奈良国立博物館にて、7月15日より、源信展が開催されています。
早速見に行きました。
3連休の中日の日曜日でしたが、午後3時半ころに行ったのであまり混雑しておらず、ゆっくり見ることができました。
源信といえば「往生要集」ですが、これは地獄と極楽についてさまざまな仏教の経典から引用したもので、この展覧会はそこで描かれた地獄や極楽を表現したものです。
展覧会の構成は4部に分かれており、第1章、第2章は源信の誕生、比叡山横川での修行に関する展示で、国宝は清涼寺釈迦如来像納入品の文殊、普賢像、一遍聖絵、醍醐寺の往生講式を見ることができます。
続いてはこの展覧会の最大の見どころである第3章。「往生要集と六道絵の世界」とありますが、地獄絵のオンパレードで、圧倒的な迫力で迫ってきます。
その中でもメインとなるのは、国宝である聖衆来迎寺の六道絵全15幅の展示。
全15幅は、
人道不浄相、人道苦相1、人道苦相2、人道無常相
天道、閻魔王、警喩経所説念仏功徳、優婆塞戒経所説念仏功徳というもの。
以上15幅揃っての展示はなかなかありません。毎年お盆に聖衆来迎寺で行われる展示は模本のようです。
この15幅のうち、最初の地獄そのものの絵も凄かったのですが、とりわけ印象深かったのがこの天道の絵です。
この絵の中央下部に、だらけたポーズの天人が描かれていますが、これは「天人五衰」を現しているとのこと。
天人は老い衰えると頭上の花が萎み、衣が垢で汚れ、脇から汗が出、目が回り正しい姿勢を保てなくなる。これを天人五衰という、という往生要集の記述に従い描かれているそうです。
これが天人五衰なのか、と感慨深く見ました。
なお、六道絵は8月6日までの展示なのでご覧になりたい方はお早めに。
他に地獄編での国宝は、大般若経、正法念処経、辟邪絵。それぞれ見応えがあります。
ここからは奥の第2会場で極楽編になります。
展示のメインは、知恩院の聖衆来迎図早来迎、法華寺の阿弥陀三尊及び童子像です。
下は知恩院の早来迎。
他にも来迎図がいろいろありますが、正直言って地獄の方が見応えがありました。
そういえばダンテの神曲も地獄編が一番読み応えがありましたが、 人間の想像力は地獄の方に強く働くのでしょうか。これは少し考えてみたいテーマです。
いつもよりは少なめの展示でしたが、しかし六道絵15幅でお腹がいっぱいになりました。15時半くらいから見はじめ、混雑はしていなかったのに見終わったのは17時を過ぎていました(18時までの開館でした)。
見応えがありました。
9月3日まで。