メドベデワはベースが10.56、加点を入れて11.96にとどまりました。そしてここでの1.75の差により、TESで2.11ザギトワが上回り、それがそのまま得点の差となり、ザギトワ1位、メドベデワ2位でSPを終えました。

 

日本の宮原、坂本の二人は素晴らしい演技で、宮原75.94、坂本73.18と2人ともパーソナルベストを更新し、最終グループ入りとなりました。SAYURIで演技した宮原は、衣装がジュニアのように見えることが欠点ですが、今回は回転不足がなく、スケアメの70.72ついに75点を出しました。坂本はロシア選手並みにジャンプを全部後半に入れる構成で、ベートーベンの月光で、前半のスローの部分でステップ、後半は、奔流のようなピアノの調べに乗って、力強く3Lz+3Tを決めて全てのジャンプを決めました。

 

日本の二人にとってメダル獲得へのライバルとなったのがカナダのオズモンドとイタリアのコストナー。オズモンドが78.87で3位、コストナーが73.15で6位。 最終グループはすべて70点台となりました。韓国のチェ・ダビンも67.77といい演技で8位。地元の観客を満足させる演技となりました。

他方でメダルの期待があったカナダのデールマンが68.90で7位、長洲未来は66.93で9位、ロシアのマリア・ソツコワは冒頭の3Lz+3Tでまさかの転倒で63.86と12位となりました。

 

<女子フリー>

さて一日空いた金曜日にフリーが行われました。

最終グループ前の演技でまず取り上げたいのはマリア・ソツコワ。おそらく現役で一番長身の彼女は、常にメドベデワに次ぐ存在でしたが、そのうちザギトワがジュニアから上がってきたことによりロシア第三の存在になってしまいました。SPでは冒頭ジャンプで転倒しSPは12位でしたが、フリーでは見事な演技を披露し134.24、トータル198.10とこの時点でトップに立ち最終順位は8位となりました。

予想を上回る出来で感心したのは韓国のチェ・ダビン。自国開催の五輪代表にふさわしい演技ができる選手が待ち望まれていましたが、見事にその重責を果たしました。ドクトルジバゴに合わせて優雅に舞い、後半で3Lz+3T+2Tの3連続ジャンプを決め131.49、トータル199.26とこの時点でトップ、最終順位も7位となり大健闘。

SP9位の長洲未来は冒頭の3Aが注目でしたが抜けてしまいました。フリーは119.61。トータルは186.54。と残念な結果でしたが、本人は悔いはない、といった表情でした。

さていよいよメダルがかかった最終グループの演技です。まず第一滑走は宮原。少しですが関大に寄付しており力が入りました。蝶々夫人ですが、SPに続いて全てのジャンプを綺麗に着氷し、久々にミスパーフェクトの名にふさわしい演技となりました。またステップが印象的でした。スケアメの143.31を超え、全日本の147.16はわずかに下回りましたが146.44と素晴らしい点数でトータル222.38でこの時点でトップに立ちました。

続いてはコストナー。何と4回目の五輪。今回も団体と同じ、青の部分が日本画の流れの表現に似た衣装です。牧神の午後の前奏曲はあまりフィギュアスケートでは使われないバレエ音楽で、ジャンプが決まらなかったものの、さすがの表現力でフリーは139.29。トータル212.44。5位。

坂本は、後半最初の3Lzがやや乱れ、もう一つ3Loも着氷が乱れてノーミスとはいきませんでしたが、後はしっかり決めて、中間部のあやつり人形のようなパントマイムを挟んで後半の曲の盛り上がりに合わせたジャンプで、アメリの世界をよく表現していました。少し首をかしげて笑顔で演技を終えました。スケアメの141.19全日本の139.92には及びませんでしたが、136.53は大健闘。トータル209.71で6位。素晴らしい成績でした。

さていよいよSPの上位3人の演技ですが、ここまで宮原が首位で、メダルをとれるかはオズモンドの出来次第となります。滑走順は、ザギトワ、オズモンド、メドベデワ。

 ザギトワはおなじみ赤いバレエ衣裳でのドン・キホーテ。前半はジャンプがないので間を持たせることが難しいのですが、個性的な動きで飽きさせることなく後半まで持たせます。後半のジャンプ大会の冒頭、3Lz+3Loを跳ぶべきところが3Lzの着氷でややバランスが悪くなり、セカンドがつけられず単独になってしまいました。さすがに重圧からの緊張か、と思いましたが、しかしその後の3Lzに無事3Loをつけてリカバリ。何事もなかったかのようにジャンプを続けていったのは凄いの一言。その後もジャンプを次々と重ねて圧巻の演技となりました。フリーは何と156.65、トータル239.57とものすごい得点を叩き出しました。

オズモンドは前半の3つ目ジャンプで着氷が乱れてしまい、これはどうかと思いましたが、後半立て直しうまくまとめました。そうなるとカナダの選手は点が伸びるんですね。何と150台に乗り、152.15というハイスコア。トータルで231.02は宮原を上回り、この時点で残念ながら宮原のメダルの可能性はほぼなくなりました。

さてついに最終滑走のメドベデワ。ザギトワの高得点を上回れるかどうか、一つでもミスが出ると超えられないので、緊張感が高まります。冒頭は単独の、そして次に3F+3Tの連続ジャンプを後半から前半に持ってきて跳びましたが、果たしてこれがどうでるか。後半の3連続も落ち着いて決め、最後まで力の入った入魂の演技でアンナカレーニナのドラマチックな世界を演じました。演技を終えて感極まって涙。フリーの得点は156.65とザギトワと同じ。しかしSPでザギトワにアドバンテージがあったので、トータルは238.26の高得点でしたが、ザギトワにわずか1.31及ばず銀メダル。金がザギトワ、銀がメドベデワ、銅がオズモンドとなりました。

 

<宮原の演技> 

さて宮原ですが、本当に惜しかった。できればメダルを取って欲しかったのですが、先に滑って自己ベストを出し首位に立って、それを超えられては仕方ないといえます。本人もノーミスで自分との戦いという面では勝ったという思いがあり、晴れやかな表情が印象的でした。昨年の今頃は故障でリハビリしていたので、よく復活できたという意味でも満足の演技でした。ただSPのピンクの衣装がジュニアのように見えるのと、フリーの蝶々夫人でもっと劇的な場面が欲しかったとは思いました。

 

<メドベデワとザギトワ>

この2人は同じエテリ・トゥトベリーゼコーチのもとで指導を受けており、メドベデワの方が2シーズン先にシニアに上がり世界選手権を2連覇し、その間ザギトワはジュニアでしたが、昨シーズンはジュニア史上最高得点を出すなどそれぞれのカテゴリを制覇してきて、今シーズン遂に同じシニアで激突することになり、グランプリシリーズで両者2連勝でファイナルに進出しました。しかしそこでメドベデワが足を疲労骨折したということで欠場、ロシア選手権も欠場したため初対決がヨーロッパ選手権まで持ち越しになりました。そして2人ともほぼ最高の状態で五輪を迎えることになりました。素晴らしい高いレベルでの勝負は手に汗握るもので、単にテレビの前で見ているだけで疲れ果てました。 

 

<ザギトワのプログラム>

 ザギトワは、ジュニアの頃はよく失敗していたので、大したことはないと思っていたのですが、今にして思えばあの失敗は、五輪シーズンに照準を合わせて、超高難度プログラムをずっとこなして行き五輪で完成させる、という壮大な計画の一環であることが分かりました。当初は本人の技術と体力が追いついていなかったが、ずっと続けていくうち、五輪シーズンに技術と体力が追いつき、ついに完成を見た、という恐るべき育成プログラムだったと思います。

このように後半に全てのジャンプを跳ぶプログラムを否定的に評価する人もいますが、このプログラムが怖ろしく困難なことは、他に誰もチャレンジする選手がいないことからも分かります。そしてそもそもフィギュアスケートはスポーツなのであり、その面が強調されるならこのような困難なプログラムに挑戦し、高い得点を狙うことはスポーツの精神にかなうといえるでしょう。困難に挑み、それを成し遂げたザギトワは称賛すべきで、金メダルに相応しい演技だったと思います。

 

王者の帰還 羽生結弦(平昌五輪 フィギュアスケート男子)

 

 

いやあ凄かったですね。王者の帰還、というにふさわしい演技でした。

特にショートプログラムでの圧倒的演技に、ネイサンチェンとコリヤダは完全に委縮してしまいました。何と恐ろしい、とその時思ったものでした。

 

羽生選手が怪我をしたのは昨年11月、大阪でのNHK杯直前の練習中でした。

このNHK杯、SPだけは何とかチケットが取れ、羽生選手が久々に見れるというので楽しみにしていましたが、けがで欠場となり、がっくり来たのでした。

その前年は、札幌でのNHK杯はパスして大阪での全日本を見に行く予定でしたが、インフルエンザで欠場したので、私が羽生選手の演技を生で見たのは、そのさらに前年の札幌での全日本ということになり、2年ほど見ていないことになります。

 

この日以降、羽生選手の情報は全く入ってこなくなりました。

この間、捻挫した右足の治療とともに、右足に負担をかけないような、氷上以外でのトレーニングを積んでいたのでしょうが、どのような日々を送っていたのでしょうか。おそらく後に、「羽生の90日」として語られる日々が明らかになるのでしょう。

 

ではまずSPから。先ほども述べたように凄い戦いとなりましたが、王者に焦点を当てる前に、個性豊かな選手たちの演技に触れることにしましょう。

まずはフィリピンのマルチネス君。ビールマンスピンが得意で羽生君より上手い。ユーリオンアイスというフィギュアスケートのアニメに、タイのピチェット君というのが出てきますが、このモデルになったのがマルチネス君ではないかと思います。ただし今回は残念ながらフリーには進めませんでした。

また注目していた選手の一人に、ラトビアのヴァシリエフス選手がいます。ヨーロッパ選手権では良かったのですが、今回は3Aが決まらず、フリーは第1グループになってしまいました。

SPで良かったのがビシェンコ、ブレジナ、リッポンのベテラン勢。それぞれメダル争いというレベルではないのですが、確固たる個性を発揮し、また実力を出し切って楽しませてくれました。

田中刑事はまたも4Sを決めることができず、SPは80.05で20位となりました。

 

最終グループの前に出た選手のうち、メダル争いの可能性があったのがパトリック・チャンとロシアのアリエフ。しかしチャンはやはり3Aが鬼門で、今回も3Aでミスが出てしまいました。それでも90.01点で最終グループ入り。一方でアリエフは素晴らしい演技。98.98で、一躍メダルの可能性が出てきました。

 

さて最終グループは、いきなり王者羽生選手の登場。そして滑走順はチェン、コリヤダ、宇野選手、フェルナンデスの順で、ボーヤンジンが最終滑走となりましたが、この滑走順が大きな意味を持つことになりました。

 

フィギュアスケートは、自分の演技を披露するもので、対戦相手のある競技と違い、相手に関係なく自分のベストを尽くせばいいはずですが、今回の男子シングルを見ればそのように言えないことが分かります。

そして今大会で、まさにフィギュアスケートが格闘技だと思わせる場面を見ました。

ショートプログラムでの羽生選手の演技は圧巻で、まさに絶対王者の帰還でした。冒頭の4Sを決めるまでは、見ている方も不安があったのですが、それを一掃するような見事な着氷。本人もこれで行けるとなったのでしょう、ものすごい気迫で、後半の3A、4T+3Tと、すべてのジャンプを見事に決める圧巻の演技。全てを自分の支配下に置き、見る者全てを制圧する演技となり、111.68と高い得点を出しました。まさに、「王者の帰還」というべき圧巻の演技となりました。

そしてこの帰還した王者の咆哮に完全に平伏したのがネイサン・チェン。冒頭4Lzで転倒、4Tも乱れコンビネーションにならず、3Aも決まらずで、信じられない演技、82.27と低い得点となってしまい17位。実況が「どうしたネイサン!」とまるでボクシングのようになってしまっていましたがそれも仕方ないでしょう。

そしてコリヤダも同じく飲まれてしまいました。冒頭が抜け、4Tでも転倒。こじんまりした演技となってしまい、86.69で8位になりました。

 

宇野選手の番になってようやく落ち着いてきました。4Fを決め、他のジャンプも決める素晴らしい演技で104.17と3位。続くフェルナンデスが107.58、最終滑走のボーヤン・ジン103.32と3人連続で100点越えとなりましたが、ただ羽生選手には及びませんでした。金メダル争いはこの4人に絞られました。

 

さて翌日に早くもフリーが行われました。

最終グループはアリエフ、パトリックチャン、ボーヤンジンの順。

アリエフは昨日とは一変して緊張が感じられ、ジャンプの失敗が目立ち168.53、トータル267.51。7位

チャンは 4Tを決めたのですが転倒し、ここでメダルの可能性が消えてしまいました。173.42、トータル263.43で最終順位は9位。

ボーヤンはスターウォーズで冒頭から難しいジャンプを決めていましたが、残念ながら転倒。しかし194.45、トータル297.77でメダル争いに踏みとどまりました。

 

そしてベスト3の登場。

羽生選手は、直前の練習での4回転サルコーは決まっていなかったのですが、いざ演技となると、冒頭の4回転サルコーを見事に決めると、前半のジャンプを綺麗に決めていきます。ただ心配は、体力が演技の最後まで持つかどうかでした。後半で再び4回転サルコーのコンビネーションを成功させた後、続く4本目の4回転ジャンプ、4回転トウループは着氷が乱れコンビネーションになりませんでした。しかし続くトリプルアクセルを3連続にしたことで再び波に乗り、力強さを取り戻していよいよラストの3回転ルッツ。このジャンプはシニアに上がった頃は、しばしば体力が尽きて転倒していましたが、今回は着氷が乱れても絶対に立つんだというものすごい執念で、見事に立ってみせました。その後のステップは嵐のようで、最後のポーズを決めた瞬間、金メダルの可能性を確実なものとしました。

フェルナンデスも子気味よく回転がコンパクトなジャンプを次々と決めていったのですが、後半の4Sが抜けて2回転に。これで10点くらい失ってしまうので、SPでのビハインドも考えればここで金メダルの可能性がなくなった。197.66 305.24

 

宇野選手は最終滑走で逆転のチャンスもあったため緊張したようですが、冒頭で転倒したことで、逆に落ちついた演技ができました。素晴らしいことです。202.73と200超えを果たし、306.90とフェルナンデスを抜いて銀メダルとなりました。

日本選手の金、銀となりました。 

 

メダルを取った選手以外で印象に残ったのはネイサン・チェン選手のフリー。

ショートプログラムでは羽生選手の王者の咆吼に倒されてしまった感がありましたが、フリーでは打って変わって伸び伸びとした演技で、次々と高難度の4回転ジャンプを決め、何とフリーでは羽生選手を上回る215.08で1位。トータルでも297.35で5位。見事な巻き返しに、ソチでの浅田真央選手みたい、という声も多かったのですが、フリーの曲がMao's Last Dancerということを知ると、なるほどと思います。

 

また個性的なダンスを披露したのが、アメリカのアダム・リッポンとカナダのキーガン・メッシングの両選手。リッポンはダンサーの体型でコンテンポラリーダンスの表現が見事で、特にフリーの、傷付いた鳥が飛び立つさまを表現する世界観は素晴らしい。一方のメッシングは、ショートプログラムが「雨に歌えば」、フリーがチャップリンという、古き良きミュージカルの世界を見事に表現していました。

 

このように、男子シングルは熱のこもった素晴らしい戦いでした。さあ今週は女子シングルです。また全部見てしまうことになると思います。

平昌五輪 フィギュアスケート団体

 

平昌五輪が始まり、フィギュアスケート団体戦が開催されました。

そもそもスキーのジャンプ団体などと違い、フィギュアスケート団体戦というのはどこか無理があるもので、さらに今回はロシアが国としての出場を認められていないのに、団体戦をOARという名義で出場しており、余計に混乱します。

また今回は、調整途上の選手も多く、前回のプルシェンコのような目玉もなく、いま一つ盛り上がりに欠けてしまいました。

とはいえフィギュアスケートと名のつくものが五輪会場でやっている以上、見てしまうものがスケオタの性というもの。では詳しくみていきましょう。

 

まず男子SPが行われました。出場選手のうち、自己ベストが100点を超える選手が4人もいたのに、今回は宇野選手だけしか100を超えませんでした。ビチェンコは88.49と気を吐きましたが、チェン、コリヤダはどうしたんだというレベルで何だか消化不良な試合となってしまいました。。

 

ペアでは木原須崎組がユーリon ICEに合わせて好演。海外のフアンにも好評だったようです。これは選曲の勝利。8位という順位はよくやったと言えます。

アイスダンスSPはクリスリード組がまずまずの演技で5位。ヴァーチューモイアはストーンズの「悪魔を憐れむ歌」から。なるほどサンバです。ここからルンバの「ホテルカリフォルニア」へと驚きの選曲でした。

  

最後の女子SPは、韓国のチェ・ダビンが好演でした。チームとしては決勝に進出できなかったものの、観客席を大いに沸かせる演技でした。65.73

宮原は冒頭連続ジャンプの第二だけではなく、第一ジャンプでも回転不足を取られていました。第一での回転不足判定には首をひねらざるを得ません。68.95

さてラストはメドベデワ。完ぺきな演技で81.06。世界最高点を更新しました。 

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これはメドベデワのSPの時の観客席です。10点、10点、10点、とは昔懐かしいテレビ番組のようです。

 

この結果、決勝に進出したのはカナダ、アメリカ、 OAR、イタリア、日本の5チーム。

決勝は予選の女子フリーが終わってすぐにペアフリーとなりますが、これももうひとつしくりこないところです。

 

まずはそのペアフリー。カナダのデュハメル・ラドフォード組が好演。日本は5位という順位は仕方ありませんが、ミスが出てしまったのが残念でした。

 

続く男子フリーは、コリヤダとチャンがSPに続いて出場。それぞれSPに比べればよい演技でしたが170台は物足りない。リッポンは全米と比べてクリーンないい演技で心に残るものでした。

 

さて女子フリー。トップの長洲未来は3Aに挑み、ついにクリーンに着氷して大喜び。137.53は自己ベスト。坂本は雰囲気にのまれたか冒頭の3F3Tが単発になってしまい、懸命にリカバリしたが勢いに欠けた感がありました。それでも131.91。コストナーヨーロッパ選手権で魅せた全身タイツではなく青いおしゃれな衣装。

そして最終滑走ザギトワ。素晴らしい演技でしたが、なぜかNHKは途中で中断しニュースに。サブチャンネルで放映ったって空白ができるし、この措置はダメでしょう。好演技に水を差すものでした。158.08とものすごい得点だっただけに残念極まりない。

ラストはアイスダンスフリー。

日本は桜のメドレー。ただ転倒もあり100には乗らず。SPと同様、カナダのヴァーチューモイアが圧倒しました。

結果としてはカナダ、OAR、アメリカ、イタリア、日本の順となりましたが、上位3チームの壁は厚いと思います。

カナダは4つのカテゴリーで1位。2位が1つ、3位が3つと4位以下はなしという素晴らしい成績。チャンをSP、フリーの両方に起用して優勝を狙う作戦が見事に当たりました。OARは3つのカテゴリで1位。残る1位の一つは宇野選手でした。

さあ今週末は男子シングル。羽生君も現地で練習をしており、盛り上がってきました。 

休みと体調

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今週は土、日、月曜と3連休でしたが、金曜の夜、仕事が終わった頃から熱が出て、土曜日はふらふらしながら外出して何とか帰り、日曜は熱が下がり、朝から買い物だけして午後はフィギュアスケート団体を見たり昼寝をしたりしてダラダラ過ごしました。月曜も同じようにダラダラ過ごしました。

実は先週月曜の夜あたりから風邪気味でしたが、その後あまり悪化しなかったのに、金曜の夕方、裁判所に行ってこの週の仕事がほぼ終わった途端に急に熱が出たのは、それまで我慢していたわけではなく、体がここで休みなさい、と指令を出したのだと思います。

よく、休むと気が抜けて風邪をひくという人がいますが、それに近いのかも。ただ、休まないうちは実は疲れを自覚できないほど疲れており、休むことでようやく疲れを自覚できる程度には体力が回復したというのが実情だと思います。

また気温も金曜の朝まではかなり低く、それまで必死に低温と戦っていたのが、寒さが一段落したため、もう気を張らなくていいだろう、となったことも金曜に熱が出た原因でしょうね。

年をとると無理はできないので、うまく休みつつ仕事やその他の活動をこなしたいと思います。



大和文華館 宋と遼・金・西夏のやきもの

久し振りに大和文華館に行きました。

今回の展示はやきものです。

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今回は宋だけでなく、遼、金、西夏という、北夷といわれる国のやきものを観ることができるということで、そちらを楽しむことができました。中でも遼のやきものが面白く、革袋を模したやきものは独特。上のチラシの左から2番目も遼のやきものです。これよりもっと皮袋に近い物もありました。さすがは騎馬民族です。

 

見終わった後は庭園の梅を鑑賞。

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…するはずだったのですが、今年は寒いので、ほとんど蕾で、うめの無料招待デーというのは看板に偽りありでした。僅かに咲いていたのが紅冬至。これはそもそも12月頃から咲く品種のようです。

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2月18日まで。その頃には梅が咲いているでしょう。