弁護士大久保康弘のブログ

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比叡山に登る

5月30日、初夏の爽やかな気候に、緊急事態宣言下、どこかに行きたいがどうしようと考え、坂本から比叡山に歩いて登ることにしました。

まずはJRの比叡山坂本駅で下車。ここから日吉大社の手前まで小手調べ。



登り口は広い石段です。11時38分に登り始めました。

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少し登ると、南禅坊という小さな寺に出ます。


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その少し上からは山道になります。


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かなり歩くと花摘堂跡という表示があり、行ってみました。

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ここまで来たらあと少しかと思ったらそうではない。

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ようやく地図に示された場所に出ました。


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ここからは道路も舗装されており、あと少しだ、と思ったら坂の勾配がものすごく急で、なかなか登れませんでした。

修理中の根本中堂のあたりに着いたら1時半でした。登り口から約2時間かかりました。

お腹が空いたので、鶴喜そばで門前そばを食べました。


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その後、東塔の伽藍を巡りましたが、かなり疲れており緩やかな坂でもきつかった。


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帰りはケーブルカーで降りました。

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流石に疲れました。また、この後、足が滑らかに動くようになったのは嬉しい誤算でした。

今度はもう少し短い時間で行けるところにしようと思いました。


読書記録 清水浩史「深夜航路」

現在、何度目かの緊急事態宣言が出ており、いろいろ不便がありますが、その一つに図書館が休館になっていることがあります。
通勤経路の途中に、奈良市立西部図書館と大阪府中之島図書館があるのですが、中之島図書館は日経新聞の木曜の夕刊の最終面から読みたい本を検索し予約して借りるという使い方をしています。これに対し奈良市立図書館は、何を借りようと決めずに本棚を眺めて目に止まった本を借りて帰るという使い方です。この本もそのように棚を眺めて目に止まったものです。

深夜航路: 午前0時からはじまる船旅

深夜航路: 午前0時からはじまる船旅


この「深夜航路」は、日本国内で深夜零時過ぎに出港する航路を全て乗船した記録です。深夜なので、外を見ても夜の闇があるだけ。だから景色はどれも一緒みたいなもの。それでも、真夜中に人知れず運行されるそれぞれの航路には個性があり、何とも言えない叙情があります。
久しぶりに面白い出会いをした本でした。




村上春樹「やがて悲しき外国語」

最近、よく読むブログは、デビッド・ライス氏のブログ「道徳的動物日記」です。最近はマイケル・サンデルの「運も実力のうち」についての評が面白かったのですが、村上春樹に関する文章も面白く、少し前のものになりますが、「やがて悲しき外国語」について書かれた「村上春樹 ヒエラルキーの風景」も面白く読めました。

https://davitrice.hatenadiary.jp/entry/2019/11/21/223913


やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

そのブログ記事でも引かれていたのですが、村上春樹が外国であった日本人の中には、挨拶代わりに共通一次で何点だったかを言う人がいるという箇所には笑いました。

これで思い出すのは最近のマンガ「こづかい万歳」です。そこには、初対面の人が、挨拶代わりに「申し遅れました。私、こづかい2万円です」というのです。外国に留学したエリートと、薄給のサラリーマンの挨拶が同型であるのが面白いですね。

まあそれはともかく、日本で学歴が重視され、また大学入試の公平性が非常に重視されているのは、それが江戸時代の正統性の淵源であった「家」に変わるものだったからではないでしょうか。

すなわち明治初期に、「門閥制度は親の仇」として、それに変わる人材登用のシステムとして、大学というものを作ったのですが、江戸期と明治期では思考パターンの連続性は強かったので(その連続性については以前このブログで紹介した「江戸の読書会」が参考になります)人々が求める正統性が、門閥から学歴に変わっただけ、と言えるかもしれません。

読書記録 仏像と日本人

今回取り上げる「仏像と日本人」は、昨年読んだ本の中でもベストに挙げていい本ではないかと思います。

仏像と日本人-宗教と美の近現代 (中公新書)

仏像と日本人-宗教と美の近現代 (中公新書)

これまで、仏教の歴史や、仏像の歴史の本は多々ありましたが、近代以降の「日本人が仏像をどう見たか」について、歴史的にまとめた本は、少なくとも私は読んだことがありませんでした。
この本に登場する和辻哲郎白洲正子土門拳入江泰吉の著作や写真は、いずれも愛読書となっていました。またそれらの著作を読んで実際に仏像を見るために社寺を巡り、仏像に出会うことも楽しみでした。
奈良県に住んでおり、京都も近いので、思いたったらすぐに社寺へ向かい、仏像を拝観できることも、自分にとっては大きかったと思います。以前は電車に乗って駅から歩くことが多かったのですが、最近は、車で出かけることも多くなりました。東鳴川など、車でないと行きにくいところを訪問するようにしています。

そして、この本の最後を締め括るのは、いとうせいこうみうらじゅんの「見仏記」シリーズ。

このシリーズも愛読しており、読んでみて「おお、こんなところに仏像があるのか、行ってみよう」と思ったことが多々ありました。
このような自分自身の行動は、自分だけではなく、この本にある先人たちの導きによるものです。再度、自分にとって社寺探訪の意義を考えてみたいと思いました。

誤解されやすい法律用語 その1陳述と擬制陳述

このブログはこれまでほとんど法律のことについては書いてこなかったのですが、今回から「誤解されやすい法律用語」というシリーズを始めたいと思います。

第1回は、「陳述と擬制陳述」です。

これを取り上げようと思ったのは、この本を読んで誤解があると思ったからからです。


下町ロケット ゴースト

下町ロケット ゴースト

この本の中に、裁判のシーンがあるのですが、裁判の第一回口頭弁論期日において、裁判官から、「原告代理人、陳述は擬制されますか」というシーンがあります(273頁)。そしてそれに続き、陳述の擬制とは、そもそも書面で提出しているものを法廷で読み上げたことにするという、いわば省略である、との記述があります。

つまり作者は、訴状を全部読みあげるのが陳述で、全部読み上げないのが擬制陳述と考えているようですが、そうではありません。

陳述とは、法廷に代理人または本人が出廷し、既に提出してある訴状や答弁書準備書面を読み上げる代わりに、「陳述します」ということで、陳述したことにするものです。
そして擬制陳述は、第一回口頭弁論において行われるもので、口頭弁論の期日が、被告の都合を聞かないで指定されることから、被告代理人答弁書を事前に提出しておき、裁判所に擬制陳述にする旨、伝えておくことで、口頭弁論期日に答弁書を陳述したと同じ扱いとするものです。つまり被告代理人は出廷しないときの制度です。出廷していないとできない陳述を出廷しないで同じ扱いとするのが擬制陳述です。

民事裁判の法廷を傍聴に行くと、「陳述します」という発言がよく聞かれますが、内容については全く分からないことが多いのですが、要は内容は書面に書かれているだけだからということです。

なおこの場面は私が読んだ版ではそうなっていましたが訂正されている可能性もあります。




2020年の競馬ージャパンカップ

2020年は、楽しみが少ない年でした。そんな中でも、競馬は休むことなく開催されました。このことは、多くの人にとって救いとなったのではないでしょうか。


競馬が途切れず開催されたことは、国家の財政に貢献したことはもちろん、無観客開催を続けたことで、土日の外出を抑制する効果もかなりあったのではないかと思われ、正解だったと思います。


2020年は、肝心のレース内容もかなり充実したものでした。

無敗の三冠馬が2頭誕生し、それだけではなく、何とジャパンカップでは先輩三冠馬との3頭での頂上決戦が実現しました。


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少し前の宝塚記念のキャッチフレーズに、「さあ、最強馬を決めようじゃないか」というのがありましたが、今年のジャパンカップはまさに「最強馬決定戦」になりました。

デアリングタクトが秋華賞で無敗の三冠を達成し、さらに翌週コントレイルが菊花賞で無敗の三冠を達成しました。続いてアーモンドアイが天皇賞を制し、ジャパンカップをラストランとすると表明、それに対してデアリングタクトとコントレイルが参戦を表明しました。この時から、本当にこの世紀の一戦はあ実現するのか?という、期待と不安が入り混じった日々を過ごしてきました。


そしてその瞬間は本当にやってきました。

このレースの注目度の高さは、前日、当日のNHKBSが、競馬関連番組を多数放映していたことからも明らかでした。


レースは、キセキの大逃げが興味を盛り上げ、アーモンドアイが直線、先頭に立ちそれをコントレイルが追いかけるという痺れるような展開となり、デアリングタクトも追い込んで、この3強が1着から3着までを占めました。


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このような素晴らしいレースを見ることができたことに感謝します。


隠れ社寺探訪記(20) 大津市新羅善神堂、義仲寺

昨年11月21日、滋賀県大津市新羅善神堂と義仲寺に行ってきました。大津市歴史博物館での「聖衆来迎寺と盛安寺」展を見に行く際に寄ったのがこの2か寺です。


まずは湖西線大津京駅で下車。


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そこから南方向に歩いていき、大津市役所の裏手に行くと全く人気のないエリアになります。

この一角に新羅善神堂があります。室町時代の建造物です。


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石段を登ると柵があり中には入れません。柵の隙間から覗くと国宝の建造物が見えます。

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この新羅善神堂は国宝であるにもかかわらず、ほとんど知られておらず、訪れる人もほとんどいません。今回たまたま、大津市歴史博物館に行くことになり、近くに寄るところがないか調べたところ存在を知ったのですが、それがなけらればずっと知らないままだったかもしれません。


そこから大津市立歴史博物館へは近いのですが、どうやって行けばいいのかよくわかりません。市役所の駐車場に出てことなきを得ました。


大津市歴史博物館の一階には小関地蔵堂地蔵菩薩が展示されています(撮影可能)。

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特別展の会場内でも盛安寺の御本尊は写真撮影可能でした。


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この展覧会は前期に国宝である聖衆来迎寺の六道絵が展示されていました。私が見たのは後期だったので六道絵はなかったのですが、以前に奈良国立博物館で見ています。

展示を見て聖衆来迎寺の所蔵する仏像の豊富さに驚きました。また十六羅漢図は見応えがありました。


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館内のレストランで近江牛カレーを食べて、石山坂本線に乗り膳所駅で下車。商店街を歩くと5分くらいで義仲寺に着きます。


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本堂は木曾義仲にちなんで朝日堂と名付けられています。


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奥の方には翁堂があります。


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ここの天井画は若冲の手によるものです(現在は複製)。京都東大路二条の信行寺にある天井画と本来は一体となっていたものということです。


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時間の関係でこの3か所だけの訪問となりましたが、なかなか充実した一日でした。