弁護士大久保康弘のブログ

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フィギュアスケート2017年GPシリーズの予定

フィギュアスケート、2017年GPシリーズのアサインが出ました。

今年のグランプリシリーズの順番は、例年とかなり異なり、ロシア、カナダ、中国、NHK杯、フランス、アメリカという順序です。いつものように北米2戦で始まり、中国挟んでヨーロッパ2戦、最後がNHK杯とならないのと、NHK杯が4戦目で11月10日からというところが感覚的にしっくりきませんね。

そしてファイナルが名古屋で開催されます。

 

 

 

初戦のロステレコム杯は10月22日開幕。

羽生君がいきなり第一戦から出場します。ネイサンチェンとの対決が見もの。そして嬉しいことに昨シーズン限りと言っていたミーシャ・ジーがエントリーしています。デニス・テンもエントリーしていますが、この人はちゃんと仕上げてくるかどうかが問題です。日本勢では田中刑事も出ます。

女子はメドベデワが初戦から出場となりました。ラジオノワ、コストナーもエントリー。日本勢は樋口、坂本とパワータイプの2人。

 

カナダは10月27日から。

男子はチャンと宇野、無良の日本勢とジェイソン・ブラウンが表彰台候補。

女子はオズモンドが抜けていますが、同じカナダのチャートランドも楽しみ。ロシア勢はポゴリラヤ、ソツコワ、日本勢は本郷と本田真凛

 

中国杯は11月3日から。フェルナンデスがここから始動。世界選手権2年連続メダリストになったボーヤンジンが中国のエースとして登場。注目はシニアデビューのヴィンセント・ゾーでしょう。

女子はデールマン、ゴールドが有力ですが注目はザギトワ。

日本勢は三原舞衣、本田真凛、樋口という若い3人。

 

NHK杯は11月10日から大阪で開催されます。

男子は当然羽生君。後はパトリック・チャンとジェイソン・ブラウンという表現重視の2人に、NHK杯優勝経験者である村上大介もエントリー。

女子は何とメドベデワがエントリー。宮原が世界選手権に出ておらず、シードされなかったためバッティングせず出場可能となりました。

これでNHK杯には前シーズンの男女世界チャンピオンがそろうことになりました。

日本勢は宮原、本郷とシニアデビューを迎える白岩。 

 

フランス杯は11月17日から。エリックボンパール杯ではなくフランスカップという名称のようです。

男子はフェルナンデスと宇野の2強対決ですね。

 女子はオズモンドとゴールドの派手めな対決が見ものですが、ソツコワとザギトワ、タクタミシェワのロシア勢も強力です。またポリーナ・エドムンズの復活がうれしい(この大会だけ出場)。日本勢は三原舞衣と白岩で、表彰台のチャンスは十分ありそう。

 

スケートアメリカは11月24日から。

男子はボーヤン・ジンとネイサン・チェンのジャンプ対決が見られます。日本勢は無良でジャンプ頑張ってほしいところ。

女子はデールマン、ワグナー、ポゴリラヤに日本の坂本、宮原です。

 

そしてファイナルは12月7日から名古屋で。うーん会場が小さいのでチケットを取るのが大変。

 

さてその後の全日本は、まだ正式発表はされていませんが、有力情報によれば大阪ということです。

大阪はもとより、名古屋も日帰りで行けるので有難いのですが、エキシビジョンとか全部行くと10日以上にもなるので、お金と体力がどこまで続くかの心配が。また会場がさいたまスーパーアリーナや代々木に比べるとキャパが小さい(特に名古屋)ので、チケットがどうなるか。

 

あと、一般には公開されないので詳しくは書きませんが、7月にはあるイベントを見に行く予定です(終ったら報告します)。

 

 

追悼グレッグ・オールマン

5月27日、グレッグ・オールマンが亡くなりました。69歳でした。

 

フィルモア・イースト・ライヴ

フィルモア・イースト・ライヴ

 

 

 

私がオールマン・ブラザース・バンドの名前を初めて聞いたのは中学生のころで、73年、ワトキンス・グレンで開催された60万人コンサートでトリを務めたことでニュースになり、Ramblin'Manがヒットしていました。この明るいカントリータッチの放浪ソングを気に入った私は、そのランブリン・マンが収録されている「Brothers And Sisters」を買って聞いたのですが、私が期待したような軽快な曲は、ランブリン・マンとジェシカの2曲だけであとは激渋でした。まあ中学生には早すぎたかな。

ところでこの曲、グレッグの出番はほとんどないので、オールマン・ブラザーズ・バンドとしては代表曲となりますが、ここにはあげません。

 

その後遡ってフィルモアのライブなどを聞くようになり、果てしなく続く長尺ナンバーも、最初は途中で飽きてしまったのですが、次第に慣れて快感になりました。

ここでもあまり長い曲を貼るのはどうかと思うので、この曲を。でも11分とやっぱり長いですが。 


The Allman Brothers Band - Whipping Post - 9/23/1970 - Fillmore East (Official)

 

第一のピークが71年の「At Fillmore East」、第二のピークが73年の「Brothers And Sisters」でしたが、その後低迷し、解散してしまいましたが、しかし再結成します。この再結成は昔の曲をやるためのものではなく、その後2001年に、ウォーレン・ハインズとデレク・トラックスのツインスライド体制になって発表した「Hittin' the Note」が大傑作で、ここで第三のピークを迎えたといってもいいでしょう。特に次の曲「High Cost of Low Living」は大名曲。

 


The Allman Brothers Band - High Cost of Low Living

この曲ですが、グレッグのレズリーを超効かせたハモンドが実に気持ちよく、曲をしっかり支えているのが聴きどころです。

 

ラジオ局などにおかれましては、いかにオールマン・ブラザーズ・バンドの代表曲の一つだとはいえ、グレッグの追悼として、ランブリン・マンを流すことがないようにしていただきたいものです。

 

藤田美術館 ザ・コレクション

藤田美術館大阪城の北、大川の近くにあり、JR東西線大阪城北詰からすぐのところにあります。

地味な印象の小規模な美術館なので、私もこれまで一度しか訪れていませんでしたが、収蔵品は国宝も多くかなりのもので、また先日ニューヨークでオークションに出された中国美術の優品なども所蔵していました。オークションはNHKで特集番組が放映されており、偶然見ることができました。

今回、そのオークションの売り上げにより改修・改装するということで、しばらく休館になりますが、その前に開かれた展覧会が今回の「ザ・コレクション」です。

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前後期に分けての展示となっていましたが、私が見たのは後期でした。

その前に隣というか、本来は同じ藤田邸の一部であった旧藤田庭園を訪れてみました。

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静かで良いところでしたがかなり暑く、水のあるところでは水を抜いていたのでよけいに暑く感じました。

美術館の一角には多宝塔があります。

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さていよいよ展示室へ。

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後期の展示では国宝は4点見ることができました。前期には別の国宝が5点出ていたので、前期にもくればよかったと思いました。

今回の国宝、仏功徳蒔絵経箱。

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そして玄奘三蔵絵巻。以前、奈良国立博物館で全館展示があった際にも見たものです。天竺へ向かう途中の風景は、全くの想像ですが大雪の峠など、なかなか面白く見たのを覚えています。

巻き替えがあり、この日には5巻が展示されていました。荒れ果ててしまった祇園精舎を訪れる場面ですが、そういえば狐が2匹、仲良く遊んでいたなあと思って見てみると、いました。

下の画像には入っていませんが、この左の方に狐はいます。

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さらに紫式部絵詞も国宝です。

そしてやはりハイライトは曜変天目茶碗。地上のものとは思えない、宇宙的な光沢に引き付けられます。

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とにかくこれを見るだけでも行く価値はあります。

6月4日まで。

須賀しのぶ「芙蓉千里」3部作

今回はハルビンとシベリアを舞台にした、須賀しのぶの「芙蓉千里」3部作を取り上げます。

満州の北部の都市、ハルビンには約30年前に一度だけ行ったことがあります。

神戸から上海へ、2泊3日の航海をする「鑑真号」という船が出ていて、お金はないが暇はあるので安くどこかへ行けないかと考える若者が多く乗っていました。私もこの鑑真号で中国に行くことにしたのでした。今は新鑑真号となって神戸または大阪から上海までの航海を続けているようです。

船上で、中国旅行社の出店があり、そこで切符をテーブルの上に並べて売っていました。満州方面に行きたかったのでいろいろ見ていると、上海-ハルビンの航空券があったので、じゃあこれに乗ってハルビンまで行き長春、シェンヤンと旧満鉄路線を南下することにしようと思い、航空券を買いました。

そして2日後に上海に着きました。バンドを歩き、豫園に行き、おこげを食べて和平飯店で老人ジャズバンドをドイツ人と聴き、翌日航空機でハルビンまで飛んだのでした。

ハルビンはかなり北にありますが、よく晴れた9月のハルビンは暑く、太陽島というリゾート地に船で渡ったり街をぶらぶらしていました。夕食はよく分からない地元の食堂に行き、兌換券で支払うとえらく喜ばれました。ロシア風の街並みと言われていましたが、そこはいまひとつよく分からず、上海の旧市街とあまり違わない印象を受けました。

 

そのハルビンを舞台とする「芙蓉千里」を読んだのは、第一部の文庫版をブックオフでふと手に取ったことがきっかけでした。それまでこの著者の名前は聞いたことがなかったのですが、なぜか惹かれるものがあったのでしょう。少し立ち読みすると、ハルビンを舞台にしたものということで、それなら読んでみようと思い入手したのでした。

しばらくはそのままになっていたのですが、この作者の近作である「また、桜の国で」が156回直木賞候補になったことを知り、力量のある作家と認められていることが分かり、自分の直感も捨てたものではないと思いました。

この巻で完結したと思っていましたが、図書館のサイトで検索すると続編があることが分かったので2、3は借りて読みました。

 

全3冊と思っていたのですが、文庫では4冊になっていました。

 

 

芙蓉千里 (角川文庫)

芙蓉千里 (角川文庫)

 

フミという女主人公が大陸一の売れっ子女郎を目指す、というなんじゃそれは的な冒頭部ですが、このフミには越後獅子に渡り、ハルビン一の女郎になることを目指すという設定ですが、最後には馬賊になりモンゴル独立運動にかかわったりと波乱万丈の冒険小説です。

幼いころから仕込まれた角兵衛獅子が心の支えになり、また第二部の重要なポイントにもなっています。

 

北の舞姫 芙蓉千里II (角川文庫)

北の舞姫 芙蓉千里II (角川文庫)

 

この北の舞姫とはフミのことです。

舞の名手として人気を博したフミですが、この巻のラストでとんでもない舞を見せ、しかし舞を捨ててしまいます。

そしてフミは馬賊の一員としてモンゴル独立運動やシベリア共和国などとかかわることになります。

暁の兄弟 芙蓉千里III (角川文庫)

暁の兄弟 芙蓉千里III (角川文庫)

 

 そしてフミの人生は一つの極点に達し、クライマックスを迎えます。

永遠の曠野 芙蓉千里IV (角川文庫)

永遠の曠野 芙蓉千里IV (角川文庫)

 

エピローグはなかなか面白く、えっ、こいつとこいつがこうなるのか、という驚きの結末でした。

 

単行本2、3巻の表紙も捨てがたいので貼っておきます。

 

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 早くこの作者の他の本も読んでみたいと思います。

 

 

木×仏像@大阪市立美術館 

大阪市立美術館に木×仏像展を見に行きました。

天王寺公園の一角にあり、公式なアクセスは天王寺しか出てきませんが、地下鉄の恵比須町、動物園前からも行けます。

土曜日の3時半ころに行きましたが、空いていてじっくり拝観することができました。

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とにかく木の仏像をコレクションしました、という展覧会で、先日観た快慶展のような作風の統一感はなかったのですが、木の仏像というテーマなので質感は統一されており、楽しく見ることができました。

 

まずは飛鳥時代の木の仏像。この頃の特徴的な顔と体型です。妖精のような感じがあります。

 

 

 

東大寺弥勒如来坐像。「試みの大仏」と呼ばれています。今回では唯一の国宝でした。

「東大寺弥勒菩薩坐像 試みの大仏」の画像検索結果

ただこの弥勒菩薩、ぎょろっとした目がサイズが小さい像だとちょっときつい感じがします。

 

公式サイトに写真が載っているのが唐招提寺薬師如来立像。ただ私はこの像より、50番の江戸時代の薬師如来の方がよりなまめかしくて好きです。

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四天王寺阿弥陀三尊像は脇侍が2体とも片足を後ろにはね上げるポーズをとっているのがバックダンサーみたいで面白いですね。

関連画像

 

西往寺の宝誌和尚立像は京都国立博物館で見たことがあります。顔が割れるという表現を思いついたのが凄いですね。

ただ中から出てくるのが、観音ということまでは分かりますが、なぜ十一面と分かるのでしょうか。

 

またコンパクトな箱入り仏像が2つ。その一つが下の閻魔大王(正明寺)です。 

 

 

第2展示室は持国天多聞天が並び奥に四天王がずらりと並ぶなど、迫力ある展示になっていました。

入り口の左右にある、河合寺の持国天多聞天はど迫力。

そして一番奥はこんな感じ。

 

櫟野寺の細い仏像が3体。この観音菩薩立像は去年の東博で見ました。

 

 

 

このたれ目の像と対照的な吊り目の観音菩薩立像も櫟野寺から。

 

 

あと、印象に残ったのは

 

太山寺 普賢菩薩騎象像です。

「太山寺 普賢菩薩」の画像検索結果

 

細密さでは本日随一の像で、彩色もよく残っていました。

また太山寺からは、あまり怒っていない不動明王(もちろん磨崖仏ではありません)も来ていました。

 

大門寺 蔵王権現立像は3体のそろい踏み。例のポーズを揃えて決めます。

「大門寺 蔵王権現」の画像検索結果

 

最後は円空仏。

 

とにかくひたすら仏像を堪能できる展覧会でした。

 

同時開催の2階のコレクション展「仏画×風景」もなかなか楽しめるものでしたので、行かれた方はぜひこちらも見られることをお勧めします。

6月4日まで。

ロキノン系文体ー「 ロッキング・オンの時代」と又吉直樹「第二図書係補佐」

私が音楽を主体的に聴くようになったのは、小学校5年生の冬でした。

ある日風邪をひいてしまい、学校を休んで昼間からずっと家で寝る羽目になってしまったのですが(確か小学校を休んだのはこの1日だけだったと思う)、親が退屈だろうからと、枕元にラジオを置いてくれました。

午後、寝ながらずっとラジオを聴いていたら、いろんな音楽が流れてきて、音楽を聴くことに興味がわいてきました。

それまでは意識して音楽を聴いたことはなかったのですが、この日を境に、自分からいろんな曲を積極的に聴くようになりました。

その時は音楽といっても歌謡曲を聞いていたのですが、そのうち外国の曲、ロックを聴くようになりました。

当時はグラムロックが大流行しており、Tレックスデヴィッド・ボウイなどがラジオでよく流れてきました。特に「スターマン」には夢中になったものです。 

 

そんな頃、ある日立ち寄った書店で、「ロッキング・オン」という薄い雑誌を見つけたのです。確か9号だったと思います。

そこに載っている記事は、ボウイと書いていながらも音楽の話なのか何の話なのか分からないものとか、架空インタビューなど、他では見られないものであり、最初はよく分からなかったのですが、読むうちに中毒になっていました。

またこの頃オンエアされていた、NHKの「若いこだま」という渋谷陽一の番組を聴くようにもなりました。確か新聞のラジオ欄に「デヴィッド・ボウイ」特集と書いてあったので聴いてみようと思ったことがきっかけでした。

そんな時代を思い出させてれたのがこの本です。 

ロッキング・オンの時代

ロッキング・オンの時代

 

渋谷陽一を中心に、この本の筆者である橘川幸夫、そして松村雄策岩谷宏。この4人が集まってロッキング・オンを作り上げていく。全くのインディとして始めた雑誌が信じられないほどの成功を収めるその奇跡の、ごくごく初期が描かれています。

 なお保田與重郎の名前が出てきた(73頁)ことにも驚きました。

 

ところで、「ロキノン系」という言葉があります。

一般的にはロッキング・オンが主催するフェスに出演したバンドを指すようですが、評論とか文体についても使われるようで、「自分語り」を前面に押し出し、肝心の音楽については最後になってようやく出てくるような、そんな評論をいうのでしょうか。ロッキング・オンの中でも、橘川幸夫松村雄策などの原稿は、まさに自分語りの「ロキノン系」というものです。

 

この「ロッキング・オンの時代」と前後して又吉直樹の本に関するエッセイ集を読んだのですが、これがまさに「ロキノン系」というべき自分語り文体で、その偶然の一致に驚きました。

 

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

 

この又吉のエッセイ集、1冊の本についてのエッセイを集めたもので、対象は小説ですが、まさに自分語りで、小説の紹介は最後の3行くらい。

例えば「万延元年のフットボール」では、自分の祖父がどんな人だったかを冒頭からずっと書いてきて、最後から3行目にようやく「万延元年のフットボールを読んだ」と小説の話になる。また、「夜は短し歩けよ乙女」では、かって又吉が知っていた不思議な女の子の話が続き、最後から3行目に夜は短し歩けよ乙女」でも不思議な女の子が登場する、と小説の話になる。

見事なロキノン系文体です。

又吉は太宰が好きと公言しているくらいですから、自分語りも当然ですが、その自分語りはものすごくうまい。「火花」よりかなり前に書かれたものですが、その自分語りがちゃんと小説と関連していて、みごとな紹介になっています。

 

 今や渋谷陽一は日本有数のロックフェスを大成功させる会社の社長となり、又吉は芥川賞作家となりました。